応急処置


 私は名もなきB棟の看守である。今日も今日とてB棟の見回りをしている。
 先の大暴動でまたも看守が減った。そして、看守長の半数近くがいなくなるという大事にもなった。いなくなったといえど死んだわけではなく、どこかへ言ったということだ。
 そんな訳で私の上司でもあるB棟看守長のペイルさんが看守長不在となったA棟、C棟、D棟の看守長代理をやっている。諮佐であるバーヴァさんはペイルさんが不在の時にB棟の責任者をやっている。
 とにかく、大変なのである。いくつか棟を潰して統合してはどうかなんて話が上がるほどに。

 ある時、ペイルさんがひどく疲れた様子でB棟へ帰って来た。どうしたのかと訊くと「……看守長会議をして来た。これでようやく解放される」と言った。
 話を詳しく聞くと、G棟から代理をしてもいいという元看守長を受肉させることが決まったらしい。A棟には元六代目A棟看守長、C棟には元八代目C棟看守長、D棟には元五代目D棟看守長が代理として就いたらしい。後々、看守一同に通告が入るらしい。その人物たちがどういった者たちなのかわからないが。

 とりあえずだが、応急処置はできたらしい。そんなことが可能なら最初からやっていてほしいものだが。そうペイルさんに言うと、どうやら受肉には条件があるという。受肉についてはよくわからなかったが、受肉元の肉体は必須らしい。
 これであの人の苦労も減ればいいのだが。
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