セッ◯◯しないと出られない部屋に晴信と記憶を封じられた高杉社長を放り込んでみた話(R-18)


「すまない。いくらでも恨んでくれていい」
 男の顔は逆光でよく見えない。
 ただ、その声音に。一瞬本気で抵抗を忘れてしまったのだ。


「…ぁ?……ぅ、そ……だろッ……!?」
 信じられない。信じたくもない。衝撃と羞恥で気が狂ってしまう。
 なんだ、これ。なんだよ、これ……!
「ふ、ざけるなッ……抜け、よ……!」
 吐き出した暴言も、全力の抵抗も意に介さず、男の一物を腹に飲み込まされた。
 見覚えのない男だった。灰雪の髪と鋭い薄鋼の瞳。名乗りもせず、ただ一方的に僕を犯すふざけた男。
「ぅ、あ……!」
 埋め込まれたものを緩く動かされて、抑えきれなかった声が漏れ出る。とんだ醜態だ。咄嗟に噛み締めた唇を咎めるように男の指が差し込まれる。
「噛むな。傷が付くだろう」
 事の元凶が何をぬけぬけと。
「俺の指なら好きなだけ噛んでおけ」
 言ったな?
 本気で噛み千切ってやるつもりで力を込めた。
「あぁ、それでいい」
「んぐッ……!ふ、ぁッ!」
 無遠慮に腰を打ち付けられて上擦った声が喉から溢れる。男の指を食い千切ってでも止めたいのに、揺さぶられると電流が走ったように震えて、口など噛み締めていられない。逆に閉じられなくなってしまった口から垂れ流されるだけの嬌声が耳障りで仕方なかった。
「あ、ふ……ぅ、ひゃ……、ら……!」
 いつしか男の指は口内を愛撫するように動きを変えていた。
 口の中も、腹の中も。一方的に掻き回されてぐちゃぐちゃにされる。
 早く終わってくれ……!そう思っているはずなのに、一番僕を混乱させているのは自分自身の身体だ。
 与えられる蹂躙に悦んでいる。
 初めの衝撃さえ過ぎてしまえば、男からもたらされるすべてが気持ち良いなんて、おかしいだろ?だって強姦されてるんだぞ。これじゃ僕がとんだ淫乱みたいじゃないか。
「ゃ、だぁ……抜け、よぉ……!」
 甘えたような声が出てしまったことに舌打ちしたくなる。人の腹の中で好き勝手してくれている一物が一際膨らんだことが判って絶望する。クッソ、なに興奮してるんだ、この強姦魔!!
「あッ……!ゃ……もッ……離せ、よっ……!」
 男の手に腰を掴まれて激しく揺さぶられる。勝手に上り詰めていく身体は僕を置き去りにしていってしまう。やだ、やだ……。それ以上はいやだ……!
「ンッ……!ゃ、あぅ……!!」
 腹の奥に魔力が流し込まれる感覚。瞼の裏まで真っ白に火花が散って息が詰まる。涙が出るのはきっとそのせい。もう意識を飛ばしてしまいたい。
 それでも意地で目をこじ開ける。たとえ一睨みでも返してやらなければ気がすまなかった。
「……こ、の……!…………ん?んん?……はる、のぶ?」


 気怠い身体を支える腕はいつも通りに頼もしい。よく知った体温に抱きかかえられてカルデアへの帰路を進んでいる。
「晴信〜?いつまで仏頂面してるつもりだ?」
 部屋の鍵が開く条件が達成されると同時に僕の記憶もすぐさま元に戻された。兎にも角にもまずは部屋からの脱出だと、最低限衣服を整えられて晴信の腕の中、というのが現在だ。
「お前に無理を強いた」
「それがあの部屋を出る条件だったんだろ?」
 相手に解錠条件を伝えてはいけない、というのも条件のひとつであったそうだ。なんとも意地が悪い。
「悠長に僕を口説き落としてから抱くつもりだったのかい?現実的じゃないな」
 実際ネタバラシされてみれば『そりゃそうするしかないだろう』というのが僕の感想だ。本気で抵抗したし、嫌だと拒絶したのも僕ではある。だがその辺は記憶がなかったわけだし許してほしいなというのが本音でもある。それはもちろん僕にとっての晴信にも同じことが言えるのだが、その硬い表情からとても水に流したようには見えない。
 僕本人が気にしていないのに君がそんなに思い詰めてどうする。まったく、変なところで真面目で、そういうところが愛しい男なんだがね。
「まぁ、そうだな。僕もさっきの君については言いたいことがないわけでもない。聞くよな、勿論」
「聞こう。なんでも」
「僕はやり直しを要求するぞ!」
 沈んだ顔に人差し指を突きつけてやる。晴信は僕に責められることを望んでいるんだろうが、そうは問屋が下ろすもんか。
「僕を抱いてるっていうのに、なんだあの葬式みたいな面は!もっと気持ち良いって顔をしたまえよ」
 なんだよ、当たり前だろ。そんな戸惑った顔するな。
「僕はさ、相手が君だってわからなかったのにあんなに乱れてしまったんだぞ。ずるいよな、僕のことを僕より知ってるやつに抱かれてたんだから不可抗力ってやつだ。誰だよ、僕のことこんなに感じる身体にしてくれちゃったワルイやつ」
「俺、だな」
 あ、やっと笑った。
「そうだよ、君だよ!だから責任取って君も一緒に気持ち良くなりたまえ。大体あんな程度じゃ全然足りてないだろ、君。……僕も、たりない」
 何も知らない僕からしたら突然襲ってきた嵐だっただろうが、晴信を知る僕からしたら手加減に手加減を重ねられていたのだとわかる。
 抱きしめる腕に力が籠もった。そうそう。ちゃんとその気になれよ、晴信。
「優しいのでも激しいのでもいい。晴信が気持ちいいように僕のこと抱いてくれ」
「あんな事のあとだ。優しくされたいだろう」
「僕が嫌だったのはどこの誰とも知らん輩に好き勝手されてると思ったからだ。晴信だったら構わない。それにさ……」
 首に抱きついて晴信の耳元に囁く。
「終盤、晴信ちょっと興奮してただろ。『抜いて』のあたりか?」
 お、わかりやすく目反らしてくれちゃって。
「もしかして、僕が抵抗してるのに萎えなかったからそんなに自罰的になってる?」
 うん、その顔は図星だな。
「……口では俺を拒絶するお前の身体が俺の手でいとも簡単に蕩けていくのを目の当たりにすると昂りを覚えてしまってな。お前が本気で抵抗しているとわかっていてもだ。お前をこうしたのは俺だと。お前が覚えていなくとも、お前は俺に愛された晋作だとわからせてやりたくなった」
「君に気持ちいいこといっぱい教えられちゃったからなあ、僕」
「それを征服欲だと突きつけられたら俺は否とは言えんだろうな」
「なんだ、そんなこと気にしてたのか。ぶつければいいじゃないか、征服欲。僕を強引に組み伏せたかったらしてくれたっていい」
「できるものか。そんなこと」
「なんで。僕はされてもいいな。こんないやらしい身体にされたのは晴信のせいだってわからされちゃうんだな僕。ん、なかなか興奮してくるなこれ」
「待て。待て、晋作。妙な癖をつけようとするな。普通に抱かせてくれ、普通に」
「えぇ……」
「どうしてお前の方が不満そうなんだ。……心構えぐらいさせてくれ」
「かわいいな、君。ほんと」
 晴信がそう言うなら仕方ない。ならその分、今夜は『抜かないで』と煽ってみることにしよう。晴信の箍がぶっ壊れてくれればいいんだが、そこは僕の腕の見せ所か。
 長い夜になりそうだが、それは望むところってやつだな。
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