僕が何年か前に書いた結末がない途中までの作品w ドクターストーンにハマってた頃だぁw


「アース」 静波 亮(しずなりょう)

 ものすごく嫌な夜だった。
汗で布団やら服やらはびっしょり、その上、髪も変な風に固まりそうである。
「うわぁ、ものすごい見た目だぁ。」
なんて独り言を言いながら、身支度を始める。風呂に入り、体を洗って少しばかり湯につかる。この時、寝違えた部分や動かず痺れた部分を癒す。7分ほどでしっかり温まり、湯舟から出て水を抜き、体を拭く。外出用の服に着替え、顔に保湿用のクリームを塗付する。それから化粧をして、荷物を整え、まだ暗い夜に外へ出る。腕時計を見て、目的地に急いだ。
「やば、もう2時43分?!3時まであと20分くらいしかないじゃん!!」
 肩で息をしながら長い階段を上り、やっとエレベーターまで着いた。今乗っている人はいないとはいえ、やはり待ち時間は遅い。
 静かにドアが開く、その瞬間、声が2つ上がった。
「「あ」」
 目線が合った。お互い、初めてここで人と会ったというような顔をしていた。
驚いて顔から靴まで、まじまじと見る。明らかにそれは自分だった。しかも昔の。だが相手は気づいていない。無理もない。それが自分だったとして、今の自分と昔の自分では違いすぎるからだ。興味がわいた。取り敢えず名前を聞いてみる。
「君、名前、なんていうの?」
すると昔の自分―恐らく、だが―はこう言った。
「ボクは雨海 霧(あまうみ きり)です。」
やはり、そうだ。自分だ。昔のずる賢い自分。ずる賢いから、自分で考えたアカウント名を言っている。
「え?本当に雨海君なの?実は俺、雨海君のファンなんだぁ。」
この娘は嬉しがってくれるはずだ。これだけでも少し、愛着がわく。優しくてずる賢い性格だった昔の自分ならば。そして完全に信用されるための条件である、本当にファンである証拠を言う。
「いつも宇宙科学の知識登校してる男子小学生でしょ?いつも見てるよ!」
+αでわざと台詞を短くしてみる。このころの信用できる条件をほとんどすべて把握している。勿論、昔の自分だからだけど。
「ほ、本当にボクの事を知ってくれているんですね!いつも見てくださって有難うございます!まさか数少ないフォロワーに会えるなんて、なんて幸運なんでしょう!」
真っ黒で、其れでいて憂いを持ち美しい目元が笑った。本心だ。
「実はボク、男の子なのは心だけで体は女の子なんですよ。だけど、皆霧って呼んでくれます。だからあなたも霧って呼んでくださ・・・あ。」
 忘れていたがここはエレベーターだ。勿論話をしていては自然に扉が閉まる。間一髪で〈開〉を押しエレベーターに乗り込む。どうやら霧は下りないようだ。此処はエレベーターで降りれる一番下だというのに。
「霧君。この後時間ある?あるなら特別なもの見したげる。」
言った後に不審者のような口ぶりだったのに気づくが、この娘は逆にこういう方がいいことに気づき、少し安堵する。
「特別なもの、って何ですか。」
少し居心地が悪いので、ため口にしてもらうことにした。
「特別なものっていうのは、たぶん君が知らない星のことだよ。今から屋上に行って、望遠鏡でその星を見る予定なんだ。」
さすがにここまで説明すれば来てくれるだろう。
「解った。連いてく。」
笑顔でそういう裏腹に、目元が少し強張り、手に何かを強く握るのが見えた。この娘は体術が無理な分、電子機器を沢山持ち合わせるような娘だ。今ポケットにスタンガン、手にキッズフォン、裏ポケットにはミニor普通サイズのカッターナイフが入っているはずだ。
俺は返事を聞いてそう考えると、エレベーターのボタンの16を押した。
本当にこの街、この文明は何も進歩していない。歴史の資料を見ていると、20年前から時間が止まったように何も進んでいない事も解った。
進歩しているのはこの娘だけだ。だが、この儘同じ人生を送れば、2年後にパタリと進歩できなくなるだろう。実際に今の俺はそれから3年たった今でも研究が止められている。
 上に上がる感覚が突然なくなり、ドアが開いた。2人しかいない廊下にパタパタと足音が響く。時計はもうすでに2時55分を回り始めていた。屋上に上がる階段はもう少し先だ。昇る時間は1分もかからないが、会談に行くまでの時間は5分ほどかかる。ここは廃ビルだ。もういっその事、走ろうではないか!
 声をかけて二人で走る。ここは少し霧にペースを合わせる。でないと信用を無くしてしまう。
2分ほどで階段についた。あとはゆっくり階段を上って屋上へ行き、7時に設置した望遠鏡のところへ行った。
 望遠鏡は実は自分が作ったもので、お金がかからないよう、親から受け継いだ山から物資を整えて作った。だが、傍から見たら気が付くことはない。気が付いたとしたら相当なメーカーオタクだろう。
 何処の望遠鏡にもないほど、世界で一番高い精度のものの600倍くらい、ズーム、或いはアップできるようになっている。
 その望遠鏡を一番ズームさせた。すると一つ、綺麗な青い球体が映った。
「え、何これ、オウスみたい…」
 オウスというのは、今の俺たちが住んでいる星の事だ。そのオウスみたいな球体は、いろいろな島々が並んでいる。オウスのように、一つの陸地ではなく。
「これはアースだ。これは外国語だね。この国の言葉で言うと『地球』…」
「地球って、そのままじゃないか。ボク達が住んでいる星ではオウスとしか言わないのに…不思議だ…」
 確かに、不思議だ。
自分が作った世界最先端()の望遠鏡で見るアースは、オウスと似すぎている。言葉や文化まで、同じ文化で、同じ常識だ。
「ねぇ霧。」
呼ぶ。
「アースに行きたいと思わないか?」
返答は…解っている。理由まで手に取るように解る。
「いかない…まだ準備ができてない。行けない。行けたとしても、言語が違う。だって遠すぎるもん。」
やはりそう思うだろう。そもそもアースの事を知るわけもないのだ。アースの事を知っている人間は、アースに住んでいる人たちと、オウスでは自分だけしか知らないのだ。
「そもそも貴方から自己紹介されてない。」
 一つだけ忘れていたことに気づく。そもそも自己紹介をしていなかった。
一瞬で考えを纏めた。
「俺は、巧緻 隆(こうち りゅう)。17歳。一人暮らし。科学者に_成ろうとしているただの少年だよ。」
少し格好つけてみた、今の一瞬で考えた名前だったが、それで十分だった。
霧の表情は、最初のように強張っていなかった。少し、驚いた表情だった。そして柔らくて優しい表情になり、言った。
「隆は、アースに行こうとしてるの?」
少女の声だった。今までの霧の声よりもとても高い。少女の声。知っている。この声が地声なのだ。今まで無理して少年の声を出していることに気づいてないとでも思ったのだろうか。まぁ正しくは少年というかショタのイメージが強い、可愛いキッズの男子の声だったが。
そして、また、オレも同じなのだ。一時期声優を目指していた時期が、霧という名前が作られる前からあり、友達に、声の百面相、とまで言われていた頃もあった。1歳から20歳までは1歳ずつ声を変えられるほどだ。
―自分も、戻さなければ。
そんな衝動に駆られ、びっくりしている自分を他所に、口は動いていくのだった。
「オレの夢は、アースに戻ることなんだ。実は俺の生まれはアースの日本という国でね。4歳くらいの頃、研究に失敗して、その性分でしてはいけないことが織り交じって、毒で毒を制す形になったと思いきや変な毒ができて、それを飲むとオウスに来てしまったんだ。」
本当の事だ。すべて、本当のことを、幼い自分に伝えただけだ。
 霧の乾いた唇がそっと開いて息を吸い、こう言った。
「ボクもだ。さては隆。お前、ボクを呼んだな?隆からして昔の自分を呼んだな?」
「そうだよ。仮説は正しかったんだ!オレの!こんなの世界初の技術だ!やっと…やっと注目してくれるんだ!世界中が!そうしたら、堂々と…堂々と、いつでも研究が続けられるじゃないか!!!!」
ついにはばれた。霧の人生を変えたかったのもある。だが、そんなことは言えない。言いたくない。そもそもいう前に気づいてくれるだろう。

はぁい終わりですw
ここまでしか書いてませんでしたw
何を思って書いたんだいったいw
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