【キラアス♀】ヘリオポリスで再会パターン


ある日の午後、ゼミが終わり友人達と別れてぶらついているキラ。突然肩に留まっていたトリィが羽ばたいてどこかへ行ってしまう。
急いで追いかけると、手にトリィを乗せて目を丸くしている藍色の長い髪の女性が居た。キラはすぐに、3年前に引越しで離れ離れになったきりの幼馴染のアスランだと気付く。
思わぬ再会に喜色満面でアスランに駆け寄るキラ、戸惑いながらも「久しぶり」と笑うアスラン。何故ここに居るのかとキラが尋ねると、家の用事で同行した。今は自由時間だと話す。
日没までには戻らないとと言うアスランに、キラはそれなら時間まで一緒に過ごそうと提案。アスランは暫し考え込んでいたが、こくりと頷いた。
そして二人は日が暮れるまでの数時間、昔のように買い食いしたり、離れてからのお互いの出来事を話したり、昔の思い出話をしたりして過ごした。
そして、アスランが戻らなければならない時間に―――



周囲が橙色に染まる。アスランは傾き続ける太陽を物憂げに見詰め、キラに向き直る。

「キラ、私…そろそろ、戻らないと…」
「そ…っか、もうそんな時間かぁ。せっかく久しぶりに会えたのに…
 あ、そうだ! またこっちに来る事あったら連絡してよ。そしたら今度はもっと色んな所案内するからさ!」

その言葉を聞いたアスランは哀しげに目を伏せ、か細い声で言葉を紡ぐ。

「…………ぶん」
「?」
「たぶん、もう、会えない」
「……え?」

キラは一瞬何を言われてるのか解らず、目を見張る。アスランは言葉を続ける。

「プラントに戻ったら、婚約、するんだ。婚姻統制で選ばれた相手と」
「そん、な」
「相手は父と同じ所属の議員の子息で、正式に婚約が結ばれたら私は彼を補佐する役目がある、から。……もう、私だけで自由に動ける時間は殆ど無くなる」

次々と紡がれる言葉をキラは受け止めるだけで精いっぱいだった。
ただ呆然とするしかないキラ。アスランも言葉を止め、暫くの沈黙。

「…本当は、ここに来たのは偶々じゃないんだ」

再び口を開いたのはアスランだった。

「家の用事じゃなくて、私が父上に頼んだんだ。婚約する前に、最後にここに来たいと」
「え?」
「母上に頼んでこっそりカリダさんに連絡取って、今ヘリオポリスに移住して、お前がここに通ってるって聞いて」
「…僕?」
「直接逢うつもりはなかった。遠くから一目見られたらそれで良いと……思ってたのになぁ」

アスランは困ったように笑ってキラの肩に居るトリィに手を伸ばす。トリィはぴょんとアスランの手の平に飛び移る。

『トリィ!』
「まさか、まだコイツを持ってたなんて」

3年前と変わらず首を傾げて鳴くトリィを見て苦笑を浮かべ、「おかげで見付かっちゃったよ」と指先でつんとトリィをつついた。

「顔を合わせた時はマズいと思ったけど、キラが昔のままで接してくるから、甘えちゃった」

これが最後だからと、ただ一緒に居られればそれだけで楽しかったあの頃に戻りたかった。
アスランは噛み締める様に今日の時間を思い返す。
そして、両手でトリィを差し出した。

「キラ、ありがとう。今日は本当に楽しかったよ」
「アス、ラン…」

震える両手をどうにかアスランの手の高さまで持ち上げる。その手に飛び移るトリィ。
瞬間思い起こされる、あの日の桜の舞う情景。
あの時と同じ様に、言葉が見付からないキラにアスランは微笑んだ。

「まだまだ泣き虫なところは変わってないんだな。……でも、変わってなくて、嬉しかった」
「…っ」

きっと、泣きそうな顔をしていたのだろう。そんなキラとは対照的に、穏やかで優しい笑みを浮かべるアスラン。夕陽に照らされるその姿は得も言われぬ美しさで。
アスランの笑顔が大好きだった。なのに今、その笑顔にキラが感じるのはあの日以上の、どうしようもない程の苦しさ、切なさで。

「最後にキラに会えて、一緒に過ごせて良かった。―――これからも、元気で」
「アスラン、は、それで……良いの?」

絞り出す様な声で問いかけるキラに、アスランは笑顔のまま何も答えず、背を向けた。











力尽きました _(:3 」∠)
キューピッドなトリィちゃん書きたかっただけ
このキラは多分無自覚。でも自覚ありでも美味しいです

この後の展開としては
●キラがアスランを振り向かせて勢いで告白(屋外) 両想いになった二人は一緒にパトリック説得しに
●そのまま去って行くアスランを見送るしか出来ないキラ。頭ハツカネズミのまま家に帰った後なんだかんだ覚醒→カリダさんに今日の事を打ち明けてレノアさんに連絡を取り、レノアさん協力の下プラントへ乗り込んで大騒動
あたりかなと
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