長風呂は程々に


脹相視点
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ばしゃばしゃと水が跳ねる音が浴室に響く。
その中に、途切れ途切れに荒い呼吸音が混じっている。
「はぁ、…っ、はっ、んっ、はぁ…っ、は、あっ、ぁあっ!」
「ほら、脹相。声を、出したら、外に、聞こえて、しまう…」
日車はそう言いながらも抽挿を続け、弱い箇所を責める事をやめない。
浴槽の縁を掴んでいた手を口に当て、声を抑え込む。
「…っ、ぁ、ん、ふっ、ぅう…っ」
これも、もう何度目か分からない。
抑え込んだ傍から弱い箇所を擦られ、抉られ、抑える力を奪われていく。
本当は直ぐにでもこんな事はやめなければならないのに、“誰かが来るかもしれない”という焦燥感が、それによる肌がひりつくような緊張感が、快感に拍車を掛ける。
知らない。
こんなものは、知らない。
日車と居ると知らなかった事ばかりを知っていく。
「…っぁっ!んっ…くぅ…っ、はっ、ぁぅ、はぁ、んんっ」
また口から手が離れてしまって、力無く浴槽の縁を掴むしか出来なくなる。
声だけは出していけないと、必死で抑える俺をわかっているのか、日車は容赦無く責め立てる。
「脹相……脹相…っ」
後から抱き締められ、耳元で名前を呼ばれ、突端を責められ、中を穿たれ、過ぎた快楽に訳が分からなくなる。
気持ちいい。声を出しては駄目。気持ちいい。やめて。気持ちいい。声が出てしまう。気持ちいい。やめないで。気持ちいい。もっと。気持ちいい。もっと、して。
思考が快楽に蕩けて染まっていく。
自分が、抑えられなくなっていく。
「…っひ…ひぐ、るま……っ、あっ」
その時だった。
「日車ー?」
「───っ!!」
軽いノックの音と共に、悠仁の声が聞こえた。
熱に浮かされていた全身が冷や水を浴びせられたように急激に冷めていく。
「脹相どうだったー?」
「ああ、君の懸念した通りだったよ。逆上せていたから今身体を冷やしているところだ。済まないが、何でもいいから2人分の替えの服を持ってきてくれないか?助け出す時に俺の服も濡れてしまってな」
日車がそう返す間にも、律動は止まらない。
ああ、だめ。こんな、いけないのに。声が、こえがでてしまう。
「……っ!はぁ、はぁっ、んっ、はぁ…っ」
喉の力を抜いて声にならないように息だけを逃す。
「わかった!すぐ持ってくるからちょっと待っててな!」
日車の返答を聞いた悠仁はそう言うと軽い足音を立てて去って行った。
「日車……っ!」
「ああ、すまない。焦る君が余りにも可愛くてな」
振り返って睨み付ければ、日車は明後日の方向を見てけろりとしていた。
「さて、虎杖が戻ってくる前に済ませないとな」
「え、あっ、まて、んぁ…っ、は、あっ、んっ、あぁっ!」
日車は容赦無く律動を深くすると、最奥を穿った。
「んん───────っ!!」
絶頂の瞬間、唇を塞いで俺の声を殺すと、そのまま最奥に熱を放った。
「…っ…ぁ……」
あつい。
目の前がぐらぐらして、意識が遠くなる。
「あ…」
日車のその声を最後に、俺は意識を手放した。
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