南海トラフ巨大地震
作成日時: 2021-11-20 18:06:05
公開終了: -
記録(20XX年X月X日午前8時21分)
『グラグラ……』
地面が揺れる音と共に、学校がきしむ音が鳴り響く。
俺の目の前では、皆机の下に頭を入れ込んでいた。
かばんが落ちてきたり、学級文庫の本が、落ちたり。
いつもよりは気持ち大きめだったが、別に、東日本や阪神大震災よりは、五分の一倍程小さく感じた。
だが、泣いてる人もいたので、そのことは口に出さなかった。
なんてことを考えていると、もうすでに地震は止み、地震停止の放送も鳴っていた。
その時俺は思わず、安心し、ため息を吐いた。
『フーッ』
このときは、これで終わりだと思っていた。
――午前8時30分――
あの地震から九分。
クラスの皆は、落ちてしまったかばんや、学級文庫などを片付けていた。
俺は、教師だったので、一度、廊下に出て、安全確認をした。
廊下には、硝子の跡や、ヒビなどは一切見つからなく、もう一度。
改めて安心した。
その後、すぐに俺は、教室に戻った。
だがその途端。
『ピーピーピーピー地震です。ピーピーピー地震です』
という、アラートが鳴り響いた。
俺のスマホからだ。
クラス中はそのアラートが、聞こえ、こちらを振り向く。
また、周りのクラスからも、アラートが聞こえ、ざわめいている。
『グラグラグラグラ…』
このアラートが鳴って、十秒ほど。
実際に揺れ始まった。
さっきの地震とは、比べ物にならなかった。
廊下から鳴る、硝子の割れる音。
歪んで聞こえる、放送。
『……! 』
恐怖を感じた。
一つは、死へ。
二つは、クラスのメンバーが死んでしまうのか。
三つは、学校の軋む音ヘ。
その瞬間俺は後ろから、何かが倒れる音が聞こえた。
「た……助けて……」
俺が後ろを見ると、本棚が倒れていた。
ただ、本棚の周りには、血が流れていた。
男の子の手がでている。
『うわァァァァァァ』
本棚に踏まれたのは、一人ではなく、二人いた。
もうひとりは、足が、下敷きになっていた。
彼の断末魔がその場に鳴り響いていた。
また、更に何個もの物が倒れ、何人もの子が下敷きになっていた。
何人死んだだろう。
その場に無傷の人は、俺しかいなく、他の人達は、怪我で倒れていたり、既に死んでいた。
『ピキッミシミシ』
と、廊下から、ヒビが入った音が聞こえた。
『学校が……』
その瞬間俺には、頭に、思考が流れた。
「このクラスの人はもう手遅れ。俺だけでも……」
勿論、自己中心的考えだとは、即座に理解したが、この考えも一理あると考えた。
「…生。助けてよ。逃げないで」
まだ少し息があった、子が、俺に助けを求めてきた。
自分の人権と。
自分の任務。
どちらを優先すればいいのか。
助けるのか?
逃げるのか?
と考えていると、学校の軋む音が大きくなり、学校の、天井や地面が崩壊していった。
「南無阿弥陀仏」
終わり……
その途端、俺は、意識を失い、既に、心臓は止まった……
――解説――
南海トラフでは、およそ、32万人ほど、死者が出ると想定されています。
また、経済被害は、220兆円超
全壊62万7000棟ほど。
津波も最大では、34.4mにもなると予想。
2035年の+-5年にくると予想されています。
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