撮影のお仕事


ここは315プロダクション。今日もいつものように男性アイドルたちが過ごしている。そこにプロデューサーがやってくる。
「あ、ちょっと来てくれ」と言ってあるアイドルを呼び出す。そして、そのアイドルはプロデューサーのもとへ向かう。彼の名は橘志狼(たちばなしろう)。
そんな彼が呼び出された部屋に行くとそこには……
「ようこそ、少年!」
そう言って彼を迎えたのは少女だった。
(以下、C.V.井上麻里奈さんの声でお楽しみください)
「ふっふーん!
」と言いながら少女は志狼に笑顔を向ける。
「こ、こんにちは!」と志狼が少女に挨拶する。

すると少女は彼の顔を見て一言。
「かわいい~♡」
そう言うと少女は彼に抱きついた。
いきなりの出来事で、彼は少し顔を赤らめながらも冷静を装い、抱きしめ返すこともできずただ固まっていた。
それを見ていた事務所の同僚たちは驚きを隠しきれずにいた。

「あなたの父が志狼に仕事を依頼したので迎えに来たんですよね?……あと、スキンシップは程々に」とプロデューサーが言う。
少女はその言葉で志狼から離れる。

「とにかく、この様子だと不安になったので僕は、この女性と志狼について行きます。留守を頼みます」とプロデューサーが事務所で休んでいるアイドル達に言う。
それを聞いたアイドル達は慌てふためく。
「えぇ!?︎困りますよ!志狼君がいないなんて!!」と言う者、「私を置いて行かないでください!」と泣きつくもの、「なんなんだよあの女ァ!!!」と怒り狂う者など様々だ。

そんな彼らの様子を気にせずにプロデューサーは、志狼と少女について行って2人を自分の車に乗せる。

「なープロデューサー、今日は何のしごとするんだ?」
「アイスクリームのCMで水着撮影です……」
「は?今は冬じゃん!アイス大好きだけど流石に今水着着るのは寒いよ」
「室内なので安心して下さい」
志狼とプロデューサーが車内で会話をする。するとそこで少女が話しかけてくる。
「ねえ志狼くん、あなたって好きな食べ物とかある?」
「俺か?俺はカレーライスかな〜母ちゃんが作ったやつが好きなんだ〜」
「そうなんですか。私は……ないですね」
「え!?︎無いのか!?︎じゃあ好きな食べ物は何だよ!」
「好きな食べ物ですか……。特にありませんね」


そんなこんなで話をしていると撮影現場にたどり着く。
「じゃあね」と言って少女は去っていく。
そしてプロデューサーと一緒に志狼が更衣室に入る。
「今日来てもらう水着の衣装はこれです」とプロデューサーが言って、志狼に水着を渡す。
志狼はそれを受け取って着替え始める。そして数分後……。
「よし、準備オッケー!!行こうぜプロデューサー!!!」
そう言って志狼は駆け足で撮影現場に向かう。
一方その頃、別のスタジオでもまた同じように水着の撮影が行われていた。
そしてまた同じように水着姿の少女が現れ、志狼の方を見る。
彼女は別のところで撮影するようで、志狼とプロデューサーにウインクしてから去っていく。

そして志狼が撮影を終えて少女を探したがどこにも見当たらなかった。しかし、そこへ彼女がやって来た。
「ああ!お前さっきの子だろ?どこに行ってたんだよぉ」と志狼が言うと、
「すいませんちょっとトイレへ行っていたものですから……」という彼女だが、志狼にはそれが嘘だということがわかっていた。

しかし、彼女の父親に「こら、ちょっかい出すんじゃありません!」と引きずられて彼女は連れられて行った。

そして志狼もプロデューサーに連れられて家に帰った。
それ以来少女とは会えていない。
でもいつかきっとどこかで会えるだろうと信じているのだそうだ。
その時はどんな話ができるだろうか、一緒に歌ってくれるだろうか、一緒に踊ってくれるだろうか、共に笑ったりできるのだろうか……そんなことを考えながら、今日も彼は仕事をするのだった。
***
「ふう、
今日も忙しいな」
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