浮かぶままの我儘


「疲れた…」
ベッドに座り込む。同室殿の前だが、もはやそんなことを考える気も起きない。何もかもが面倒だ。

いくつかのチームに混ざって練習をしてみた。疲れるだけであった。
友人殿とならばあるいは、とも思った。その周りの連中がどうも苦手だった。
なんでこんなことしようと思ったんだろう。
寂しかったからか。
わかり切っている。
不満は収まらず出てくる。
なにも納得がいかないが、それも受け入れるほかはない。

───もう どうかしたいと思えたなら 僕はこうじゃなかったのだ

誰かと居るというのは疲れる。
どうも僕は完璧主義に近いところがあるらしい。色々と生きづらい性格であるが故に、息がしづらい。
バカバカしい。
いっそ嫌ってくれたらこう苦しむこともなかったろう。腫れ物であれば何も苦しむことはなかったろう。
独りが常態化していれば、苦痛が日常であれば、空白がすべてであれば。それならば僕はこうして贅沢な悩みなど抱えなかったのだ。

───自分がただの染みに見えるほど 嫌いなものが増えたので

それを素直に、伝えればよかったのだ。結局言わないと伝わることはないのだ。
素直に言葉にしていれば。もう帰る、と言えば。あんな、ふざけた流れに乗らなければ。
…頬を張ろうとして、その手を動かすことが怖くて、かわりに強く握りしめた。この爪が手を喰い破ればいいのに。
頬を張っていれば、同室殿を通して僕は異常者と認識されただろう。うまく嫌われることもできたろう。何より、この苛立ちも治まったろう。
そのパフォーマンスもできないのが、僕だというのだろう。

───優柔 年中 一歩も踏み出せない

周りのことを気にすることができるほどの余裕はない。だというのに、自分だけを大切になんてしたくないと意地を張る。否、そうやって自らを律した気になる。
そうすることが正しいのだと信じたいから、自分は間違っていないと思いたいから、そうしないと自分を肯定できないから、意地を張る。
くだらないことだ。しかしながら、そのくだらないことを貫かなければ、息をすることもままならないのだ。
勝手に苦しんでいるというのに、責任を他者に求めては仕方がないのだろう。

───閉塞感 息もできない

1人でいることを好みながら嫌うというのは、自分でも奇妙だと思う。結局今の僕はそういう面倒くさい生き物なのだろう。そう肯定してしまえば話は早いのだろう。
だが、こんなものを肯定してどうするのか。誰かに迷惑をかけ続けるのが良いことであるはずはない。
しかし生きていれば迷惑をかけることは常である。ではどうすべきか。
今の僕にはわからないからこうして過ごす他はない。だがそれは考えることをやめる言い訳に過ぎないのではないか。しかし現実としてわからない。

───明日へ向かう意義を 今を駆ける意味を 此処に生きる意味を 教えて欲しくて

だからこそ、今の僕には表面的なことしか言えないのだ。
すなわち、誰もいないのは寂しくて仕方がないのだと。
こんな陳腐な言葉で言い表したくない程に重く、苦しい感情を、胃の中で消化できずに詰まらせているのだと。
自分にとって大切なものを失っていたのだろう。
それを埋めるなにかもなくなってしまったのだろう。
どうすればこの穴が埋まるのかなど、誰にも分からぬことなのだろう。

───つよがって つよがって つよがっちゃって泣いてんだ 離れる度に チクチクと胸が痛いよ

どこかの誰かを考えてしまうのは、きっと僕の悪い癖だ。
そのようなことを考える暇さえないほどに日常を生き抜いていれば、きっとそんな事を考える暇もない。
だが、これはきっと僕にとってとても大切なことだ。そう思っていたい。
こんなこと、と思っても、それが大切だと思う自分が居るのなら。その声に従いたいと、そう思ってしまうのが僕なのだから。
そう思う僕がいる程度には、僕は今でもその誰かを大切に思っているのだから。
これが間違っていることだとしても、きっとその現実を認められないのだろう。

───"大事なんだ全部" 聞こえだけはいいけれど
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