まーちゃんとたー坊


純愛快楽堕ちスレ14より ※無断転載禁止


ほら、立ちなよ? 男の子だろ?
……あ、ありがとう……

その子は、他の子よりちょっと肌の色が違くて、目の色が綺麗で、華奢な子だった。
そんな外人みたいな外観で、よりによって名前が“武尊(たける)”なもんだから、学校のみんながよってたかって面白半分でそいつを揶揄ってたんだ。
そんな光景が許せなくて、思わずあたしが手を差し伸べたのが、一番最初。

「……まってよ、“まーちゃん”」
「“たー坊”が遅いんだよ!」

その日からそいつは、あたしの後ろをちょろちょろついてきて、ずっと弟が欲しかったあたしとしては、なんというか……
子分ができたみたいで、ちょっと嬉しかったんだ。
それからこの子分とは、ずっと一緒にダラダラしたり、たまにパシリにこき使ったり、そうして青春を過ごしたてきた。

一応他人で、一応男の子だけど、たー坊には好きとかそういう気持ちは、ずっとなかった。

……多分……なかったんだと、思う。


“まーちゃんとたー坊”


「あ゛あ゛〜〜〜ん、なんでよぉ〜〜〜っ」
「まーちゃん、ほら涙拭いて……」

飲み干した空き缶を握りしめながら、鴻真利江(おおとりマリエ)は乾き物と缶ビールの散らばったローテーブルに顔を突っ伏して、昔なじみの友人にして“子分”の風間武尊(かざまタケル)に介抱されつつもしくしくと泣き腫らしている。

タケルこと“たー坊”に差し出されたティッシュで鼻を噛むたび、ゆるくウェーブした美しい赤銅色の髪があっちこっちに跳ね、その悲惨さを倍増させていた。
素面ならおそらくかなりの美人の筈の真利江だが、スウェット姿で怒り狂いながら大いに酒に酔い、涙と鼻水でぐしょぐしょになった今の彼女を真摯に口説こうとする様な物好きな男はいないだろう。

そのくらい、彼女は荒れていた。

初めてできた彼氏に浮気をされれば……
しかも純潔を捧げた相手ならば、尚更だった。

「じぐじょぉ〜〜っ! あのやろ〜っ、なんで浮気なんかすんだよぉ〜っ」

あたしの何が悪かったんだよぉ〜っ
と、恨みのこもった声色で唸る真利江は、鼻を真っ赤にし涙をたたえたまま傍に寄り添う、大型犬の様な人懐っこさと、少々エキゾチックな雰囲気を併せ持った青年の胸に飛び込む。

「だーぼぉっ、なんとがじでぐれよぉ〜〜っ!!」
「はいはいよーしよし」

女性としてのプライドを酷く傷つけられた真利江に、少し飴色の混じった肌の色の青年は、穏やかな表情で、ゆっくりと優しく頭を撫でた。

この青年、風間タケルの血には少しだけ海外の血が入っている。

タケルの祖母は、内戦中だった中東のとある国から戦火を避けて日本にやってきた。その血の影響なのか、外見上風間タケルは男性的でありながら異国情緒を感じる様な少し妖しい雰囲気を纏った青年なのだが、本人の穏やかな性格ゆえか今のところはこの荒れに荒れる年ひとつ上の姉の様な彼女の、不憫なお世話係と成り下がっていた。

……いや、それは今に始まった事ではない。

真利江が小学校時代いじめから彼を庇って以来、彼女に懐くタケルをとにかく便利に使っていた。
遊び相手、パシリ、荷物持ち、マッサージ係、手料理の毒見役、お使いの同行、その他諸々………真利江にとってタケルはいわゆる弟分、もしくは子分といったところだった。
お互い一人っ子であったのもあり、ほとんど姉弟の様に過ごしてきて、高校時代に少しだけ疎遠になってもこうして大学生となりタケルが一人暮らしを始めると、勝手に転がり込んではまるでこちらが主人かの様に振る舞っているのだった。

だが、そんな傍若無人な真利江も、今回ばかりは相当にこたえている。
あまりどちらかというと嗜む程度の酒を浴びる様に飲み、荒れ狂う真利江など、タケルは見たことがなかった。

「う〜〜っ、たぁ坊〜〜〜っ、あたしを元気にしろ〜〜っ」
「はいはい、その前にお水飲もうね?」
「うるさいっ、失恋にはお酒なんだよ!お酒もっとよこせっ!」
「ああっ、ちょっとまーちゃん!?」

真利江は外観こそ清楚でスタイル抜群の美女だが、
その中身は勝気で姉御肌の頑固者だ。
決めるまでは長いが、一度決めたらとにかく突き進む。腕を振ってその胸から抜け出すと冷蔵庫に駆け寄り、白いシンプルデザインの一人用のそこから冷えた缶チューハイを取り出すと、プルタブを開け、強引に流し込んでいく。

今のあたしには……これしかないんだよぉ……と呟くそんなわがまま放題の真利江だったが、心配そうなタケルの視線の先でついにぷつりと糸が切れた。

「まっ、まーちゃん大丈夫?」

タケルが慌てて駆け寄るも、赤毛の美女は天井を見据えたまま、微動だにしない。
しばらくしてようやく小さく、その口を開いた。

「……ファーストキスも、初めても、色んなプレゼントも……頑張ったのに……勇気出したのに……」

浮気するなんてぇ……と、再びぽろぽろと涙をこぼし、壁に背を預けて静かに呟いた。

真利江が今日、偶然遭遇しまった彼氏である龍也の浮気現場。

少し遠出した買い物途中、目の前で傍に見知った後輩を侍らせてホテル街から出てきた龍也を見た瞬間、その光景の意味がよく理解できなかった。

彼は今日朝に、バイトのシフトが急に変わったと連絡があった筈だ。

それが浮気の為の嘘と気づいた瞬間、裏切りを察した真利江にはもうとにかく、怒りしかなかった。
青い顔の彼が言い訳に口を前にすぐさま

「くたばれこのクソ野郎!!」

と鬼の形相で吐き捨て、返す刀でスーパーで酒とつまみを持ち金で買えるだけ買い込んで、避難所であるここに転がり込んだのだ。

真利江の突然の訪問に驚きながらも、いつも通り受け入れてくれるたー坊だけが、今は救いだった。

時間が経つほどに増してくる悔しさと、裏切られた辛さは、長い間を過ごした弟分くらいにしか話せなかった。

「……あたし、焦ってたのかなぁ……」

美貌とスタイルを兼ね備えながらも、その性格からすこぶる身持ちの固かった真利江にとって、大学で出会った龍也の熱心なアプローチに答える事は、相当に勇気の必要な決断であった。
だがその決断の裏には、その心のうちに、どこかで大学生でも乙女を貫いている事に焦りがあったのかもしれない。
……だからこそ、他の女子にも人気がある彼、に精一杯彼女として努力していた筈だった。

お金も、時間も、女として大切なものも、全部捧げた。
だがその結末が、これだ。

女としての矜持を粉々にされ、明日からどうすれば、何をすればいいかわからない。
どうすれば、この苦しみから立ち上がれるのだろうか?
真利江はゆっくりと傍に座り込む青年に、ちょんと頭を預けて悲しみにくれる。

「たーぼぉ……あたし、どーすればいいのかなぁ?」
「……うーん、新しい……恋を探すとか……?」
「ばか、それだとなんか、あたしが男に飢えてるみたいじゃん」
「そうだよね……」
「でも……引きずるのもやだっ!」

さっさとこんなの忘れたいっ!!
と駄々をこねる真利江に、タケルは少しだけ間を置いて、かすかに緊張した声色で口を開いた。

「……じゃあさ、忘れちゃおっか?」

いつも通りの優しいタケルだが、その顔色は少しだこわばっている。その言葉の意味を察した自称“たー坊のお姉ちゃん”はとろんとした目で見返す。

「忘れさせて……くれるの?」

その顔に、なんとも言えない表情を見せたタケルにぷっと吹き出すと、なーんてね? と、力無く笑顔を作る。

「……いいよ? してみちゃう? あたしと?」
「でも……まーちゃん、そんな感じで……」
「……いいんだよ。あたしもさ、次の恋愛見つけるまでこういう記憶は、かき消しておきたいし……」

それに、たー坊だって、エッチなしてみたいでしょ?

そう少し寂しそうに、悪戯っぽく笑う。

……家族みたいなたー坊と寝ちゃえば、
そうすれば、最悪な男に身体を捧げたこの気分も、ちょっとはマシになるかもしれない。

ぼんやり酔った頭でそんな風に、真利江は考えていた。

「……じゃあ、まーちゃんも、シャワー浴びよっか?」

だが、そう答える弟みたいに思ってた青年が、
少しだけ……少しだけ知らない男の顔をしていたのを、

心のどこかで、ほんの少しだけときめいてしまっていた。

◇◇◇◇◇

シャワーを浴びて、最低限の下着と、シャツを着た真利江は、ベッドのうえで居心地の悪そうにみじろぎする。

……別に、もう別れちゃうんだし、後腐れなんてない筈なんだけど……

近すぎて家族みたいな間柄の子に裸を見せるという事が、こんなに恥ずかしいとは思わなかった。

ベッドの上でタケルに後ろから抱かれている様な体勢になると、弟分のはずの青年の体格が、自分よりひと回り大きくて、筋肉質な事がよくわかる。
女として少しだけ鼓動が高鳴るが、それ以上に今は少しだけ感慨深い気持ちになる。

やっぱたー坊も、
こういう事してみたいって気持ちがあったんだなぁ……

自分に彼氏ができた時だって、普通に喜んでくれて、お祝いしてくれたときは、ひょっとして……と、邪推してしまったくらいに純朴なたー坊を、ちょっと揶揄うつもりだったのに、とんとんと話が進んでしまった。

まぁ、たー坊だって男だし、
そういうのには興味あるよね?

……たー坊は多分、どーてーの筈だ。

彼女がいるという話は聞かなかったし、そんな素振りを見せた事もない。
なよなよしてるし、いつまで経っても姉離れできないし、こんなんじゃ彼女だって、まだまだ遠い道のりだ。
お姉ちゃんとして、そこはちょっとだけ心配だ。
こんな時しか経験出来無さそうだから……

ちょっとだけ恥ずかしいけど、
たー坊なら、まぁいっか……

あたしとたー坊の間なら、ちょっとした若い時の思い出程度で済ませられるだろう。

それもなんだか、
ちょっと悔しい気もするけど……

そんな投げやりな感情のまま、真利江は身体を委ねる。
今の自分にとって、こういう事も、胸を貸すくらいの感覚でしかない。

真利江は正直、セックスに対してあまり良い思い出がないのだ。

初エッチもちょっと強引で痛かったし、そのあとも龍也はずっと自分勝手なエッチしかしない、どこそこが気持ちいいかどうかしかの確認しかしないし、終わるとすぐに寝ちゃう癖に飲み会で酒が入ると自分のベッドテクに彼女はメロメロだと周りに吹聴した。

それでも、彼はちょっとカッコよかったし、モテてたし、色んなものをちょっとずつ捧げていけば、いつかはちゃんと好きになるんだと、本当に愛し合える関係にな
れるんだと……そう思っていた。
今考えれば、それも自分にとって随分と都合のいい考え方だとも思えてしまう。
結局自分は恋愛や、こういうものと、すこぶる相性が悪いのだろう。

「……やっぱりまーちゃん、とっても綺麗だね」

そんな真利江の後悔と思考の海から聞き慣れた声が引き戻す。背中越しのタケルが後ろから抱きしめて、耳元に唇を寄せていた。

「……ほんとぉ?」
「うん、お世辞なんかじゃないよ?」

琥珀色に煌めくタケルの瞳と声色が少しづつ妖しさ増している。その男らしくも優しい手が真利江の(正確にはタケルが貸した)Tシャツの上から柔く触れると、やがてその下に滑り込む。
タケルの体温が、アルコールで火照った肌にじんわりと溶ける。

「まーちゃんのお肌……あったかいね?」
「……う、うん……お酒のせい……かな?」

なんというか、正直、すごく心地いい……
見知った間故に抵抗がないからだろうか?

意外な程受け入れてしまっている自分の身体に、
真利江は戸惑う。

「な、なんか変に上手じゃない? たー坊、ど、どーてーの癖に……」
「ふふっ、まーちゃんは知らないんだよね?」
「へ?」
「俺、いたよ? 彼女。……高校時代に」
「うそ……そんな話……ちっとも……」
「でも、すぐ別れちゃったし、まーちゃんに言っちゃうと、まーちゃん遠慮しちゃうだろうなって思って」
「そ、そっか……」

妖しく、だが優しく微笑むタケル。
そんなタケルに高校時代に既に先を越されていたという衝撃より、
たー坊に彼女がいた、
という事に、なんとも言えない嫉妬じみたほろ苦さを感じてしまう。

……べ、別に……なんでもないじゃん……
……たー坊の初めてが他の子だった事くらい……
……あたしじゃなかったくらい……

真利江自身でも不思議な程に感じる嫉妬心……
そんな彼女の素肌にタケルの暖かなフェザータッチが滑り、少し敏感な部分に触れるたびに、柔肌が疼く弄られる。
ただ触れられてるだけなのに、どこか遠くで甘く痺れている感覚に歯止めが効かない。

「はんっ……♡」

もどかしさで思わず心地の良い吐息が漏れ、そんな声を出してしまった自分に真利江は羞恥に震えた。

「……たーぼぉ……やっ、やっぱなし……っ」
「だめだよ、まーちゃん」

ちゃんと最後までしないと……
そう呟くタケルがちょっとだけ強引に足を絡ませる。
ぺたりと膝をつけた座り方のせいで、脛を固定されると内股を閉じる事ができない。
もじもじとか細い抵抗を無視され、そのまま優しく内股を撫でられると、真利江の身体の芯がじくじくと熱くなる。

「ふぁ……ぁぁ……っ………」
「まーちゃん、こっち向いて……」

ゆっくり顎を添えられて、口元にタケルの顔が迫る。
今更ながら驚くほど整っているたー坊の顔に、心臓の鼓動がどきりと高鳴る。

……たっ、たー坊の顔って……こんなにカッコよかったっけ?

そんな少し間の抜けた驚きの隙に唇を奪われ、そのままねっとりと、その乳房を持ち上げる様に揉み上げられる。

「ふみゃぁ……っ♡」

口元を塞がれながらも、吐息が込み上がる。
優しくて、あったかくて、全部投げ出したくなる快感に心が揺れる。

前戯の時点で、明らかに龍也より優しく、甘い。

裏切りものとはいえ、元カレと比べる事にほんの少しだけ罪悪感が湧き出るが、すぐさまその口内にタケルの舌が滑り込んで敏感な部分をなぞり始めると、快感がそれを塗りつぶしていく。

「んみゅ……っ、はぁ……ッ」

きすも……すごい……じょうず……
たーぼぉの……くせに……

昂る感覚に、唇をはなしても互いの舌をぐちゃぐちゃと絡めてしまう。舌が離れて涎まみれになりながらもタケルはそのまま首筋に顔を埋め、その手をショーツのクロッチ部に優しく触れると、ふにふにと柔く擦り上げる。

「や……っ、だぁ……っ!!」


淫唇は少し振れるだけでじゅん、と甘い蜜を漏らしてしまい、そのままショーツの下に手を滑らせたタケルはねっとりとしたそれを指で絡めとりながら、秘裂の先端で自己主張を始める肉芽をくりくりと撫で回す。

「まぁちゃん……腰浮いてるよ?」
「たっ、たーぼっ、そんなっ……んあぁ……っ♡」

甘える様に首筋や耳元を甘噛みするタケルに少しだけ咎める様な声をあげる真利江だが、蜜壺の縁に絡んだ指から断続的に送られる快感に強制的に遮られる。
後ろから体を固定されて、腰だけが切なく浮き始め、
真利江はそのままか細い吐息をはひはひと溢しながらも、蜜壺からはぷちゃぷちゃと、とめどなく粘つく愛液があふれ、下着とシーツを汚していく。

「……だらしないまーちゃんも、かわいいよ?」
「たっ、たーぼぉ……からかうなぁ……っ」

その甘い痺れに力を奪われて、ずるり……と指を抜かれると真利江はそのままくったりと力なくベットに仰向けにされる。
タケルは彼女の股の間に身体を滑り込ませると、愛液まみれのそのショーツをずるりと脱がし、ゴムを着けて彼女の膝に手を添える。

「まーちゃん、いい?」
「…………いちいち……きかなくていいよぉ……」

言葉とは裏腹に燃え上がる背徳感と期待で、その視線から逃げる様に顔を背けつつ、切なく答える。
ゆっくり……ね、と、タケルは腰を少しだけ動かし、ほんの浅く、淫裂の入り口を馴染ませる様に前後する。
お預けされるの様な焦ったい抽送に、蜜壺から甘い切なさが込み上げてくる。

「たっ、たー坊……、やだぁ……焦らさないでよぉ……」
「ごめんごめん、まーちゃん」

じゃあお言葉に甘えて……と意地悪な笑顔を浮かべたタケルの腰が深々と沈み、じゅるん、というねちっこい音が彼女の中で響く。

「はひ……ぃっ♡♡」

思わず嬌声が溢れ、彼女の中で大きく強い波がぞくぞくと臍の下から這い上がってくるのを感じる。
後頭部で何かがチカチカ煌めき、入っただけなのに、その奥がじんじんと熱くなる。
目を見開き、口が半開きになる。
かつて恋人から受けた乱暴な挿入とは全く違う強さと、そして抗えない程の心地よさを感じ、思わずシーツをぎゅっと握ると、なんとか臍下でうずまく強烈な快感を逃がそうとしてしまう。

「大丈夫?」
「……こっ、こんなの、ふつう……っ、だしっ」
「……よかった」

そんな真利江の顔を心配そうなに覗き込むタケルに、思わず強がりを返す。
……嘘だ
本当は頭の中がめちゃくちゃで、狂いそうになるくらい気持ちがいい。

……弟みたいなやつに……こんなに……っ……

タケルは戸惑いのこもった彼女の表情をあえて無視し、……じゃあ、まーちゃんが気持ちよくなれる様に、ゆーっくり、動くね? と小さく囁く。

言葉通り時間をかけてさらに深く腰を沈めると、それがじゅるじゅると奥に滑り込んでいき、真利江の肉襞の今まで感じたことのない部分が、ごりごりと撫で抉られていく。

「はぁ……うぅ……っ!」

お腹の奥を押される様な感覚に思わず声と息が漏れ、腰から脳髄までをばちりと未知の快感が迸り、思わず目をきゅっと瞑る。

り、龍也はっ……こんなとこ……っ、
とどかなかった……
あたし……こんなの……しらないっ……

……しらないよぉ……っ♡

タケルの腰が揺れるたび、ねっとりと、じんじん快感が襲う。こんこんと最奥がノックされるたびに、何かがゆっくり込み上げてくる気がする。

「はっ、ふっ、たーぼぉっ……♡」
「まーちゃん?」
「……な、なんでもない……っ!」

焦らされる身体に、無意識に甘い声が漏れてしまい、慌てて指を噛んで頭の中にかかり始める霞を必死で振り払おうとする。

お酒の……せい……っ
わけわかんないくらいおっきくて、いいところぜんぶぐりぐりして、ひっかかって……
たー坊ので、こんなになるなんてっ、
これは……おさけのせいなんだからっ

「まーちゃん、胸、好き?」

そんな快感に必死で抗う真利江をタケルは優しく見守りながらも、少し強引に彼女のシャツを捲り、その形の良い乳房が顕にさせる。
可愛らしく悲鳴を上げる真利江の反応を待たずに、その火照った素肌にそのまま、タケルの長く細い舌がべったりと這い回る。
肌荒れやシミ一つない美しい肌にゆっくりと丹念にキスを続けて、やがて乳房の先端に辿り着くと、はむん、と頬張る。

「ひゃっ、ひっ……くぅぅぅっ!」

そのままゆっくり蜜穴をかき回されながらも、乳首を唇と指でくにゅくにゅと柔く啄まれる。
今まで真利江がされたことのない、貪られるだけではない、優しく絶頂へ導くセックスに、思わず理性のタガが外れかける。

「だめっ、たーぼぉっ、やにゃっ、やにゃあっ、だめぇえっ、あ゛っ、ああ゛っ……♡」
「まーちゃん、俺も……っ」

乳房と膣奥を優しくいじめられると、真利江は呆気なく絶頂を迎え、その急激な締め付けにタケルもそのまま果てる。
どくん、と小さな爆発の様な衝撃が真利江の肉壷に響く

「ひあ……ッ、へ……ぁ…ぁ…ッ♡」

ゴム越しでも感じるその強い脈動に、真利江は思わずのけ反り、緩む口元から思わず舌を出して啼く。
脈動が下半身全体を揺らし、そのままずるりとゴムごとタケルのを引きずられると、余韻で腰がかくつく。
快感の大波に晒されて真利江の心臓は余韻で大きく弾み、息を整えるのに精一杯だった。

……こんな……こんな簡単に……

絶頂に身体を任せ力なく四肢を放り出すと、羞恥心と、ごまかしきれない幸福感を味わう。
そんな息も絶え絶えな真利江の眼前に、タケルのそれが差し出される。
脈動しながら大きくそそり立つ、赤黒いタケルの……

少し荒く息をついたタケルが、獣の様な瞳で見下ろしていた。

「まーちゃん、……舐めてよ……」

真利江はその大きさに驚きと、屈してしまいそうな圧を感じる。

お、おっきくて……熱くて……どくどくして……
まだ、たー坊は……あたしを……

本能のせいで身体の奥がきゅんとわななきながらも、タケルの視線への興奮と、そして向けられたそれから視線が離れない。

……あたしで……こんなにおっきくしてる……

心のどこかで感じる歓喜に、ゆっくり四つん這いになると、震える舌でそれを載せてゆっくり丁寧に舐めずり始める。
こびりついたどろつく粘液をきれいに舐め取り、咥え、むしゃぶる。

苦くて……しょっぱい……
でも……くせになりそう……

疼き始める体が理性を越え始めて、それを舐めずりながらも自分の秘裂に指を添える。
指を擦るたびに、にちゃにちゃと淫らな音が部屋に響く。

「まーちゃん、エッチだね……」
「んうっ……」

いじわる……
そんな悪戯っぽいタケルのからかいにも、溶けかけたその視線でしか応えられない。
ちゅぷん、という水音と共に、唇を離す。
タケルは再び真利江を組み敷く様にベッドに横たえると、互いの期待の視線が絡み合う。

「続き……しよ?」
「うん……」
「俺……今度はまーちゃんと、つけないでっ……」

真利江はタケルのその言葉の続きを遮る様に、唇を重ねる。自然とタケルの顎に手を寄せて、逃がさない様にそのキスを貪る。

……あたし……いま、絶対おかしいって……
あいつには……龍也には絶対に結婚するまでは着けてしてねって、うるさいくらいにいってたのに……

そう遠くから聞こえる理性が遠のき、
口付けを終えると、タケルの視線を感じた真利江の震える瞳と声色から、熱い吐息が漏れる。

「……あたしがっ、たっ、たーぼうのなんかで、はっ、孕む訳……ないじゃん……」

蕩けた顔で膝を曲げ、どろどろに溶けた淫唇を指で開く
その、年下の……弟みたいに思っていた筈の男を、

「だ、だから……さ、最後まで……してよ……」

眼前で猛烈な独占欲を掻き立てる雄を、
淫らに誘った。

「まーちゃん、いいんだね……」

ふーふーと荒い吐息をこぼし、興奮に沸きたつタケル。
そそり立つそれはびくびくと脈動し、真利江を貪ろうとその瞬間を待っている。
その光景に、真利江がこくんと頷いた瞬間、じゅぶん、という水音と共に真利江を満たすタケルの強いピストンが始まった。

「ひ、やっ、やああっ♡ たーぼっ、激しっ、はげしいよぉ……っ」

女性としては長身だが、男として立派に育ったタケルの体格に比べれば女性らしい体つきだ。
均整のとれた美しい真利江の身体が滾った雄に弄ばれ、突き上げられる度に柔肌が揺れる。

再び、いや先程以上に感じる熱さと鋭さ、
そしてタケルの愛情……

ぱちゅぱちゅと、激しく、粘度の強い水音を響かせると、真利江の蜜壺はタケルのそれを甘ったるく受け入れ、肉襞が愛を届ける雄のその精を受け取ろうと精一杯の奉仕を始める。
眼前の青年はその快感を受け、熱に浮かされた様に強く腰を打ちつける。
初めてする本気の交尾に、タケルも溺れかけているのだ。

「まーちゃん、まーちゃん俺っ、ずっと……」
「だめ……いわないでよぉ……」
「ごめん……でもこんな形でしか……チャンスなかったから……」

そういうと、強引に真利江の口を塞ぎ、舌が滑り込む。
強い快感を与えられながら囁かれる言葉と、そして舌を絡める口付けに、真利江の最後の壁が崩れる。

……っ、おっきいの……おっきいの……っ♡
……すっごくおっきいの……くるっ……♡

蜜壺の最奥に届き、無防備な子宮の入り口をぐちゃぐちゃに潰された瞬間、視界が真っ白に輝き、身体の奥から、快感の波が脳天まで貫く。

んっ……んんんんんーーーーっ♡♡♡

二人の繋がった口から、くぐもった悲鳴がこだまする。

「……ナカでいっちゃったの?まぁちゃん?」
「……ひ……ひがっ……ふぎゅっ♡」

唇を離されても答える間すら与えられずに、再び腰つきが激しくなる。
膣奥をぐりぐりされて、真利江の脳髄にばちばち火花が上がる。

「だめ、だめっ、いまだめっ、だめだってばぁっ、ねっ、たぁぼぉ……っ、きいてよぉ……っ」

おなか……あつくて……くるしくて……おかしくなりそうなのに……たーぼぉの、ちゅっちゅってしてる……
りゅうやのときは、こんなこと……なかったのに、

涙と涎で、真利江の顔が更に溶ける。

「まぁちゃんっ、俺、まぁちゃんの事……大好きだよっ?」
「だめっ、だめぇ……そんなのっ……だめだよぉ……」

深く腰を擦り寄せながら甘く囁かれると、脳がとろけて、正常な判断ができなくなる。
羞恥と喜びと、そして姉としての矜持がミキサーでかき混ぜられた様に混ざりあい、パニックになった真利江は思わず顔を隠そうとしてしまう。

「俺……まーちゃんと離れた時……、他の娘と付き合ってんだけど……付き合ってもずっと、まーちゃんの事、頭から離れなくて……、その娘と、ちゃんと向き合えなくて……」

「やだっ、そんなの……聞きたくないっ!!」

「だからまーちゃんが……まーちゃんが運命の人なんだって……まーちゃんを幸せにするのが、俺の運命なんだって……」

「聞きたくないってばぁっ、たーぼぉっ、ねえっ!」

「彼氏ができて……初めて、俺が貰えなくても……まーちゃんがちゃんと俺を選んでくれる為には、俺みたいに、最初に他の誰かを……知ってもらわないと……選べないから……ちゃんと選んでくれないから……だから……」

「だめ……いやぁ……聞かないで……おねがいぃっ……」

真剣で、必死で、真心のこもったその囁き。
今のタケルが何を聞きたいかが判る。
……判ってしまう。

「……だから、まーちゃん……教えて?」


“……どっちが、気持ちいい?”


言っちゃダメ……答えちゃダメ……
耳を撫でるその言葉に、真利江は掻き乱される心に必死で抗う。

だって……だって、たー坊なんだよ?
よわっちくて、へなへなで、いつもずっとあたしの後ろについてくる、たーぼうなんかに……

たーぼぉなんかに……いかされまくって……
はじめてセックスが……きもちいいって……
しあわせかんじちゃってるって……そんなこと……

ダメだ……だめだよ……いけないことだよ……
あたし……たー坊のおねえちゃんなんだから……

あいつの告白を受けたときから……おねえちゃんになるって……決めたのに……

あたしがたー坊のおねぇちゃんじゃなかったら……
好きになってくれたのかなって……
ずっと心のどこかで……そう思ってたのに……
なんで……今更……
今更……こんな……っ



……たっ……

…たっ、たーぼぉのっ、たっ、“たける”のほうがっ……

……きもち、いいっよぉっ……♡



二の腕で涙を隠して、真利江は心を裸にする。

……言っちゃった。
……あたし……たーぼぉのおねぇちゃんじゃ……なくなっちゃった………

その言葉に、タケルが甘く微笑む。

「じゃあ、そんな嫌な彼なんか、忘れちゃおうよ?」

俺が、絶対幸せにしてあげる……
その囁きと共に腰つきが更にねっとりと、蜜壺を満たす重さと圧がさらに増していく。

……たっ、たー坊……
今まで……全然本気じゃ……

タケルの“本気”が始まった事に、真利江の本能が悟り、そのまま襲いかかる快感が全てを白く塗り潰す。

「ひぎゅ……っ♡♡」
「まーちゃん、一緒に、気持ちよくなろっ?」
「……やら……やらぁ……だめだよぉ……」
「何も考えないで?」
「たける、たけるっ……こわいっ……きもちよくて……こわいよぉ……」
「大丈夫だよ、まーちゃん……ぎゅってしてあげるから」

一緒に、イこっ?
互いに熱く荒く吐息をこぼしながら、タケルは強く、逞しくその腰を打ちつける。真利江の蜜壺は甘く溶けきり、その奥の入り口がほぐれ、タケルのそれが最奥にごりごりと一層濃密なキスをみまう。

……だめ……もう……っ……これっ……♡♡

ぞくぞくとした快感が背筋から登り、大きくこちゅん、と打ち付けられたその瞬間、真利江の視界が白く輝き、腰ががくんと浮き上がる。

「んひぃっ……ひきゅ……ひきゅうっ……ぁぁ……っ♡」

臍を突き出す様なポーズのまま、思わず顔を掌で隠しながらも、絞り出す様な切なく甘い声が溢れる。
心の何もかもが溶け出て、溢れ出す。

「た、たーぼぉに……たーぼぉので……あたし……こんなに……」

そう力なく呟きながら、あられもなくへこへこと震える真利江の細い腰をタケルはしっかりと掴んで満足げな笑みを浮かべる。

「でも、まーちゃん……俺……幸せだよ……」
「ひゃ……っ、ん゛ん゛……っ♡」

ずん、と子宮に響く感覚に蕩け、
真利江は快感に全てを委ねる。

だって、気持ちいいんだもん……幸せなんだもん……
たー坊に、たけるに抱かれるの……
でもあたしは、初めてもたー坊がよかったなぁ……
そしたら、もっと早く、こうして……

「すきだよ……俺っ、まーちゃんが、ずっと大好きだったんだ……」
「……好き……たーぼぉ、あたしも、たー坊が……好き……」
「まーちゃんっ、嬉しいっ……いっぱい気持ちよくなってっ………」
「だひて……っ、たけるっ……奥……っ、ほしいよぉっ」

互いを強く抱きしめ合い、求め合いながら、二人が同時に果てる。
一番強い圧が真利江の子宮を襲い、そのままびゅるびゅると染め上げる。押し込められ、快感に灼かれた蜜壺が雄汁を閉じ込めようと、きゅんきゅんとすぼむ。

「あ…っ、たっ、たけるっ、たけるぅっ……♡」

強く魅力的な雄からの最大級の愛情を感じ、真利江の本能がその雄に、長年弟だと思っていた筈の青年に屈する。
真利江のうつろに蕩けた瞳の中で無音の花火がチカチカと輝き、その彼女の蜜壺全体がぎゅうぎゅうと締め上げ、タケルの子種を根こそぎ奪おうとする。

「まぁちゃん、すごいっ……」

俺、ずっと出そうっ……

だが、タケルのそれは真利江の中を雄汁で満たしながらも子宮の入り口に押し当たり、さらに快感を与えようとする。

「ふぎゅ…………っっ♡♡」

たーぼぉの……くせにっ……突き込みながら、出し続けるなんて……あたし……っ♡

広くて暖かい彼の背中に爪を立てながら、今まで感じた事のない程の深い絶頂に真利江の心が落ちてゆく。
抱き合いながらも、その中心でぐつぐつと煮えたぎる何かが、真利江の奥底に溜まり、身体の中心からじんわりと暖める。
そんな幸福感で朦朧とする意識の中で、青年の心地よい囁きが耳を溶かしていく。

「……辛い事……忘れられそう?」
「うん……もう、大丈夫……」

ありがとう……たー坊
大好きだよ……たける……


……さよなら
おねぇちゃんのわたし……


そう心の中で呟きながら、
真利江の意識は遠のいていった。
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