明日は休みだし


「んん……」
「おいミヒ、大丈夫か?」
「んん〜」
 酒を片手にカイザーを撫でる千切。頬を赤らめ、千切に抱きつくカイザー。
 酒を飲みすぎてしまったのだろうか。カイザーは酔っているようだった。
「ひょうま、あかい」
「俺の髪だな。そろそろ寝るか?」
 カイザーは肯定も否定もせず、千切の胸に顔を押し付けては唸っている。千切は酒を取り上げて一気に飲み干すと、二人分のグラスと酒を片付けようと立ち上がった。
「ひょうま、どこいくんだ?」
「片付けんの、お前はちょっと待ってろ」
「……まだ飲める」
「はいはい、もう寝ような〜」
 適当にあしらい、服の袖を掴むカイザーの手を外すと、シンクにグラスを置いて、酒はいつもの場所にしまう。舌っ足らずな言葉で、「ひょうま〜」と鳴くカイザーに、ぷはっと笑って愛おしい恋人の元へ戻った。
「ほら、寝るぞ。立てるか?」
「たてる」
 千切の手を借り、何とか立ち上がる。ふらふらなカイザーに千切が笑えば不服そうに頬を膨らませた。
「ミヒ、どうした?」
 寝室に入りベッドに寝転ぶと、カイザーも潜ってきた。
「眠くない」
「ミヒ〜?寝ないのか?」
 まるで小さな子供のように、いやいやと首を振る。そして甘えるように千切を見つめた。
「……ミヒ、お前本当に酔ってるか?」
 寝室とはいえ、電気がついているので黒目はいつもと大きさはそう変わっていない。そう、変わっていないのだ。酔ったら黒目の大きさが変わるという人がいるが、カイザーはそれが顕著で分かりやすかったのに。
 そして、決定的なのは今の反応。千切が尋ねた瞬間、驚いたように瞳孔が小さくなった。
「なぁ、ミヒ?どうして酔ったフリしたんだ?」
 これに機嫌を良くしたらしい。千切はカイザーが逃げられないように拘束兼抱擁しどんどん尋ねていく。
「なぁ、めっちゃ甘えてきたけどあれシラフで甘えてきてたってことか?」
「え、……あ、」
「抱きついてきたのも?」
「だって、」
「……キスしてきたのも?」
 そこまで言うと、カイザーは耳まで真っ赤にして顔を覆ってしまった。
「カイザー、眠くないんだよな」
 千切は起き上がり、カイザーに馬乗りになる。気づけば、電気は消えていた。
「ミヒ、朝まで付き合ってくれるよな?」
「お手柔らかにお願いします……」
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