天使の落日と夜明け 後半


「まだだっ!!まだ終わっていないッ!!!!」
と叫びながら爆炎を払いながら現れたゼパル本体は激しく損傷してはいたが、背部には頭部をハラエル、翼をハシュマル、頭部の後ろ側にメハイヤのテイルブレードを、アラネルとハラエルのキメラにした様な腕部を脚部にした様なブースターを装備しており、更には本体の脚部もまるでネマミア様な形に変化しておりまるでモビルアーマーに寄生されたかの様な姿をしていた。

「何っ・・・‼︎」「何だよ・・・アレ!」「そんな・・・!」「こんな事が・・・!」
此れにはマクギリスだけで無くコンパスのエースパイロット達やアルミリア達も驚愕に目を見開いた。アレだけの攻撃を受けて未だ倒れ無い等、夢であって欲しいとどれだけ思ったことか。
「貴様ら逆賊共を殲滅するまで私は、我ら神聖ギャラルホルンは決して倒れぬ!!!!」
ゼパルソードを掲げ声を張り上げるイオクの叫びは神聖ギャラルホルン全体に響き渡り彼らの士気を再び高めてしまう。
「そうだ‼︎我々こそが人類の後継者だ!」「融和など許してはならい所業だ!」「我々の恨みをはらさぬ限り終わらせて成るものか‼︎」「純粋なるコーディネーターこそが新たな新人類なのだ‼︎」「戦いが無くなって餓えるくらいなら一生戦争が続いた方がマシだ‼︎」「ギャラルホルンの栄光を貶めた全ての咎他人共に裁きを!!!!」
『行け‼︎我が同志達よ‼︎逆賊コンパス共を殲滅するのだ!!!!』『オオオオオオオオオオオオオオッ!!!!』
まるで神聖ギャラルホルン達のMS部隊がまるで津波のように突撃して来る。更に未だに動けるモビルアーマー達も襲い掛かって来る。

そんな中マクギリスはこの戦いを終わらせる最後の手を切るつもりであった。それはイオクを1対1で徹底的に倒す事で神聖ギャラルホルンの士気を一気に堕とす事だった。
「(やはりイオク本人とゼパルに取り込まれた上位AIを倒さねば終わらぬか!)皆、聞いてくれ。やはりイオク本体とAIをどうにかしなければならない様だ。奴は私が必ず倒す。奴等を絶対に火星に降ろす訳には絶対行かない‼︎そうなれば火星に眠るモビルアーマー達が再び一斉に目覚める可能性も有る!他の物達は引き続き敵を食い止めてくれ!此処で、全て終わりにしよう。我々の戦いの日々に‼︎」『了解!!!!』
バエルがゼパルへ突撃しようとした時、
「マッキー・・・」とアルミリアから通信が入って来た。
「どうしたんだいアルミリア?」マクギリスが返事を返すと
「無事に・・・帰って来て!」と、アルミリアがマクギリスへ願掛けを行うと「当然生きて帰るさ。勝利と共に!」とマクギリスは返す。アルミリアはそれ以上は語らず
「・・・はい・・・!」とゼパルへ突撃して行くバエルを見送った。

互いに叫び声を上げながらバエルとゼパル。其々の剣をぶつけ、鍔迫り合う。しかし、本来なら一瞬で着く戦いはマクギリスに蓄積した疲労と機体のダメージ、イオクの全てを投げ捨てた意地とヤケクソ、そしてゼパルに取り込まれた「上位個体のAI」が両者の実力の差を大きく縮めていた。他の武装は弾切れ又は破損し、替えの刀身は既に無く一本はディスラプターチャージの時間稼ぎの為に消失、最期の一刀はテイルブレードを破壊した時に亀裂まみれ。其れを両手持ちしぶつかっては離れ、ぶつかっては離れを繰り返し又鍔迫り合い互いチャンスを待つ。そのチャンスは互いに、「「バエルの刀身が折れた時!!!!」」と双方同じタイミングを狙っていた。
そして、その時は
ビシッ、バキン‼︎‼︎
という音と共にバエルの剣が砕け折れる音と共に訪れた。
「(勝った‼︎)私の勝ちだ‼︎逆賊マクギリス・ファリドォォォォ!!!!」ゼパルが剣を高く掲げ素早く降り下ろす‼︎
が、しかし、バエルの通信機越しに「マッキー!!!!」と叫びが聞こえた瞬間
「まだだっ‼︎」と降り下ろされた剣をバエルがフリーのままの左手で掴み取る。
「ナッ!」とイオクが振り解こうとするよりも速くバエルが右手の

刀身を無くしたはずの根元から鮮血の様な紅いビームソードを発振させているバエルソードを下から切り上げゼパルシールド諸共ゼパルの左手を切り捨てた。

ゼパルを操縦しているイオクも真の意味でゼパルを操作している上位AIも理解が追いついていなかった。
何故、刀身が無くなった剣から刀身が生えているのか?
何故、柄からビームが発振しているのか?
何故、ナノラミネートアーマがフレームごとこうも簡単に焼き切られたのか?
理解が追いつかなかったイオクは冷静になろうと慌てて機体を後ろへ下げようとしたが、其れが命取りとなった。
そこへ、「逃さんッ!!!!」と叫ぶマクギリスが、バエルが素早く距離を詰め直しビームソードをAIへ、
ゼパルの頭部と、背部ブースターの頭部へ突き立て切り上げ更に返刀で降り下ろし右手もろ共に切り捨てた!

「う、うぉォォォォォ!!!!」と叫ぶイオクだが機体のメインカメラは死に、両腕を武器も失い、機体も反応しない。
そう、決着が今着いたのだ。
自分が負けた。
決して負けられぬ戦いに負けた。
其れを理解出来た瞬間イオクの身体から力が抜け、暫く呆然とした。
其れを何する訳もなく黙って見守るマクギリスとバエル。
すると、イオクが突然叫び出した。
「殺せ!!!!マクギリス!!!!」「生きて生き恥を晒すくらいならば、私此処で死を選ぶ!!!!」「部下の無念も晴らせず、ラスタル公も解放出来ず、アルミリア様も救えぬ自分に生きる資格などない!!!!」「速く殺せ!!!!逆賊マクギリス・ファリド!!!!私が死んでも私に続く物達が必ず貴様の命を奪いに現れる!!必ずだ!!!!」
その叫びに対しマクギリスは
「・・・・・はぁ」とため息で返した。
「な、何だそのため息は・・・!」
「もう既に貴様に何を説いても聞きはしない事は皆わかっている事実。」
「ラスタル公の言葉の真意を理解出来ないことも、アルミリアの非戦や融和を唱える声も聞こえないことも、既に崩れ去った欺瞞の正義や秩序以外知ろうとしないことも皆、既に知っていることだ」
「そんなギャラルホルンの名を汚した貴様を斬り捨ててもなんの価値も意味も無い」
「え・・・は・・・」
「神聖ギャラルホルン首領 イオク・クジャン 貴様を拘束する。これまでの所業を民の総意によって裁かせてもらうぞ」
「・・・・・」

「ふぅ・・・終わったよ。アルミリア」とマクギリスがヨルムンガンドのアルミリアに残存兵へ投降を呼びかけるためアルミリアへ通信を送ると
「はい・・・マッキー。本当にお疲れ様でした。それと・・・」
「ん?どうしたんだい?」
「無事で・・・良かった・・・!」とアルミリアの鳴き声が通信越しに聴こえたマクギリスは
「約束しただろう?必ず勝利するとね。さぁ、今度は君の出番だ。コンパス二代目総裁アルミリア・ファリド」
「・・・はい!」
スゥ、ハァとアルミリアが息を整え二代目総裁としての顔に戻ると全ての戦場にオープンチャンネルで呼びかけ始めた。

「全ての戦域に存在する神聖ギャラルホルン兵につげます。既にこの戦域は火星駐留軍や連合・プラント融和軍に包囲され逃げ道は有りません。貴方達の首領イオク・クジャン公は私達の奮戦により捕縛されました。もはや貴方達に戦う力も理由もない筈です。
我々もこれ以上の無意味な戦闘は望みません。どうか、これ以上の犠牲を出さぬ為、投降を‼︎」

この瞬間、全ての神聖ギャラルホルンの残存兵達は敗北を悟った。全ての機体、戦艦から降伏のサインが次々に上がっていく。最初は逃亡や抵抗図ろうとした者達も戦力の差を冷静になって考え、降伏のサインがを上げていく。

今日、この日コズミック・イラ78年 9月27日
全ての始まりである血のバレンタインから8年
後の、厄祭の残滓事件を含めて10年
後の世に、悪魔と天使達の戦いから「ラグナロク戦争」や 「第二次厄祭戦」
10年に渡る戦争から「十年紛争」とも呼ばれる戦いは遂に終結を迎えた。
お知らせ
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