〝翳喰らい〟について


概要#


 その昔、城一つを瞬く間に覆い尽くした眠りの呪詛として伝承される茨状のUDC。
 現在は式子の足元の影に深く根を張っている状態にあり、分離する事はほぼ不可能と言われている。

 〝翳喰らい〟という呼称はUDC組織が便宜的に使用する仮のもの。
 幾つかの古い書物では〝死都の番人〟〝墓守〟〝貝殻の城を覆う荊棘〟等、複数の名で描写されている。


 直接的な攻撃手段は持たず、ただ手近な影へと茨を延ばし活力を奪うのみ。
 なお伝承にも語られるように、活力を奪い尽くされた者は昏睡状態となる。

 影の茨に長時間拘束され続けた場合には、その対象をいわゆる低栄養、低体温の状態にまで至らしめ、そこから更に時間をかければ衰弱死させる事も可能。
「頑張れば殺せない事も無いです」
「ただ、とてつもなく時間がかかります。銃を向けた方が早いですね」
「人一人殺すのって滅茶苦茶に大変な事なんですからね」


 とある邪教団体が崇める主神の眷属にあたるUDC。
 過去には国一つを茨で覆い尽くし、主神に捧げる供物として丸ごと〝副葬〟した事もあるようだ。

 古書などを紐解く限り、現時点では主神と思しきUDCは既に骸の海に沈んでおり、ある種の休眠状態にあると目されている。
 その眷属たる〝翳喰らい〟の本体も既に討伐あるいは封印されたと伝わっているが、その召喚に必要とされるアーティファクト〝翳喰らいの瞳〟は現在も幾つかが遺っている。
 その内の一つを所持しているのが式子である。



モチーフ、元ネタ#


 童話の【茨姫】と【眠れる森の美女】。
 そこに登場する【城を覆い尽くす茨】が〝翳喰らい〟の元ネタ。

 【茨姫】と【眠れる森の美女】は、作者は違えど同じ民話を元とする御伽噺である。
 二つの童話で語られる【城を覆い尽くす茨】には、その描写に違いがある。
 【茨姫】においては、悪い魔法使いが齎した眠りの呪詛が、城全体に及んで作用したもの。
 そして【眠れる森の美女】においては、呪詛を弱める贈り物をした善い魔法使い自身が、姫が目覚めた時に不自由しないよう城ごと時間を封じ込めて施した結界のようなものである。

 かたや呪詛、かたや祝福。
 ならば自身の仲間達を昏睡状態へ追いやったこのUDCは、そして今や人助けの御題目の元に振るわれるこの茨の力は、果たしてどちらなのか。
 黒江式子は善い魔法使いなのか、悪い魔法使いなのか。
 当人の色々な葛藤の末、今の所は、【せめて善い魔法使いになりたい】と言う結論に落ち着いている。
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