錯乱アスラン


●就寝

ナルラン(今日の俺も無敵で素敵で眩しいくらいに輝かんとする最高の存在だった!
俺も準備に加わったのだから当然ではあるが会議も無事に終わってカガリの笑顔も見られた幸せな1日だった。
ずっと休日返上で働いていたから明日は久々のオフ!何故カガリは仕事なんだ?!仕方がないとはいえ残念でならない。せめて昼食だけでも!と思ったがどうやらラクスと約束しているようだ。俺は寛大な男だがそれでも限界はある!今回は許すとしてもカガリの次の空き時間は俺のものだ。分かっていのだろうな、ラクス!!

明日の予定は、午前中はトレーニング、午後から6冊目の写真集に取り組むとして…ハロの開発は16時くらいからだな。よし!素晴らしい明日を迎えるためにも今日は寝る)

ナルラン「…カガリ…愛…俺…最…Zzz…」


●起床

(チュンチュン)

アスラン(…朝…か?なんか…頭が痛くて…今日はトレーニングに写真集にハロ開発をと思っていたがもう少し寝てようかな。休みで良かった。って写真集!?写真集ってなんだ…!?え?夢?は?え?)

アスラン(痛い…ベッドから出るのに転けるなんていつ以来だろう…)

アスラン(…変な夢見たな。頭が痛い。とりあえず水…立たないと…身体が重くて)

[壁に貼られた一際大きなカガリとのツーショット写真…と多数の自分の写真]
[反対側の壁に埋められた大きな鏡]
[自分をモチーフにしたハロの設計案]
[新しい写真集の構想]
[本棚にディスプレイされた複数の自作の写真集]

アスラン「!?!?!?」

アスラン「…………」

アスラン「はぁーーーーーーーー?」(チュンチュンチュンチュン)


●記憶

アスラン(どうなっている?何が起きたんだ?夢じゃなかったってことか?嘘だろ?確かメイリンが渡してくれた薬を飲んで…

《メイリン「(対象に夢中になるから)頭がスッキリして(愛のパワーが漲るから)疲れが取れるらしいですよ。効果は一時的だそうですが、問題となるような副作用も無いそうです」

アスラン「大丈夫なのか?そういう類は依存性がある場合が多いが」

メイリン「効果が切れたときに軽い頭痛や倦怠感がある場合もあるようですが、それも一時的らしいですね。依存性は確認されていません(誰を好きになるか分からない惚れ薬を何度も飲みたがる人なんているはずがないから当然だよねー)」》

まさかあの薬の影響で?確かに精力的に動けたが!?嘘だろ?)


●親友

アスラン(とりあえず頭痛と倦怠感が一時的らしいのは助かった。まずは現状確認だ)

アスラン(どうしたら…現状の全てに心当たりがある。…キラ、ニコル、助けてくれ。そうだ、キラに相談…ってなんて言えば良いんだ?ええい!今後の事含めて兎に角相談だ。明日の出勤…は無理でも次にカガリに会う前には何とかしないと)

[プルルルルル…プルル…]

アスラン「キラ!頼む!助けてくれ!」
キラ「アスラン何〜?まだ8時半じゃないか。どうかした?」
アスラン「それはすまない。だがそれどころじゃないんだ!実は…あの、」

ラクス「キラ〜!朝食が出来ましたよ〜早くいらしてくださいな〜まだ寝ているのですか〜?」

キラ「あ!ごめんアスラン。後にして!じゃ」

[ブチ]

アスラン「…」


●訪問

[ピンポーン。オーブ運輸でーす]
アスラン「ありがとうございます」
[毎度ありー]

アスラン(これはっ!?5冊目の写真集!!マズイ!今回はアスハ家が色々無償で手配してくれて、カメラマンや製本も全てプロの方だったのもあって、発送も任せてしまった。
俺に届いたってことは当然カガリにも今日届いてるのか?いや、カガリは仕事中だからまだ見てない可能性が!だが、そもそもアスハ家が主体な時点で俺にどうやって止めることが出来るんだ…!

そうだ、イザーク!?どうするんだ!?配送先にあいつも指定してしまったぞ!?
何をやっているんだ俺は!
「ご友人にも送付されたらいかがですか?」と言われて記憶にあったあいつの実家の住所を伝えてしまった。あいつの趣味を知っていたからだが、いくら趣味に関する本だとして俺の写真集なんて喜ぶはずがないのに!!あの時の俺は何故そんな簡単な事に気付けなかったんだ。
くっそ、せめてあいつ宛だけは止めなくては!
幸いプラント行きは到着までタイムラグがあるから事情を話して何とか止めてもらって!
それが無理でも今からズゴックで追いかければ!

ん?メール着信?

「写真集の全御指定先(3件)への配達が完了しました。プラント宛は時間がかかる予定でしたが大型連休前のチャーター便に乗せられたこともありオーブ時間本日午前9時10分までに受け渡し済みです。」

プラント宛→大型連休前(9日前)発送
俺→連休明け(昨日)発送

ってことなのか??!!!!何故そんなことに!!!…終わった……よりによってあいつに知られたなんて!!!もうズゴックを核爆発させるしか…ってなんであいつの為に俺が死ななければならないんだ!ふざけるな!!そうだ、生きる方が戦いなんだ!!…だがどうしたら!)


●対処

アスラン(…起こってしまったことはどうしようもない。とりあえず落ち着こう)

アスラン(鏡は不要だから処分するとして…写真…カガリとのこれは…このままにしておこう。…他のも…全部誰かと撮ったものなんだよな。シンが俺の横で笑ってるなんて信じられないが…父上と母上とのやつも結構あるな。わざわざ引っ張り出して飾ったんだ……やめた。写真はこのままにしておこう。どうせ誰も来ないんだ。問題ない。
写真集は…俺だけが持ってるなら即処分だが同じ物をカガリに渡しているからな。一応しまっておこう。全くなんて黒歴史だ。
ハロは…流石に無いな。でもモチーフと音声だけ普通のに変えれば…いや駄目だ!周囲の状況や雰囲気に合わせて俺の写真や動画を自動再生する等身大立体プロジェクター機能は犬か猫に変更しよう。
6冊目の写真集だけは却下だ!!こんなの贈ったらカガリだって迷惑に決まってるだろう!寝室か居間あるいは執務室に設置した笑顔のカガリを思い浮かべてたのは覚えてるしアスハ邸や行政府の天井の高さを確認したのも覚えてるが!!!兎に角却下だ!!!)

参考)6冊目写真集案
180°見開きサイズ「高さ3200mm(キャスター部込)✕幅5500mm✕奥行750mm(転倒防止ストッパー込)、1ページ厚み3mm」
基本機能「頁数60(最終ページは見開きにしてスクリーンや鏡としても利用可能)、手動及び音声による自動ページ送り機能とそれを利用したうちわ機能、スピーカー機能、間接照明機能、ハロとの連携機能、緊急通報機能、各種センサーと攻撃システムによる不審者、毒ガス検知及び危険物排除システム、大容量非常用電源システム、通信妨害システム、ボスが来たオートシステム…」

アスラン(皆にはなんと言おうか。「薬でおかしくなっていたから」で全て知らぬ存ぜぬで通すのはどうだ?記憶喪失ということにするとか?いや、散々迷惑をかけてのそれらは無責任だ。やはり事情を説明して分かって貰うしかない)

アスラン(ああ…一体どうしたら…)


●期待

アスラン(やってられるか!!全くメチャクチャだよ俺は!!……騒いだところで仕方がないのは分かってる…まずは何か食べよう。そういえば朝食もまだじゃないか)

アスラン(冷蔵庫に色々入ってる…そうだった。「強く美しい俺が病気で死ぬようなことがあっては宇宙の損失だ」とか言って健康には気を使っていた…栄養ドリンクとは無縁の日々だった。とりあえず今は作り置きのスープを飲もう…美味しい…折角だから玉子とベーコンでも焼くか…ついでだからパンも温めて…トマトとキュウリも切ろう…何というか…なかなか良い感じの朝食になったな)

アスラン(思えば…不思議と充実した日々だったな。シン達とも何故か上手くやれて…今までなら俺が喋るとおかしな雰囲気になってたのに、言いたい事を全部口に出して、やりたいことを全部やっても皆笑顔だった。俺も当然笑顔で…実はこれはこれで有りなのか…?)

アスラン(…父上もああいう俺の話なら聞いてくれただろうか?ああいう俺なら…両親に愛して貰えただろうか……そうだな。そうかもしれない。イザークなんて昔からやりたい放題なのにエザリア様との仲はずっと良好だしあんな性格なのに友人も多い
…それとも…俺もあんなふうに愛されていれば迷わず真っ直ぐ進めたのかな?)

アスラン(…もう少しだけこのままでも良いかもしれないな。6冊目のあの写真集だけは絶対にやらないが!…そうと決まったら少し休もう。2時間も寝れば身体は回復するだろう。起きたら今までの言動の再確認とイメトレだ。大丈夫、少しの間だけだ。ミーアのように他人に成り変わる訳じゃない。もう少しだけこのままで)


●翌日

アスラン「よし!行くぞ!俺は最高で最強の男、アスラン・ザラだ!!」



●メイリン

ルナマリア「えぇーーー?じゃあ、ずっーと演技してたってこと?」
メイリン「そうみたい」
ルナマリア「だって全然違和感なかったわよ」
メイリン「私もずっと自信満々の自分大好きアスランさんにしか見えなかったけど…だってアスランさんだもん。本気で演技されたら見抜けないよ」
ルナマリア「うーん。でも確かに予想外のとんでも発言とかは最近無かったかもね。でもなんでそんな事したのかしら?」
メイリン「そんなの分かんないよ。言い出せなかったのかなぁ?」
ルナマリア「あー、それはあるかも?確かにあれだけ別キャラに変わってたらねぇ。…でもあんたいい加減にしなさいよ?人になんてものを飲ませてるのよ。下手したら犯罪よ?」
メイリン「はーい。私も疲れてたのかなぁ」
ルナマリア「疲れてたじゃないわよ、まったく」
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