迷走アスラン


カガリ「キラ、ひとりか?ラクスは?一昨日から見ないが」
キラ「えっと、僕達、変な薬の影響でずっとおかしな感じだったでしょ?だか…」
カガリ「キラ!お前、戻ったのか?」
キラ「多分。ラクスは結構前に、僕は一昨日に。それで少し疲れたっていうか、少し別行動しようって」
カガリ「け、喧嘩でもしたのか?」
キラ「まさか。違うよ。今日の夕食は二人での予定だし心配はいらない」
カガリ「そうか。良かった。研究員の話だと後遺症とかは無いはずだが何があるか分からないから無理はするなよ」
キラ「うん、ありがとう」

カガリ(良かった。ふたりとも戻ったんだ。後はアスランだな。…ん?でも待てよ…?あいつが1番に飲んでたよな…?まさか!)

アスラン「カガリ。今日もそして明日も最強で無敵の俺が君を愛している」
カガリ「あ、ありがとう。嬉しいよ。私もお前が好きだ」
アスラン「ああ。ありがとう」
カガリ「そ、それでなアスラン、あの、正直に言って欲しいんだが…」
アスラン「…どうした?」
カガリ「お、お前、実は効果切れてないか?」
アスラン「…え?」
カガリ「い、いや!勘違いなら良いんだ。変なこと聞いて済まなかった。忘れてくれ」
アスラン「………。カガリ、実は君の言うとおりだ。あの薬の効果は切れている」
カガリ「あ、え?おま、お前、なんで効いてる振りなんてしてたんだよ!心配してたんだぞ」
アスラン「…すまない」
カガリ「何か理由があったのか?あ、いや、言いたくないなら別にいい」
アスラン「…誰にも言うなよ?」
カガリ「う、うん」
アスラン「端的に言うなら、ずっと羨ましかった。イザークやシンが」
カガリ「ええ?お前のほうが優秀だろ?」
アスラン「…それイザークの前では言うなよ?面倒事は避けたい」
カガリ「うん」
アスラン「あいつらは真っ直ぐだ。家族の事も…シンは複雑ではあるが、それでもあいつの記憶ではずっと愛されている。俺はいつも迷ってばかりで、家族の思い出も…よく分からなくなる時がある。両親とも多忙だったしな」
カガリ「アスラン…」
アスラン「楽しかったんだ。万能感っていうんだろうな。薬が切れた時、どうしたらいいのかと自室で頭を抱えて…周りとは今の方が上手くやれてるようにも思えて…もう少しこのままでもいいかと考えてしまった。…俺は馬鹿だから…」
カガリ「…アスラン、お前が飲んだ薬の効果知ってるか?」
アスラン「いや、興奮剤みたいなものじゃないか?」
カガリ「違う。お前が飲んだのは自分を好きになる薬だ」
アスラン「どういう意味だ?」
カガリ「そのままさ。お前が飲んだのは興奮剤じゃなくナルシストになる薬!お前は自分に不満があるようだが、お前がちょっと自分の事を認めてやったらああなるんだよ」
アスラン「ナルシスト…?」
カガリ「万能感を得られたのだとしても薬のせいじゃない。お前が自分の良いところに気付いたからだ。もうちょっと自分を愛してやれ。じゃないと可哀想だ」
アスラン「カガリ…」
カガリ「お前はとても優秀だし優しくて、宇宙一素晴らしい男。私の隣はお前じゃないと駄目だし離れていてもお前はいつも私の側にいる。…何だよその顔、事実だろ。…そしてご両親に愛されて育った。お前の存在がその証拠さ。だってお前、お母様だけじゃなくお父様の事も大好きじゃないか。むぐっ…」
アスラン「カガリ…!君に逢えてよかった」
カガリ「うん…。私もお前に逢えて嬉しい」


アスラン(宇宙一素晴らしい男…か。イザークは当然として、キラよりもってことで良いんだよな…?母上に父上…ふふっそう言えば昔父上に『男がつまらないことで泣いてはいけないぞ、アスラン』と言われた事がある。今はつまらないことに含まれるのかな?確か自転車の補助輪を外して転けたときだ。父上が練習に付き合ってくれたんだ…)
カガリ(ほんと変わらないな。ずっと、今度こそ私が側にいるから安心しろ。もう離してはやれないぞ。お前によると私はお前のものらしいがお前だってもう私のなんだ)
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