藤虎さん夢(♂夢主)※修正版


男夢主→藤虎さん

藤虎さんが常連の下駄職人の息子になりたい
工房と店を兼ねてて、父さんに作り方を教わりながら普段は下駄や草履の販売してる
藤虎さんはよく鼻緒が切れた下駄を持ってくるから、修理したり新しい下駄を勧めたりしていくうちに、彼が盲目であることを知るんだ
たとえ色が楽しめなくても彼に似合うものを、そして藤虎さんが気に入るような丈夫なものを、と真剣に下駄作りに励みたい
彼が海軍大将とは知らず、着物の色から「藤色の人」と心の中で呼びつつ、彼に贈るつもりで作った下駄を大切に抱えて日々を過ごすんだ
師匠である父さんも「良い出来じゃねェか、彼もきっと喜ぶぞ」と言ってくれるけど、
贈る機会が来ないまま、彼はぱったり店に来なくなる…
藤の花の季節になる頃、彼を思い出しながら未だ大事にしまってある下駄を取り出しては物思いに耽りたい
彼はきっとまた来てくれると信じて



藤の季節が過ぎた頃、菖蒲の咲く池でぼーっとしていると、カランコロンと後ろの方から下駄の音がして、振り返ると藤色の彼が白杖をついて歩いているのが見えるんだ
急いで彼の元まで駆けていって興奮気味に、もう会えないと思った、あなたに贈りたい物があるんですって、腕を差し出して店まで連れていくんだ
彼はにっこり笑って、よくわかりやせんがお元気そうで何よりなんて言いながら店までついてきてくれる
店についてドキドキしながら作った下駄を差し出しすと、
彼は驚いた顔をして、そして少し間をおいてから優しく微笑んで、あっしのためにそこまで…どうも恐れ入りやすって丁寧に受け取ってくれる
手で感触を確かめて、今履いても良いですかい?って言ってその場で履き替えてくれるんだ
大事にしやす、ありがとうと言われて、もう嬉しくて嬉しくて、声が震えるのを抑えながら喜んでいただけてよかったって彼の両手を握るんだ
そしたら彼、ふとおれの顔を辿るようにそっと触って、指先で涙を拭ってくれる
おれ、いつのまにか泣いてたんだ…
そのまま確かめるように輪郭をなぞって、
若旦那、ずっと待っててくれたんだねェってちょっと申し訳なさそうに微笑んで…
おれはなんだかよくわからないままぼうっと彼の笑顔を見つめてるんだ

そして自分の作った下駄を履いて帰っていく彼に深々と頭を下げて、いつまでもその後ろ姿が見えなくなるまで見送りたい
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