四ツ目が宿る時【第3話】〜軋み始めた歯車〜


四ツ目 第3話〜軋み始めた歯車〜
作:理緒来

主人公(シュウ)
額の目は一ツ目の男の子。推定年齢17歳。
魔力量は三ツ目並にあり、突然変異で生まれてきたと周りに噂をされる。
片目には眼帯をしている
しっかり者で優しい。
周りから可愛がられる

(ハル)
孤児院にいる13歳の女の子、額には一ツ目。
シュウを兄のように慕っている。

(ミコト)
普通の両目がないため額の一ツ目が常に開眼している。
過去に事故で潰れたらしい。
大人しく優しい。28歳ぐらい
孤児院のお母さん

(ティオ) 女性でも可
色んなものを切断する力が長けた騎士団員
最年少騎士でありながら他の大人達にも負けない程の力を持つ。
毒を持ちつつ甘い面もある。
11歳の額に二ツ目を持つ。
ミコトの孤児院で育った

(シオン)
王直近魔法騎士。
額に三ツ目を持つ21歳の男。優しい口調で
爽やかなイメージを持たれることが多い。



ーーーー

シュウM「この世界には魔法がある。だが、それが使えるのは額に眼を持つ者だけ」

ティオM「一ツ目だったり…二ツ目、三ツ目と、その人の魔力量によって様々」

シオンM「私達は、魔力を体から抜かれると生命を維持する事が出来ない…眼は魔力を生みだす貯蔵庫。ソレを壊されるか…この身から取られれば死ぬ。」

シュウM「…なのに」




ハル「おはよぉ!!起きて!朝だよ!ご飯だよ!」

シュウ「…ん、あ…もう?」

ハル「お腹空いたー!!はーやーくー!!」

シュウ「わ、分かった!分かったから!起きた!今下に行きます!」

ハル「よし!ミッコトさーん!ご飯食べてもいいですよね?!」

シュウ「…アイツ…ちゃんとミコトさんの言う事聞いてるんだなぁ…成長したな…うん…眠い……」

ハル「ご飯まだぁぁ?!」

ミコト「シュウ〜!ハルが駄々こね始めたから早く降りてきてちょうだい」

シュウ「うぁっ…はーーい…今行きまーす!」


ミコト「おはよう、シュウ。」

シュウ「おはようございます…ふぁ〜…」

ハル「早く!座って!」

シュウ「はいはい…座ったぞ」

ミコト「では、手を合わせましょう」

ハル「頂きまーすっ!」

シュウ「頂きます」

ハル「んー!!!ウマー!!ミコトさんの手作りパン!このスープは…?」

ミコト「あっ…ハル、出来たてだからまだ…」

ハル「あっつぁあっ!!」

ミコト「……はぁ…ゆっくり食べなさい。誰も取らないから」

ハル「あい……」(舌火傷してます)

シュウ「……」

ミコト「…あら、どうしたの?シュウ。手が進んでないけれど…食欲無い?」

シュウ「えっ…あ…いや、食べます…ハムッ…美味しい…!」(パンを食す)

ミコト「…そう、なら良かった」


ミコトM「シュウ…盗賊が出た日もそうだったけれど、昨日の祭りから帰ってきてずっと…元気が無いわ。心ここに在らず、みたいな…何かあったのかしら…」


ティオ「おっ邪魔しまーす!」

ハル「ブフォッ!!」(スープを吹く)

ミコト「きゃあっ!ちょっとハル!!」

シュウ「ティオ!」

ティオ「うわー汚ったない。
やっほー昨日ぶり〜シュウに糞ババ?」

ハル「ぅううっ!この糞ガキ、また糞ババって言った!!」

シュウ「うわっ!ハル、落ち着け!とりあえず顔洗って、服着替えてこい」

ミコト「私まで……シュウ、着替えてくるから、少し片付けを頼んでもいいかしら?ついでに、ティオのお茶をお願い」

シュウ「分かりました。」

ミコト「ティオ、ごめんなさいね。少し待っててくれる?」

ティオ「はーい!」

ハル「とっとと帰れっ」(ボソッ)

ティオ「帰ってやるもんか」

シュウ「はぁ…ティオ、何飲む?」

ティオ「え?んー…じゃあミルクと砂糖たっぷりの紅茶で!」

シュウ「はいよ。お前って結構甘党だよな〜。肥満になるぜー?」

ティオ「若いからまだ大丈夫だよ!」

シュウ「はいはいっと…これぐらいでいいか?」

ティオ「もうちょっと砂糖足して」

シュウ「え…はい。」

ティオ「もうちょっと!!」

シュウ「え?!……こ、これぐらい…か?」

ティオ「オッケー!ありがと!頂きます!モグモグ…あー美味しい!」

シュウ「…砂糖入れすぎて最早食べ物と化してる…」

ティオ「何だよォ」

シュウ「何でもねぇよ。で、お前が唐突に帰ってくるなんて、何かあったのか?」

ティオ「あーそうそう。その事について話さないとねー…あー美味しかった!」

シュウ「ミコトさん達が来てからにするか?」

ティオ「いや、シュウだけでいいよ。」

シュウ「俺だけ…?」

ティオ「ハルの事について、シオン様からお話があるんだってさ」

シュウ「ハル…もしかして祭りの事で?」

ティオ「たぶんねー。詳しくは知らないよ?聞かされてないもん。今ユミちゃんは治療中だし、マーシィは隊長代理として各地を飛び回ってるし…僕が孤児院の場所を知ってたって事でお使いを頼まれちゃった。」

シュウ「なるほどな……え、今から行くのか?」

ティオ「そーだよー。シュウをちょっとかっ攫いに来た」

ハル「お兄ちゃん!着替えてきたよ!」

シュウ「はい、お帰り。ミコトさんは?」

ハル「服が無いって迷ってたよ」

ティオ「流石、ミコト姉ちゃん。ハルみたいにテキトーファッションじゃない」

ハル「…お兄ちゃん、コイツ追い出してもいい?」

シュウ「ハル、怒らない」

ミコト「はぁ、着替えに手間取ってしまったわ…お待たせ。ティオ、折角来てくれたのに…」

ティオ「いいよー。ただシュウをちょっと借りに来ただけだから」

ミコト「シュウを?どうして?」

ティオ「僕とおデートしに行くの」

ハル「え?!デート?!待って待って、お、お兄ちゃん?ティオとまさか…こ、ここここ」

シュウ「恋人とかじゃないぞ?!ティオ、冗談はやめてくれよ!」

ティオ「アハハッ!本気にしてやんの〜!」

ハル「ぬぅうぅ…」

シュウ「はぁ…ま、とりあえず。デートではないけど…ちょっと行ってくる。ミコトさんを頼むぞハル」

ハル「…また私だけ」

シュウ「すぐ帰ってくるよ」

ミコト「……ティオ」

ティオ「ん?どしたのミコト姉ちゃん」

ミコト「……」

ティオ「…あぁ、『ソレ』じゃないから。安心して」

シュウ「…ん?どうした?」

ティオ「何でもないよー!って事で、シュウお借りしまーす!」



ハル「…何なのアイツ!本当に腹立つー!!」

ミコト「…」

ハル「ミコトさん!!ティオをどうにか出来ないかな?!」

ミコト「…へ?あ、ごめんなさい、聞いてなかったわ」

ハル「…ミコトさん?顔色、なんか真っ白ですよ?」

ミコト「…大丈夫よ。何でもないわ。さ、スープ、新しくよそうわね。」




(王都、マリアヌ城にて)

シュウ「うわ…ここがマリアヌ城…すっげー…真っ白だ」

ティオ「なんかねー、先代の王様が『染まる』っていうのを嫌って真っ白にしたんだってさ。」

シュウ「へぇ……っ!」

ティオ「ん?どうしたの?」

シュウ「あ、いや…何でもない。少し目が痛んだだけだ」

ティオ「ふーん。酷かったら病院行きなよー」

シュウ「お、おう……んー…花粉症かな?…まぁ大丈夫か」



ティオ「シオン様、シュウを連れて参りました」

シオン「ご苦労さま。シュウ君。いきなり呼び出してすまないね。来てくれてありがとう」

シュウ「いえ。特に何も無いので…ところで、お話っていうのは?」

シオン「この前の一件…ハルさんの眼について話しておかねばならない事があるんだ」

シュウ「…はい」

シオン「ティオが彼女の『ゲーニウス』を探した時、魔法が指したのはギルシュア…今もそれは変わらない。」

シュウ「…ん?あの、シオン様。『ゲーニウス』って何ですか?」

シオン「え?あぁ、すまない。額の眼の事だよ。正式名は『ゲーニウス』。私達は基本、そっちの名で呼んでいるんだ」

ティオ「街とかでは分かりやすいように額の眼って言ってるけどねー。もうごっちゃごちゃになるから面倒臭いけど」

シュウ「はぁ…ゲーニウス…変わった名前ですね」

シオン「まぁ…先人達がそう決めた名だから仕方ないよ。では、本題に戻ろう。今、彼女の額にあるのは…本物ではなく、義眼だ。」

シュウ「義眼?義眼って…目を失った時に付けるヤツ…ですか?」

ティオ「そーだよー。偽物の目。ま、普通の目としての義眼は視力も何も持たなかったりするけど、僕達のゲーニウスが義眼となると…また変わってくる」

シュウ「どういう事だ?」

シオン「義眼の前に、魔法を使える者の仕組みについて話そう。私達が使える魔法は、ゲーニウスの魔力質によって変わるんだ。基本的に炎の質なら炎魔法全てに長け、水の質なら水、切断系なら炎であろうと切断性質を持つ魔法に長けている。そして、その魔力質で生命の維持をしているんだ。だから、別の魔力質では維持が出来ず…命を落としかねない…」

シュウ「…え?じゃ、じゃあ、ハルの…ゲ、ゲーニウス?は一体何だって言うんですか?何でハルは生きて…」

ティオ「無理して言おうとしなくていいよシュウ」

シオン「私達のゲーニウスと同じように魔力を生産、貯蔵できる機能を持つ…人工的に作り出された物と考えていいだろう」

シュウ「人工?そ、そんな技術があるんですか?」

シオン「ギルシュアには…あると考えられる」

ティオ「まぁ、ハルがゲーニウスを奪われてるのに生きてるんだから…同じ性質を持つゲーニウスを入れられたか、人工のヤツか…可能性なら、人工の方があるよね。」

シュウ「な、何でだ?」

ティオ「同じ性質のゲーニウスを入れたとしても、『適合100%』って訳じゃない。というか、そっちの確率は約3%」

シュウ「3%?!」

ティオ「薬みたいな感じで、移植された瞬間、副作用が必ず出るものなんだよ。喚き出したり、ゲーニウスが開眼したまんまだったり、魔力が暴走したり…体が変わったりね。でも今日見た感じ、平然としてたから、その可能性は無いなーって事」

シオン「…相手の目的は分からない。ただ、放っておくというのは少し危険な気がしてね…ユミに話を聞けばすぐなんだろうけど、今は療養中だ…ハルさんのゲーニウスで何をしたいか…現在、調査中なんだが…それに、君も協力して欲しい」

シュウ「…俺も?」

シオン「ハルさんの近くに常にいる人物じゃないと、違和感には気づかないだろう?」

シュウ「…なるほど。分かりました。ハルの為に出来る事があるなら、やります」

ティオ「ヒュ〜ゥ♪カッコイ〜」

シュウ「ティオ、止めてくれ…」

シオン「ありがとう…ハルさんの行動等について毎夜、ティオの使い魔がそちらに行く。紙に書いて渡してもいいし、語りかけてもいい。それに伝えてくれ」

シュウ「分かりました…毎夜ですね」

シオン「…フフッ頼んだよ」

シュウ「っ!!!」

シオン「…シュウ君?」

ティオ「ん?どしたの?」

シュウ「ぐ……眼が…熱い……」

ティオ「あ、ちょっ!シュウ!」

シュウ「うぐっ……」

ティオ「ちょっと!!いきなりどうしたんだよ!」

シオン「眼……?熱いって……
ティオ、シュウ君に付いて行ってくれ。
医療班!担架をすぐ持ってきてくれ!」

ティオ「え、シオン様、騎士棟の医務室を使うんですか?結構遠いですよ?!」

シオン「いや、城の医務室を使っていい。国王には私から話をしておくから」

ティオ「分かりました。あ、やっと来た。医療班、きいてた?グズグズしてないで、さっさと運ぶよ」



(孤児院にて)

ハル「……ティオ…ティオ…あの糞ガキ…」

ミコト「…どうしたの、ハル。」

ハル「あ、ミコトさん……んー、なんか…羨ましいっていうか…ティオに対して少し嫉妬してる …気がして」

ミコト「……そう。シュウとティオは、ハルが孤児院に来る前から居たからね。仲良しなのは仕方ないわ」

ハル「…憎いな」

ミコト「…ん?どうしたの?」

ハル「へ?いや、何でも!!ミコトさん、お茶飲みますか?」

ミコト「あら、珍しい。ハルが入れてくれるの?」

ハル「私だって、そろそろこれぐらい出来るようにならないと!お嫁さんに行けないじゃないですか!」

ミコト「ふふふっ…じゃ、お願いしようかしら」

ハル「はい!
んーと…ポットどこだっけ…ここかな?あれ、違う」

ミコト「右上の扉に仕舞ってあるわよ」

ハル「右上?右…ここ?よっと…あった!…ん?
うわぁぁあっ!!」

ミコト「ハル?!どうしたの?!」

ハル「ね、ねねねね鼠ィイイ!」

ミコト「鼠?!…鼠にしては…大きすぎないかしら?!」

ハル「ヒャァアッ!!こっち来ないでぇえええ!」

ミコト「っ!あの首元の模様…まさかティオの…!」

ハル「ミコトさーーーーん!助けぇぇぇぇ!」

ミコト「ハ、ハル?!こっち来ちゃ…!」

ハル「いーーーやぁぁあ!!!!」

ミコト「きゃああああっ!」(ぶつかる)


ハル「…いったた……あっミコトさん?!」

ミコト「…ハル…お、もい…どいて…」

ハル「ごご、ごめんなさい!」

ミコト「ゲホッ…もうっ!ぶつかって来なくても!」

ハル「えへへ……」

ミコト「はぁ…仕方ないわね。おやつ、また1週間抜きにしましょうか」

ハル「ひぇええっ!?い、
嫌です!更に1週間なんて私死んじゃうよぉおぉお!」




(医務室にて)

シュウ「……ん…う…」

ティオ「あ、おーい、生きてるー?」

シュウ「……ん?ティオ…?」

ティオ「可愛い可愛い僕が分かるなら大丈夫か。ミコト姉ちゃーーん、シュウが起きたよー。来てー」

シュウ「ミコト、さん…?」

ミコト「シュウ?!ぁあ、良かった、気がついたのね?」

シュウ「え、あ…はい…ていうか、何でミコトさんがここに?」

ミコト「ティオから倒れたって連絡が入って…飛んで来たの。ぁぁ…本当に良かったわ…何かあったらどうしようかと…」

シュウ「心配かけてすみません…」

ティオ「原因は、ストレスの貯めすぎ〜…だってさ。はい、これ医療班からの報告書。ホラ、見て!」

シュウ「え、ストレス?」

ティオ「バッカじゃないのー?『眼が…熱い…!』って大袈裟に言っといて、調べたらストレス?心配して損した〜。」

シュウ「いや、何でだよ!」

ティオ「…ま、本当は違うんだろーけど」

シュウ「ん?違う?」

ティオ「とりあえず、面倒臭いけど僕はシオン様と国王様に、シュウの容態について報告して来るよー。ミコト姉ちゃん、後は頼んだ〜」

ミコト「分かったわ。気をつけてね」

シュウ「…すみません、ミコトさん。…孤児院の事もあるのに…」

ミコト「気にする事ないわ。大切な子を心配するのは当たり前じゃない?」

シュウ「……ありがとうございます」

ミコト「…ふふ。さ、まだお昼ご飯を食べていなかったでしょう?おにぎりを作って貰ったわ。お食べなさい」

シュウ「そういえば…朝しか食べてないや。頂きます!」

ミコト「………少しは収まってるみたいね…良かった」

シュウ「今はもう大丈夫ですよ」

ミコト「…本当に良かったわ。さ、食べたら帰りましょうか。ハルが待ってるわ」

シュウ「え…1人で、ですか?」

ミコト「えぇ。他の子は寝ちゃってるし…ハルは何故か『起きてる』って言うから」

シュウ「そうですか…分かりました」

ミコト「…大丈夫よ、ハルだってもう14歳よ?1人で待つ事ぐらい出来ると思うわ。初めて来た時より明るくなったし…強くなったもの」

シュウ「…ですよね。サクッと食べて帰りましょう!」



(孤児院にて)


ハル「…やだよぅ…やだよぅ…1人にしないで…お兄ちゃんを奪わないで…私の大切な人を…取らないで…!
助けて…助けて…お兄ちゃん!!」




(騎士棟の一室にて)

シオン「ギルシュア国がまさか…あんな技術を生み出せるようになるとは……」

ティオ「シオン様ー。入りまーす」

シオン「ん、あぁティオか。シュウ君の調子はどうだい?」

ティオ「良くなりましたよ。今はご飯食べてると思います」

シオン「そうか、ならいいんだが……」

ティオ「…どうかなさいましたか?」

シオン「…ちょっとね。ハルさんの件について、嫌な報告が上がってきたんだよ」

ティオ「嫌な報告?」

シオン「ユミからの報告だ…」

ティオ「え?!ユミちゃん?!もう良くなったんですか?!」

シオン「いや、まだ安静にして居なければいけないが……どうしても伝えておかねば取り返しのつかない事になるからと」

ティオ「取り返し……で、一体どんな情報が得られたんですか?」

シオン「…ギルシュアは元々、三ツ目、二ツ目が産まれにくい国で、一時期は他国から植民地とされていた。そんな中、ひっそりと地下で王族達は実験を進めていたんだ」

ティオ「…それ、今回の件に関係あります?」

シオン「その実験は人工魔法製造器…幾度も失敗を重ねて来たと言われる」

ティオ「魔法製造…そんな前から研究が…ん?シオン様、何でそんな昔のギルシュア事情に詳しいんですか?」

シオン「…まぁいいから聞いてくれ。その実験は失敗に終わったが…ギルシュア国として独立してからは…異常なまでに成長を遂げ、強くなった」

ティオ「…んー?ちょっとまって下さい。元々二ツ目が少ないのに、騎士団が出来るほど二ツ目が産まれているなんて、おかしいですよね」

シオン「…つまりだ。実験は成功しているんだよ」

ティオ「…は?」

シオン「急激に二ツ目が産まれやすくなるなんて…そんな話は無い。ゲーニウスを大量に作り、一ツ目達に与えているんだ。ユミは、ハツハルと交戦中に相手から何か聞いて察したらしいが…それを話そうとした時体調が悪化してしまって…まだ聞けてはいない。」

ティオ「…そうですか」

シオン「……ティオ。この国を守る為に覚悟をしておいて欲しい」

ティオ「………」

シオン「…さ、今日はゆっくり寝よう。バタバタしていたから疲れてるだろ?」

ティオ「…はぁ。シオン様は話を変えるのが下手くそですね。気まずいって思ってる事、丸見えですよ」

シオン「うっ…」

ティオ「とりあえず、僕は国王様に報告しに行ってきます。シュウにはミコトさんが付いてるので」

シオン「…ありがとう。下がっていいよ」

ティオ「失礼しました」


(廊下にて)
ティオ「…覚悟って…シオン様もぬるいなー。殺す覚悟なんて、騎士団入った時からとっくに出来てるっつーの…。あーもーー!報告面倒くさーーい!」


(一室にて)

シオン「あぁ……我が君…貴女様が望む光は、すぐそこまで来ていますよ…私が必ずや…叶えてみせます…待っていてくださいね」



(孤児院にて)

ハル「ァァァァァァっ!!…痛い…痛い!眼が!割れる!!怖いよ…助けて…助けて!!」






シュウM「少女の悲痛な叫びを聞いてか、今宵の月は顔を隠した」

ミコトM「零れ落ちる涙は、止みそうにない。」

シオンM「何も知らない人々も、暗躍する者達も、世界と共に眠りに落ちていった」



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