「帰宅部」の友情と笑顔に栄光を 【3話目】


「………吐き気がする」
「なんでよ?」




こんなことを言うのは、つい5分前、まだ凛々華が「帰宅部」の部室にきていない時のことだった。
部室は、今は「帰宅部」の部活動(?)以外には使われていない、古い教室で、あまりそのあたりには生徒は通らない。
だが、部室に行こうとした周也は、あまりの驚きで失神するほどだった。



「あのチャラ男で有名な瀬戸礼音知ってるだろ?」
「ええ」
「あいつと北川花穂ってやつがさぁ……」

「クッソチャラいアホと花穂ちゃんがどうしたのよ?」

「…………そのさぁ…キ………スしてたんだよ」
「えっ…」凛々華は、あまりの衝撃に言葉も出なかった。

「写真撮った?」
「あの状況でとれるわけないだろ」
「なーんだ役立たずね、あんたに転送してもらってクラスメイトに拡散してあげようとしたのに」
「お前さぁ……」いつものように言い返す気力がない。

「失礼します」癖のある口調がしてあわてて立つ。
「佐々木先生……」
「部員は全員いますか?」
「いえ、まだ4人いませんが…なんのご用でしょうか?」

「あなたたちの部かどうかも分からない部に、入部希望者がいるんですよ」

「えっ…」


「あの…こんにちは、1年A組の白石里香です。」

「この部(?)に入りたいそうだから、考えてあげなさい。それじゃ。」

樽のような体型をした女性教師は、去って行った。

数秒、沈黙が走る。そしてついにこの沈黙に耐えられなくなった周也は、
「えっと………しら……いしさんだっけ?どうしてこの部に入りたいんだ?」

「えっと、部の名前に惹かれただけです。その他に理由はありません。」

「この部の部活内容は、知ってるのか?」
「調べてみましたが、そのところだけ空欄でした。」
「……どのくらいこの部に入りたいんだ?」
「100%です。」

「分かった。……入部を認めよう。」周也が言った瞬間、よほどこの部に入りたかったのだろう。彼女の顔に蔓延の笑みが見えた。
「ありがとうございます!」

凛々華は、ひっそりと周也に向かって、
「いいの?」と言った。
「断っても、樽教師に文句言われるだけだろ?」
「まぁ、そうね」



「よっ!」他の4人が来た。
「その子は、だれ?」大河が聞く。
「新しい新入部員よ!」凛々華が、言った。

「やっとこの部にも新入部員入ったんだー」寧々が言う。

「1年A組の白石里香です。これからよろしくお願いします!」
「こちらこそ。」「私は1年B組の神野寧々!」
「1年D組の神山颯斗。よろしく」「1年C組の砂川大河。ヨロシク」「1年E組の月川由良です。よろしくおねがいしますね」
「1年B組の藤宮凛々華。よろしくね」
「1年E組の水無瀬周也。よろしくな!」


全員が自己紹介をした後、またあの「樽教師」が歩いてきた。
「下校時間を過ぎてますよ。さっさと帰りなさい!」


そう言われて、部室を出たのだった……




~後書き~

第3話目いかがでしたか?
最初のセリフが「吐き気」という言葉で申し訳ありません!
おそらく、深夜?にまた更新いたしますので、楽しみにしていてくださいね!
それでは!
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