黒髪


夜。
夕食と入浴が終わった頃、携帯にいつもの着信が入る。それをサインに部屋の鍵を開けると、程なく脹相が猫のようにスルッと部屋に入ってくる。
「すまん、待たせた。」
そう言う彼の姿に違和感があるのに気づく。顔周りがスッキリとしている。長い髪に柔らかな毛束が作られており、襟足を残し髪が1つにまとめてあるようだ…いわゆるハーフアップと言う髪型だろうか。

「その頭はどうしたんだ?」
「あぁ…女子達にやられた。」
なんでも入浴後の髪を下ろした姿を西宮と三輪に見つかり、面白半分で作られた髪型との事だった。
「遊びなら自分たちでやれば良いのにどうして俺なんだ…全く。」
不満気な脹相だが、俺には何となく彼女達の気持ちが分かった。

成人男性の髪型としてはあまりに特徴的な2つ結びを解くと、その黒髪は肩まで届き雰囲気が別人のようになる。
和服風の鍛錬着はかなりゆとりのあるシルエットであるためTシャツ姿になるとスタイルの良さが分かりやすくなる。
加えて元々整った顔立ちである脹相が女子高生達の興味を引くのはごく自然な事と俺は思った。
「よく似合ってると思うが。」
「そうか?何だか落ち着かない。」
切れ長の目を伏してそう言いつつも、不満ならすぐに解けば良いのにそうしないのは彼の優しさだなと思う。

「ここに座ってくれ。」
脹相にベッドの端に腰掛けてもらい、俺はその後ろに胡座をかいて座る。後ろ髪を触ると緩くウエーブが作られているのが分かる。脹相のどこか影のある色気を際立たせる髪型と感じたが、それだけに誰にも見て欲しくない身勝手な気持ちもこみ上げてくる。

「この髪型だと君はかなりモテてしまうな。」
「…?冗談はやめろ。」
襟足の柔らかな黒髪をそっとかき分け白い項に口付けをすると脹相の肩がビクッと反応する。
そのまま舌を首筋に沿わせつつ右手をTシャツの中に差し入れ、胸の突起に軽く触れる。
「ァ…うっ……」
小さく喘ぐ声に俺の下腹部が反応する。
先端を人差し指と中指の間に挟んで動かすと硬く尖り始める。こちらからは見えないが桜色の突起は赤みを増していることだろう。
「あァ……っ…くッ……」
彼は背を弓のように反らし頭を俺の肩に預ける体勢になる。そのまま優しく口付けし、舌を絡ませると彼の黒い目が潤みを増し俺を見つめてくる。

一旦唇を離し彼の耳元に近づけて囁く。
「その髪型の君はエロティック過ぎる。これからは俺の前だけで見せてくれると嬉しい。」
脹相が頬を赤く染めたままコクリと頷く。
子供のような所作に愛しさが込み上げ再び甘く口付けする。この綺麗で可愛らしい存在を誰にも渡したくない、そんな気持ちが一層深くなった。
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