【閲覧注意】ハインライン×アーサー♀ 【超注意】


時系列:劇場版から4年後、コンパス結成5周年
色々捏造過多注意。
アーサーは女性ですが名前はアーサーのままです。
今度こそハインライン×アーサー♀です。
アーサーがめっちゃ酔っ払いです。
キャラ崩壊極まりないです。
ヤってます。
※ハイアサ以外主要なネームドは全員結婚済みです。
※ウィル君は卒業が間に合いませんでした。
※2人とも過去にそれなりに恋愛経験ありました。(非童貞非処女)


コンパス結成5周年の式典はしめやかに行われた。
それを契機にコンパスに注目が集まり、あちこちで開かれる戦争関係の記念式典やパーティから招待状が舞い込むのを広報担当や幹部クラスで捌いていく。
面倒も多いがこういう地味な活動が世界平和に繋がるのだとコノエ艦長からは薫陶を受けた。
現場のミレニアムの副長としてパーティに式典にあちらこちらと引っ張り出され、挨拶挨拶、また挨拶。
まぁ、あくまで仕事で行っているのでコンパスの制服で良いのは正直助かる。
パンツスーツで行けば社交界のような場でもダンスに誘われることもない。
出会いも無いが。


どいつもこいつも「ご結婚は?」ってマニュアルみたいに聞いてきて!うるさいやい!艦で副長やってみろ!暇も出会いもあるもんかぁ!
艦の中では自分より上の階級はコノエ艦長しかいないし、同僚?と呼べるのはギリギリ各部門長だが1人を除いて皆既婚。それより下は部下だから手を出したらそれこそセクハラになる。
じゃあそれ以外はといえば僚艦の新アークエンジェル(仮)はもっぱら地球で距離があるし、コンパス本部もやっぱり距離はある。
出向元のザフトは結婚統制を盾にお見合いを三度も企画してきたが、全員過激派の息がかかっていたので、コンパス本部のお偉いさんとコノエ艦長に頭を下げられて断ってくれと頼まれたので自己都合でこちらからお見合いを潰した。
コノエ艦長は申し訳なく思ったのかアークエンジェルの操舵手のノイマンさんだとかコンパスの事務員やってた…こっちは誰だったか?まあともかく何人かコノエ艦長オススメな人とデートやらお見合いやら何やら企画してもらったけど、コンディションレッドが何度も間に挟まったら自然消滅していた。
おのれブルーコスモスとザラ派過激派にアコード残党その他諸々のテロ集団め、○ね!○んでしまえ!ふぁ○きゅー!
式典で絡んできたエロ親父のセクハラに耐えて部屋を用意されそうになったのを急用がと言って回避してミレニアムに蜻蛉返りをして、そうして今は誰もいない士官用休憩室のソファーで、こうしてくだを巻いている。
帰ってくる途中で寄ったドラッグストアで買い込んだ安い適当なお酒とおつまみがとっても美味しい。
ふはは。
自室でやれ?うるさーい、部屋に戻ったら仕事があるでしょ!?今日はもう仕事見たくなーい!
ふぐぅ、とちょっと泣けてくる。
この前帰省した時に親にすらあんたもう32でしょ?と言われてクリティカルを喰らった。親ですら敵とは。いや、親だから敵なのか。
そりゃコーディネーターで30越えは立派に晩婚ですよ!
友達?もちろん全員結婚している。そっちに誰か紹介してもらおうとしたら、一般市民にはザフト軍人で少佐は階級が高すぎるのかドン引きされた。投げ飛ばしてやろうか、このやろー。
ウィルだって成人した。
アカデミーの入学式を涙ながらにお祝いしてたら、ウィルにも結婚する予定あるの?と聞かれたことを思い出す。
5年だけとはいえ烏滸がましいがタリア艦長の替わりとして我が子のように慈しんだ子に言われたのはだいぶショックだった。
その後、何か言われてたけどあんまり覚えてないな。そういえば後で聞こうと思って忘れてた。
待っててって言ったっけ?何を待つんだろう?
まあいいや、次はワインにしようかな。
ワインならナッツかなー?とおつまみを変える。
不思議と一定以上は酔わずに次の日にも響かないんだよねー、ずっとふわふわ良い気分〜。コーディネーターにした親に感謝。わは〜酔っ払いだぞ〜。
缶のワインってやっぱり好きじゃ無いなー、オーブで教えてもらった缶酎ハイが良いんだけど、プラントのドラッグストアに置いてなかったなー。
あーもーなんかもう、どーでも良くなってきた。
暑くなってきたので制服の上をはだける。
ちょっと楽になった。
なんか楽しくなってきたのでファスナーを全部開けて上着を袖を通して羽織っただけにしてしまう。
インナー着てるし良いでしょ。
わはー。
楽しいついでにソファーに寝っ転がって足をバタバタさせてみる。
あー、靴脱ごっかなー、どうしようかなー?
ベッド行こうかな、歩くの面倒いな。
どうせならいつもみたくアイツがくれば良いのに。
上官殿を運ばせてやろう。
いや、そういえばあっちは出世したからもう同一階級だっけ?でも先任だから私の方が上だよね?おーい、まだですかー。
支離滅裂にぼんやり考えていると足音が聞こえてくる。
5年も同じブリッジにいると大体覚えてしまった足音だ。
どーせ、艦内の防犯システムのアラートでも見たんでしょ。
ストーカーしないって言ってたのに、どーせアラート確認は防犯のためだからストーカーじゃないとか言うんでしょ?
知ってるー。
前にソファーで足をバタバタさせてたら憲兵の詰め所からアラートに引っかかってますよ、と忠告を受けたことを思い出す。
暴れてるように検知されちゃうんですよね、確認して異常がないと思ったらキャンセルするんですけど、もうちょっと感度どうにかなりませんか?と相談されていたんだった。
あー、後で改良させよう、副長命令でーす。
「…ずいぶんな酔っ払いだな」
呆れたような声。
この5年で少しは認められたのか勤務時間外のせいなのかちょっとタメ口がなんか楽しい。
コイツ普段は済ました顔してるのに、艦の幹部陣の中では私と一緒で独身なんだぞー、わはー。
まあ、ストーカーだから結婚出来ないよね。
「いや、ストーカーじゃないが」
独り言に口出ししないで下さーい。
あと、呼んでもないのに艦内カメラ確認して来るのはどうなんですかー?
「呼んでたぞ、酔っ払い」
あれ?そうだっけ?
私の思考、全部口から出てる?
「ベッドまで運べとか男に対して言うな、誤解されるぞ。あと、どう見ても飲みすぎだろう、そもそも複数のアルコールの過剰摂取は…おい、聞いているのか」
そこら辺のゴミを片付けながら近づいてくる男を無視してグイッと手に持ってたワインを飲み干す。
だって片付けてるじゃない。
はい、これも捨てといてー。
「…酔っ払っても記憶は残るタイプだったはずだが、明日後悔するぞ」
ブツクサ言いながら分別するの学者って感じ、お利口さんだねー。
全部片付けて残った缶とおつまみはビニール袋に入れて腕に引っ掛け、部屋の隅に待機している掃除ロボを起動して床清掃を始めさせながらこっちに来る。
やっとこっち来た。
「ほら、部屋まで運ぶから」
お姫様抱っこかしら?
「…分かった、善処する」
落とされないかしら?
「車椅子か荷運び用のカートが良いか?」
わはー、額に青筋浮かびそう。
良い子良い子と撫でてみる。
うーん、まだ薄くないなー、良い遺伝子してるねー。
「本当にやめろ酔っ払い。ベッドに連れ込まれるぞ」

「じゃあ連れ込んでよ」

上目遣いで誘うように笑って見せる。
うーん、最近パーティで鍛えられてるから良い笑顔が出来た。
私の表情筋えらーい。
絶句する男の足に近づいたお掃除ロボがピピッと音を立てる。
慌てて避けた男がパチパチと目を瞬かせながらこちらを見る。
こくり、と喉が動いたのが見えた。
動揺する目に肉欲が染み出している。
あら、意外とイケるものだなぁ。わはー、女としての価値あるぞ自分ー。
いえーい、とちょっと自分に自信が持てる。
「…だからだな、そういう言動は…」
そういえば、今日参加して来た式典のエロ親父にセクハラされたわ〜。
「あ゛?」
部屋まで用意されそうになっちゃった。
えへー、と笑って見せるとダッシュで近づいて来た。わぁ、速い。
「大丈夫か!?」
連れ込まれたらここには帰ってこれませ〜ん。
あ、肩は触られちゃったな。
ガッと肩を掴まれる。
いや、痛いって。
「すまん…」
どうせなら撫でてよ〜。
言うだけタダだよねー、とリクエストしてみると戸惑ってから肩を撫でて来た。
素直か。
34歳の素直クールって需要あるのか?野郎ならあるのかなぁ。
ナデナデ、ナデナデ。
これいつまで続くんだろう?
どうせなら直接撫でる?と羽織ってる上着を脱ごうとするとびっくりされる。
昔は無感動な野郎だなと思ってたけど、意外と表情あるよね。
「…待て、本当に待て…本気なのか?」
なんかすっごく怖がられてる気がする。
本気ってどれ?直接撫でること?それともベッド?
「…後者」
あら、意外と素直〜。
男の子だね〜、そんな歳じゃないか〜。
エッチなことも出来る歳だもんね。いや、流石に初体験じゃないよね?お互い良い歳だもんね。
わはは、そんな苦虫噛み潰したような顔しないでよ〜。
私も君も今まで恋人いたことあるしバージンじゃないでしょ。
でも、うん、そうだね。

「責任取ってね、アルバート」

イタズラっぽく微笑むとスッと無表情になった男に横抱きにされてダッシュで部屋に連れ込まれる。
スゴイぞー、速いぞー。
マジで最短記録なのでは?
そういえば地球に伴侶を抱いてダッシュするレースがあるってネットニュースで見たことあるな。
優勝でしょ、優勝。
初めて入った部屋の知らないベッドで笑っていると男が戻って来た。
こらー、私を置いてどこ行って来たの!
「…シャワーくらい浴びる」
シャワー?それにしては早くない?まあ軍人なんてみんな早いけど。
「待たせたらいなくなるかと思って」
ここまできてそれを言う?
いやまあ、そういうこともあるかなぁ?
「ここまできて逃しません」
わぁお、怖ーい。
あと敬語ー。
「緊張してるんですよ、ほっとけ」
ちょっと拗ねた声。
可愛いなぁ。
わたしもシャワー浴びたい。
「…後にしろ、危ない」
いーのかなぁ、汗臭くない?
うーん、アルコールの匂いがする。
くすくす笑うと羽織ってた上着を取られて、いつの間にかベッドの横に置かれた椅子に投げられる。
あ、シワになるでしょ!軍人のくせに制服を乱暴に扱わないの!
もー、仕方ないなーと笑っていたら、靴を取られる。
そっちはベッドの下に隠される。
なぁに、逃しませんって事?
「えぇ、そうですが、何か?」
うわー、いやらしい顔〜。
スケベー。
「男はみんなこんなものだろう」
いや〜どうかな?コノエ艦長とか〜そうそうノイマンさんとか紳士っぽ…

いきなり押し倒されてズボンを手早く脱がされた。

早くない?
いきなり性急じゃない?
「…ベッドで他の男の話はマナー違反だろう」
ペナルティだと男が意地の悪そうな顔で次々服を脱がせてくる。
まあ、そういえばそうか。
ペナルティならしょうがない。
インナーは脱がせづらいだろうと自分で脱ぐ。
ついでにブラも外しちゃえ。
なんか動揺された。
私が積極的になるたびに、この人動揺してないかしら。
「…うるさい。こんな事になると思ってなかった。僕の事好きじゃないはずだろう」
そだねー。ストーカーだからねー。
グゥって息を呑む気配がする。
なんか耐えてるような顔。

「じゃあ、これからいっぱい好きにならせてね」

押し殺した声は悲鳴に近かった気がする。
なにそれ、失礼じゃない?
なにかをさらに耐えるような顔をして性急に靴下を脱がされる。
ちょっと驚いた顔をされた。
なに?ペディキュアなんてみんなしてるでしょー。
「そういうものか?」
あれ?艦内で恋人作った事ないタイプ?
オシャレ出来るところなんて限られるから、女性クルーは大体ペディキュアで化粧欲を発散させてるのに。
靴下を脱いで楽になった足を男の太ももに置いて足の指をワキワキさせる。
うーん、今回のグラデはうまく行ったな〜。
私の髪と目の色に合わせて基本ベースはオレンジ色で先っぽの方がオリーブ色になった爪をほら、キレイでしょ、と男に見せる。
ストーンとかはさすがに使えないからねー、色だけの勝負なんだよねー。
「なぁ」
なぁに?
「…他の男にこんな事してないだろうな」
ペディキュア?うーん、どうだったっけ?
シンに見せたことあったかな?
「…おい」
やだなー、ルナマリアも一緒だったよ。
どこだったか忘れたけど、どっかの難民キャンプの手伝いした時にめちゃくちゃぬかるんでて靴の中までぐっしょりでさー、ミレニアムに入る前に検疫あるし検査用テントで服着替える前に足洗ったの。
そしたらルナマリアも私もペディキュアしてたからシンが女の人はみんな足の爪塗ってんの?って
ペディキュアって名前も知らなかったみたい。
シンが綺麗だってルナマリア褒めて、ついでみたいにアーサー副長のも綺麗ですね、って褒められちゃった。
シン?そのあとルナマリアにもー!って叩かれてたよー。
2人とも可愛いよねー、私より早く結婚しやがったけど。
うーらーぎーりーもーのー。
生死を共にした元ミネルバクルーなのにー。
いや、今はミレニアムが家だもんね。
ミレニアムクルーが家族だもんね。
取り止めも無く喋ってると手持ち無沙汰なのか、男がペディキュアを撫でる。
くすぐったいなぁ。
ふふふ、と笑う。
「アーサーらしい、似合ってる」
ヒョイと持ち上げられ、親指のペディキュアにキスされる。
…シャワー浴びてないよ?
やっぱ今から浴びて来ようかな?
「後で」
浮かそうとした肩を押される。
反動でちょっと浮いた腰が手で支えられる。
そして。
あー。
うん。
最後の一枚も失ってぜーんぶ見せちゃってる。
こうなるとバスローブだけだろうけど服を着てる男が憎い。
蹴ってやれ。
男の太ももを跨いでいるような格好なのでふくらはぎをウエストあたりにえいっと叩きつけてみる。
うーん、力が入らない。
えいっえいっと何度かすると男が膝を持ってやめさせる。
「それ、ちょっとヤバいので、ダメです」
敬語ー。
「アーサー、ちょっと待て本当に」
なんか顔を赤くした男がベッド横のサイドテーブルの箱を手に取る。
いつの間に用意したのか、そういえばシャワー前になんかゴソゴソしてたっけ。
準備良いなぁ。
「…アーサーの部屋のメディカルキットにも入っているだろう?」
呆れたような声。
そうだね、避妊具だね。
管理側からすると、女性クルーに航行中に妊娠されて戦えなくなるのが一番怖いし、性病蔓延も怖いから狭い艦内の各部屋の軍用のメディカルキットには普通に一箱入っている。
なんなら補充もどんどんされちゃうし、さらに休憩室の無料ディスペンサーだってあるぞ。
ヤるのは良いから避妊は絶対しようね。
コーディネーターだって普通に妊娠するからね。
医務室にはアフターピルもあるよ。
利用してね。
ミネルバの副長になって最初の頃、使用頻度が高かったのか壊れたディスペンサーの修理の申請を整備班から受けて、顔を真っ赤にしながら詳細の説明受けたなぁ。
しみじみと思い出に浸る。
そういえばあのディスペンサー、アスランがミネルバを攻撃した時に確か宇宙のチリとなったな。
もしかしたら宇宙を避妊具だったものが漂っているのかなぁ?
くすくす笑っていたら、影が落ちてくる。
気がつけば、真面目な顔をした男が顔を近づけていた。
いつものモノクルデバイスは無い。
バスローブはいつの間に脱いだんだろう。
ええと。
つけたのかな、と下の方を見ようとすると、顔に手を当てられる。
「つけた」
なんか恥ずかしそうだったから、まあ見るのはやめておく。
うん、まあ避妊具だって100%じゃ無いし、後で医務室でピル処方してもらって飲もう。
ええと。
…ええと。
もう、他に何か無かったっけ?
「アーサー」
熱っぽく呼ばれて視線を向ける。
ああ、最初見た時から思ってたけど、本当に顔が良いなぁ、この人。
口付けられる。
浅く、次に深く。
「いいな」
尋ねるようなお伺いじゃなくて断言じゃん。
これは拒否権認めませんって声でしょ。
あーでも、熱っぽい視線も声もとても心地良いから。

「いいよ」

抱き寄せるように彼の頭に手をやる。
ウェーブのかかった金髪は私のより若干細いかな。
初めて触ったなぁ。
私の方からもキスをする。
少し満足気な彼に私も気分が良くなる。
触られる。
私も負けじと触る。
頬に肩に腕に胸元に。
彼は男性としては線が細い方だと思うけど、やっぱり脱ぐと私より大きいよねぇ。
背中に抱きついてみるけど、手が向こう側で組めない。
触られる。
深いところまで。
だんだん思考が熱で溶かされていく。
私じゃないような声が私からいっぱい出る。
彼からも普段絶対聞けないような声がいっぱい出てる。
ずっと私を見つめてる目。
欲しい?
良いよ、全部あげる。


気持ち良いかって?そうだね、気持ち良いよ。
そっちは気持ち良い?良いの?良かったぁ。
うん、気持ち良いよ。そんなに確認されるのはちょっとなんか恥ずかしいかも。
だから気持ち良いって。
あーでも、それ以上に、うん、なんか勝った!って気がする。
何に?
うーん、なんだろ?
えーっ、別に誰か他の人考えてるわけじゃ無いよー。
あっ、ちょっとそれはダメ。ダーメ!ダメですー。
ダメ、まっててばぁ…

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ああ、明るいなぁ。
いつもこのくらいに時間に起きているのか、室内灯がゆっくりと明るくなっていくのを感じて目が覚める。
アルコールを摂取した次の日は明かりが目に染みるよねぇ。
あー、うん。
酔いは残ってないよねぇ。
そりゃあね、あの後シャワー浴びたしね。
酔っ払いが心配って狭いのに2人でシャワー浴びたよね。
2人でね。
記憶、ばっちりありますねー。
あーあーあー、昨日の私は何を考えてどういう理由でハインラインを誘惑なんてしちゃったのか。
取り返しつくかなー。
いや、お互い良い大人なんだからワンナイトラブで無かったことにならないかなー。
でも全部あげるとかスゴイ事言っちゃってたな私。
今までのストーカー実績からしたらとってもダメな選択肢だった気がするよぅ。

恐る恐る隣を伺うと、ぱちっとスイッチを切り替えたように目を覚ましたばかりのハインラインと視線が合う。
「おはよう」
「あ、はい。おはようございます」
今度はこっちが敬語になる。
ちょっと不思議なものを見る顔をしてから、水のボトルを渡されるので飲む。
あー、部屋に戻る前に医務室行ってアフターピル貰わなきゃ。
今日は休日だから待機もしなくて良いし、ゆっくり湯船に浸かろうかなぁ。大浴場空いてるかなぁ。
「風呂はやめた方が良い」
「えーっ、なんでー」
口から出てたのかハインラインがしかめ面をしている。
「痕をつけた」
借りた室内着の襟ぐりから自分の体を見てみる。
わぁお、これはダメだわ。
どんだけキスマークつけたの。
マーキングかしら。
ちょっと怖すぎない?
「み、見えるとこにはつけて無いよね?」
ちょっと考えてる。
おいおいおい。
いや、私今日は休日だけど、明日は普通に勤務なんですけど!?
コンパス制服で見えるところってどこ?首のところと手のあたりが大丈夫ならどうにかなるかな?
最悪コンシーラーとファンデで隠れるだろうか。
な、夏服じゃ無くて良かったー。
半袖開襟シャツだと隠れる気がしない。
慌てて体をチェックしている私を放って、ハインラインはタブレットを真剣な顔をして操作してる。
仕事かな、お邪魔かしら?
「今日は僕の方は非番だ」
今はミレニアムは寄港中だし、緊急性のある案件は無かったし、それなら大丈夫かな?
何かしてるなら帰った方が良いかな、とベッドから降りようとすると引き寄せられる。
…ちょっと腰持つのやめて欲しいなぁ。
昨日の今日だから思い出すでしょー。
軽く腰を撫でる手をツネってやる。
睨まれてしまった。
えーっ。
タブレットをこちらに差し出してくる。
思わず受け取って、表示されてるのが書類のようなのでざっと見出しだけでも読んでみる。

【健康診断書】
【婚前契約書】
【婚姻届】

…気が早くない?
いや、それはお互い良い歳ですし、責任とってとも言ったけど、私もハインラインも告白すらまだじゃない?
そういえばここまでヤって「好き」とか「愛してる」とかすっ飛ばして言ってないよ!?
気持ち良いかどうかはめっちゃ確認しあったけど!
ていうか遺伝子相性見てないから、そもそも婚姻統制的に結婚出来るか分からなくない?
いや、そもそも私はハインラインのことどう思ってるんだろう?
体を許すくらいには嫌じゃ無くて、でもストーカーで過干渉なところは嫌。
2人で気持ち良くなれちゃったし、嫌悪感無いし、体からでも付き合っちゃっても良い感じ?でもハインラインは婚姻届とか出してきちゃってるんですけど?
え、どうなのこれ。
ぐるぐる考えてるとハインラインがこっちに向き直る。
「アーサー、好きです」
あ、告白された。
「愛してます」
あ、はい。どうもありがとうございます。お気持ちは嬉しいです?
「結婚して下さい」
……えっー!だからどうするのこれー!
「アーサーは?」
ハインラインがニッコリと笑っている。
技術部のクルーが見たら恐怖のあまり気絶するくらい綺麗な笑顔。
顔が良いよねぇ、本当に!
絶対自分の笑顔の価値知ってるでしょ!
「ええと、ハインライン…」
「アルバートと呼んで欲しい」
「ア、アルバート、す、好きかどうかと言われるとまだちょっと気持ちの整理が出来ていないというか」
アルバートが圧をかけるように笑みを深くする。
ええい、ここまで来たら覚悟決めろ私!
「責任取って、私に貴方を結婚したいって思えるほどいっぱい愛して!」
気恥ずかしいので一気に言って抱きついちゃえ。
ぎゅーっとしてたら抱きついてたアルバートがポフっと倒れた。
あれ?
「ちょっと、それは、卑怯」
何か耐えている?
息が荒い気がする。
誤魔化すように咳払いしまくってる。
「大丈夫?」
よいしょっと抱きついていた手を外して、なんとなくお腹にもたれかかってみる。
わー、喋ると震えるなー。
デスクワークなのに意外と腹筋あるよね、いつも怒鳴っているからかなぁ?
スゴイなーとペタペタ腹筋を触ってると、起き上がったアルバートに腕を取られる。
「アフターピルって72時間以内でしたよね」
うん?そうだよ?
「アーサーは休日ですよね」
ですよ?
「僕、今日は非番なんですが出勤の予定はありません」
さっきもこの会話してないかなぁ?
でも、なんだかさっきと違って不穏な気がする。
アルバートがサイドテーブルにタブレットを置いて代わりに箱を手に取る。
昨日も見た手のひらサイズの箱。
あれー?
「アーサーは本当に無防備で可愛いですね」
そういえばさっきからなんで敬語なの?
なんか仕事中にイヤらしい事してるみたいで居心地悪いんだけど。
「ああ、そうそう。ウエディングドレスはアーサーの好きなものを選んでくれて良いですけど、アーサーの可愛い姿は全部一番最初に僕が見たいので一緒に選ばせて下さいね?」
恐る恐るアルバートの顔を見ると、それはもう嬉しそうで楽しそうな満面の笑顔だった。

結局、アルバートの部屋でシャワーを2回浴びることになった。

次の日、体がガッタガタでアルバートに止められたけど、意地で出勤したら速攻コノエ艦長にバレて説教くらった。
誘ったのは私ですけど、悪いのはアルバートだと思います!って言ったらコノエ艦長がすごくショックを受けてしまってた。
さらに悪ノリしたアルバートが「お父さん、娘さんを僕に下さい」ってベタな台詞を言って殴られたら、あまりの騒ぎに憲兵まで呼ばれて良い歳した大人が…って3人揃って怒られてしまった。
さらに憲兵に気をつけて発言するように、と私だけ怒られた。
…えーっ、私が悪いの?
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