フリオが最も疲れる一夜を過ごす裏で


フリオがマリューに自宅へ連行される最中、彼の顧客三人娘はというと…

久々に学生時代の友人と集まって外食を楽しんだフレイ•アルスターは目の前の光景に時が止まったような感覚に落ちた。
あのフリオが。顔はいいけど性格はホストらしからぬ好青年なフリオが十歳位歳上の美女と夜の町を歩いてるではないか!
「落ち着くのよフレイ。彼は私だけのホストじゃないわ。まだ一度も会ったことはないけど、私以外に彼を指名してる客が二人もいるって話だしあの人がそうかも知れないじゃない。別に彼とは恋人でもないから、この胸の痛みは気のせいよ!そうに決まってるわ!!!」
「イクワヨー、キラクン!」「チョットマッテクダサイ、マリューサン!」
「え、まさかキラってフリオの本名?あの女、フリオとどんな関係なのよ!」
追いかけようとするも、以外にも女性と彼女を追いかけるフリオの足は早く、ヒールを履いてるフレイでは到底追い付けそうにはなかった。

夜遅くのテレビ撮影を終えたラクス•クラインは帰りの車の中で微睡み船を漕いでいた。信号で車が止まると、近くのコンビニの前に贔屓にしてるホストのフリオが私服姿で立っているのが目に入り一気に意識が覚醒した。
「フリオさ…へ?」
気になる男性の姿に声をかけようと思わず窓を開けるも、彼の側に顔色が少し悪い歳上女性がコンビニから出てきたではないか!
「落ち着くのですラクスよ。彼の仕事は接客業、それも場合によっては店外での対応もある特殊な物。そう、あれは業務の延長なのです。決してこれからワンナイトする歳の差カップルなどでは…」
「イヤー、イエマデノドウチュウニ、コンビニガアッテタスカッタワー。イキマショ、キラクン」「マタキブンガワルクナッタラスグニイッテクダサイヨ、マリューサン。」
「え!家までの道中ってまさか本当にこれからワンナイト!?それに明らかにフリオ様のことを『キラ君』と本名らしい名で…あの女性はいったい?」
問い詰めたいラクスだったが無情にも車は発進してしまった。

今日も今日とで好き勝手やる社員(中には実妹もいる。ちなみに彼女とは住まいは別々である)に疲弊しながらもイングリットは晩御飯をどうするか冷蔵庫の中身を思い出しながら考えてると、最近幼い馴染みよりも好感度がどんどん上がってきてるホストのフリオがこちらに向かって来てるではないか。
(ひょっとして今日は非番かな?だったら今晩、一緒にしょ、食事でも!)と声をかけようと思った矢先、彼が何かを背負ってることに気が付いた。
「マリューサン、モウチョットデイエデスヨー」「ゴメンネ、キラクン。ワタシ、オモッテタヨリヨッチャッテテ」
背負ってる物の正体。それは女性だ。自分より歳上で明るそうな。イングリットは物陰に隠れて二人が通りすぎるのを待ちながら観察する。
「あの女の人、フリオと凄く仲良さそう…チラッと彼の本名っぽいのを呟いてたけど。まさか、恋人とか?」
彼女の中で何か壊れた音が聞こえる。しかし、フリオがこちらの方を視線を向けると彼女はより隠れようと息を殺す。
「気のせいかな?トラドールさんの綺麗な髪が見えた気がしたんだけどな」
「どしたのキラ君?ひょっとして彼女でもいたの?」
「違いますよ。普段世話になってる人がいた気が…」
二人の声が遠ざかっていき、イングリットは隠れるのをやめ帰路につく。
「フリオ…ワタシのことちゃんと見てくれてるのね」
何かが壊れる音は無くなり、代わりに胸の鼓動が速くなるのを感じ取った。
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