ポケモンと学校


・過去スレで定期的にあがるポケモンパロディ
・本当に冒頭だけ。追記はあるかわかりません
・書きたいと思ったんですが過去スレのネタ拾ったらクロコダイルが曇る未来しか見えないのでちょっと誰か代わりにこれあの


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 学校というのは中々に楽しいところだった。
 食堂のデザートは美味しいし教師の話す授業の内容は興味深い。
 仕立ての勉強をしてみたいと話すと学べる場所を調べてもらい校長のつてを使って島に昔からある仕立て屋に雇ってもらい弟子入りもでき利用しがいのある場所だ。
 寮はあるがクロと離れるのは嫌だったので通いだったし3年の時クロが顔に大怪我を負って手術代を稼ぐ為に単位が足らず留年が決まったが特にペナルティも無いし居心地は悪く無い。デザートは美味しいし。
 何より学校の話をするとクロが楽しそうな顔をしてくれるのが一番良かった。
「楽しそうだよな。学校って」
 相棒のショコラの頭を撫でながら呟いた言葉に私は聞いてみる。
「学校行きたい?」
「行きたい!」
 キラキラした瞳に快気祝いと誕生日祝いのプレゼントが決まったのだ。

 
 ◆◇◇◇◇◆


 スマホロトムの声が聞こえて制服のボタンにかけていた手が止まる。
 鏡の前から離れて机の上のスマホを取りベッドに座って画面をタップすると昔より低くなった声が聞こえてきた。
「久しぶりクロ!お昼頃そっちに着くけど会える?」
「事前に連絡しろって言ってるだろなんでギリギリに言うんだよ!」
「あ⋯⋯ごめんクロ。駄目だった?今年は会えない?」
「今日は午後から授業は取ってない。ただ実技あるから伸びるかもしれねぇ。終わったら行くから噴水で待ってろ」
 もう入学して3年目だがアニキの勝手な性格は改善されていない。

 入学が決まった3月。夏から入学式だと張り切るアニキは
「これで少しの間だけど、一緒に通えるよな」
 と、気楽に言うおれに更に上をいく呑気さで返してきた。
「私は学校やめたから一緒には行けないよ」
「⋯⋯⋯⋯は?」
「クロの為に寮取ったから!サウロ先生から聞いた一番良い部屋。下見もしたけど気にいると思うよ。私は毎日ここから通ってたから朝早かったけどこれならギリギリまで寝られるし、効率も良くなるね」
 まくし立てられる情報は右から左に流されていった。その時になってようやっと、アニキが学校を中退し仕立て屋に就職して毎日仕事に行っていた事を知ったのだ。
 楽しそうに話すアニキにおれが去年言った軽率な言葉がどんな事態を引き起こしたのかを見せつけられて。
 そこからおれはアニキに人生で初めて説教した。注意じゃなくて説教だ。途中水を飲んでは怒鳴り続けて喉が痛くなってもまだ足りない。喜ぶと思ってと項垂れるアニキに泣きたいのはこっちだと言う台詞はのみ込んで叱り続けた。
「もう学校行きたくない?」
 ぜーぜーと声の出し過ぎで止まらない呼吸の乱れと咳にアニキが心配そうにしながら言ったその言葉におれは最終的に「行く」と答えた。
 もう入学金は払っていて新しいピカピカの鞄は袋に入って使われるのを待っている。制服だってアニキが計って注文済み。今更引き下げるには遅すぎるし、おれが学校に行ってると思い込んでいる間アニキがしていた仕事も想いも無駄にするのはごめんだった。
 ただ一言。
「もう勝手に決めるな」
 そう頼んだ。色んな事を頼んできたがそれが多分アニキに一番真剣にした願いだ。

 
 



 
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