no title


「大丈夫、君は死なない!俺が君を守るから!」

守る
どこまで逃げても追いかけてくるこわいものだったはずの死が、初めて出会った男の子に抱き締められそう告げられた時、自分でも驚くほど心が安らぐのを感じた
シンと名乗った彼は震えている私の頬に手を添え微笑んでくれた時、ぽかぽかとした感覚が胸の中に溢れるのを感じる

ネオも、アウルもスティングも褒めてはくれても
守ると言ってくれたことは一度もない

「守る…?ステラ、死なない?」
「うん、死なないよ。僕がここにいて君を守るから」

また、守ると言ってくれた
怖いのが無くなっていくのを感じる
でも、なにか違う気がする
「守る…」
頬に添えられた手に触れ、彼の目を見ながら
確かめるように同じ言葉を呟いてみる。
すぐにわかった、私が安心しているのは何故なのか

私はその言葉じゃなく、彼のその声に、優しい瞳に、私に笑いかけてくれる優しい表情に、私は安心している

───好き

ネオは好き
アウルもスティングも好き

でも、シンに感じている好きは違う好き
愛している、というのだろうか
誰かに教えてもらったわけじゃないが胸の奥の熱がさらに増すのを感じ、そう理解した
シンへの好きは、愛してるの好きだ

───好き、ステラは、シンが好き

好きを理解した瞬間、彼の目を見るとドキドキするようになった。
綺麗だから拾った貝殻を送るとまるで宝物のように喜んでくれたその声に嬉しくなった
私の裸をみて慌てて目を逸らす表情が可愛くて、愛しくなった
肌を寄せ温め合うこの時間が無限に続けば良いと思った

出会ったばかりの彼に、好きが溢れて止まらなくなった

それでも死ぬのはやはり嫌で、怖いけど
彼がいれば死ぬのなんて怖く無いと思えた

シンと一緒なら、大丈夫
シンと一緒なら、ステラは、死ぬの怖くない
シンとずっとずっと、一緒に居たい

ステラ、シンと一緒に死にたい

いつの間にか現れていた女が彼と親しげに話しているのを見ながら彼と永遠に居られる明日を夢見てそう思った
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