孤狼剣姫一番勝負


「はぁ…はぁ…」
決着は火を見るより明らかだ、王女は地に伏し、狐狼は切先を首元に垂らす。
「興醒めだな…あの女の妹だと言うには弱すぎる…」
狼は侮蔑を隠さず、吐き捨てるように罵倒する。
「くぅっ…」
「…だが部下が撤退する時間を稼ぎ切ったことだけは褒めてやろう。貴様もそんな“無駄”を抱えていなければ良き強者になれたかもしれんな」
首を刎ねるため剣を振り上げる。本来必要もない動き、だが手加減していたとはいえ自分への時間稼ぎを果たした者への敬意と、その姉がくることを期待しわざと隙を作る
「あ…ぐ…」
しかし近くに気配はない、こちらへ向かってくる気配もない。ならばこの少女にもはや用はなく、首を見せ奴の本気を引き出すのみ。
「さらばだ」
(ごめんなさい…姉様っ…!)
剣が振り下ろされる、常人どころかそこらの達人程度では知覚もできない一閃。されどその剣はある者から剣を学び取った者からすれば児戯に等しい。


故に。
ガキィィィン‼︎
「…っ!来たかっ‼︎」
振り下ろされる剣の間に真紅の刃が差し込まれ、甲高い音を立てる。
頭の後ろでまとめた真紅の髪に、燃え盛る炎を思わせる着流し。手に持つは焔を振るうアーティファクトの刀。
「生きていますね?アレクシア。」
この世界において、唯1人、理外の技を振るう者、即ち
「アイリス・ミドガル…っ‼︎」
「久しぶりですねフェンリル、これで3度目でしょうか?…今日こそ叩き切って差しあげます‼︎」
「上等だ‼︎」
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