雨の降る日に


高谷 美穂(たかたに みほ):雨の日が好き、歌が好き、傘を何本も持っている 優しい

後藤 勇太(ごとう ゆうた): 冷たく接してしまうところがあるが温かい心を持っている。 美穂とは友達を通じての知り合い。

ナレ

高谷:♀
後藤 兼ね役 ナレ:♂



高谷:「今日は良く眠れたー。いい目覚めだわ」

ナレ:「彼女の名前は高谷美穂。雨の日が大好きで、雨の日には必ず散歩に出かける。」

高谷:「今日は雨か。傘に当たる雨音が好きでお散歩に出かけちゃうのよね。」

高谷:「(鼻歌まじりに)何気なく歌を口ずさんじゃうのよ♪」

高谷:「今日のコースはっと。 いつもどおり、公園をぐるっと一周しよっかな。」

高谷:「傘はどれにしようかな~。今日はピンクがいいかなぁ。こっちかな。これにきーめた。」

ナレ:「どうやら、今日の傘はこの間買った花柄に決めたようです。」

高谷:「ふふっ、どんな雨音を聞かせてくれるのかな?」

高谷:「さーてと。いってきまーす」

高谷:「綺麗な雨音。自然と歌も口ずさんじゃう。」

高谷:「あっ。こんなところにアジサイが咲いてる。もう半年も過ぎたのかー」

高谷:「このコース回る時にはこのアジサイさんにも挨拶できちゃうね。ふふっ。」

高谷:「気分がいいから少し寄り道しちゃおっと。」

ナレ:「いつもどおり、公園を一周して帰る予定だったのに、 ふと寄り道をすると、突然の出会い。」

高谷:「ダンボール箱の中に子犬?箱には拾ってください。って書いてあるけど……」

高谷:「可愛いね。よしよし。可哀想に、ビショ濡れだね。
    でも、うちじゃ飼えないしなぁ…ん?これって手紙?」


高谷M:「拝啓、この手紙を読んでくださった方へ。私は、身勝手なことをしていると分かりながら子犬を置き去りにしました。
     でも、これしか方法がなくって。里子に出そうとしましたが里親さんが見つからず、引越しの日が来てしまい、
     どなたかが見つけて下さることを願ってここにしました。どうか、どうかこの子犬を見殺しにしないでください。
     お願いです。保健所から子犬を守ってやってください。よろしくお願いします。
     追伸、名前はリューです。リューが幸せになる事を願って……。」


高谷:「え…えー!これ読んじゃったってことは、ほっとけないなあ。
    保健所も可愛そうだし、とにかく飼ってくれそうな人あたってみよっかな。」


                 間


高谷:「あーあ。友達には全員断られちゃったし、
    友達に知り合いを紹介してもらったのはいいけれど、ほんとにいいのかな…?」

高谷:「仕方ない。とりあえず、電話かけてみよっかな……
    もしもし、後藤勇太さんはいらっしゃいますか? 私は高谷美穂といいます。
    友人から、お話は、伝わってるはずなのですが、犬の件で…」

後藤:「はい。後藤勇太と申します。あー、その件でしたら大丈夫ですよ。
    うちには庭もありますし、親には了承を得ています。」

高谷:「そうなんですね。ありがとうございます。
    では、ワンちゃん風邪ひいちゃうといけないので、
    住所教えていただけたらすぐにでも 、と思うのですが…」

後藤:「わかりました。住所をお伝えしますね。ひとついいでしょうか?」

高谷:「なんでしょう?」

後藤:「ひとつ条件がありましてね、僕一人ではお世話をしきれないので、
    共同でお世話できるのでしたら、かまわないのですが…」

高谷:「共同で、ですか。確かに、拾い主は私ですし、
    ワンちゃんの食費もかかりますからね。
    わかりました。では、さっそくお宅へ向かわせていただきます。」

後藤:「わかりました。では後ほど。」

高谷M:「なんだか冷たい人だったな。大丈夫かな、共同でって言ってたけど。
     とにかくお家へ急いでいこう。」

高谷M「ワンちゃんにタオルかけてあげなきゃ。風邪をひいたら大変。」


                間


高谷:「ここかー。大きい家だなぁ。とにかく会ってみないと。」

高谷:「あのーすみません。先程お電話いたしました高谷美穂と申します。」

後藤:「あぁ、君が高谷さんか。よろしく。そのまま家に入らないでくれよ、
    濡れたダンボールでぐしゃぐしゃになっちゃうから。」

高谷:「あぁ、すみません。よろしくお願い致します。
    このワンちゃんリューっていうらしいんです。手紙もここに。あっ。」

後藤:「なになにー。身勝手な飼い主と分かりながら、こういうことをしたのか。酷いな…」

後藤:「ほれ、バスタオル。これでリューとやらを拭いてやってくれ。
    そのダンボールは処分するから庭へ。」

後藤:「とりあえず、 話が来てからすぐペットショップへ向かって、
    首輪とリードは買っておいた。これでちょっとそこに繋いでおいてくれ。」

高谷:「わかりました…」

高谷M:「なんでこんなに上から目線なの?それからやっぱり冷たい。」

後藤:「君も、雨の中冷えただろう。 温かいお茶でもどうかな?それから今後の計画でも。」

高谷:「ありがとうございます。お話し合いですね。」


                間


後藤:「はい、温かいお茶どうぞ。で、今後のことなんだけど…。」

高谷:「お茶ありがとうございます。時間は作れますので、ご都合悪い日と曜日をー」

後藤:「敬語じゃなくっていいよ、友達になりたいし。
     知り合いのままじゃ、共同作業なんてできないからね。」

高谷:「ありがとう。なかなか慣れないかもしれないけど頑張るね。」

後藤:「ははは。ぎこちない笑顔だなあ。もっとリラックスしてね。
    僕は冷たく見られがちなんだよ。」

高谷M:「冷たく見られがちなのか…バスタオルの件といい、
     このお茶の件といい、根は温かい人なのかな。」

後藤:「何考え込んでるんだ?あっ、わかった。
     やっぱり僕の第一印象冷たかったんだろ?」

高谷:「い、いやその…話を、変えましょ。犬小屋の件なんだけど。」

後藤:「ははは。やっぱりか。いつもどうしてかそう思われるんだよな。
    犬小屋の件か…確かに小屋は必要だよなー。
    買ってきたものを使うのも気にいらないな。」

高谷:「でも、この雨じゃどうしようもないしね。でもずっと玄関ってわけにも…」

後藤:「いや、君は緊張してて気付かなかったのかもしれないが、雨は止んだみたいだよ。」

高谷:「えっ…。そんなことも気付かなかったなんて。」

後藤:「お茶を入れにキッチンに行ってた時にさ、
    ふと窓から外を見たんだよ。そしたら止んでて。」

高谷:「そうだったのね。で、ワンちゃんの小屋どうしようかなぁ。」

後藤:「作っちゃえばいいじゃん。そのほうが愛着わくし、一緒に作らない?」

高谷:「一緒に?私不器用だし、釘も打ったことないし……」

後藤:「大丈夫、大丈夫。俺が切ったり打ったりはするから、色を塗ってくれよ。」

高谷:「色?それなら出来そうだわ。でも、この服じゃぁ…。」

後藤:「なら、材料調達しとくからその間に汚れてもいい服に着替えてくるといい。」

高谷:「任せちゃっていいの?ありがとう。本当は優しいのね。勘違いしていたわ。」

後藤:「力仕事は女性に任せるわけにはいかないし、
    なにより物作りは好きでね。じゃぁ後で。」

高谷:「わかった。着替えてくるね。」

後藤M:「その間に、木材と塗料の調達っと。ホームセンターまでは近いから助かったな。
     あとは、どう共同で育てるか考えないと。」

           
               間


高谷:「時間かかっちゃった。ごめんね。」

後藤:「一応必要な用意はしておいた。ちょうど僕も帰ってきた所だよ。」

高谷:「待たせたかと思って、焦っちゃった。
    あははっ。 でも意外と家が近くで良かったって思ってる。」

後藤:「近いのか。なら共同で世話もしやすいな。よかった。
    じゃぁ、リューの小屋作りを始めようぜ!」

高谷:「ええ、はじめましょ。」

後藤M:「はじめまして、リュー。よろしくな」

高谷M:「いい出会いをありがとう。リュー、よろしくね。」
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