黒井×握野


「……なあ、Jupiterの3人を返せよ!」
961プロの社長室に客人の叫び声が大きく響く

「君たち315プロを潰そうという気は無い。
今回ばかりは彼ら3人の意思でこのプロダクションに戻ってきてくれたのだよ……
賢い君なら分かってくれると思っていたんだがな、握野英雄君」
黒井は握野の言葉を意に介さないかのように持っていた資料を見続ける

「それなら冬馬さんと北斗さんと翔太さんに会わせてくれ……誘拐や強制的な契約でなく、本当に彼らの意思で961プロに戻ったのなら問題ないだろ」
黒井は資料を読み終えたらしく、彼を睨み続ける握野をちらりと見る

「いいだろう……ただし彼らはこのプロダクションの失いたくない看板だ、君にもそれなりの対価を支払ってもらう」
「ふざけないでくれ、あの人達は元々俺達の……」
「ここに一応Jupiterとの契約書がある……これがとりあえず彼らが契約を結んだ証拠だ、まあキチンと本人の意思で書かせた証拠とはならないが……
この契約の妨害をした者にもペナルティを与えることが出来る内容が書かれている」

黒井の提示した3人との契約書を見せられた握野はショックを受けつつもその紙切れに逆らえない事に気づき、引き下がる

「分かった……その対価は?」

黒井は握野の平均的な背丈ながら引き締まった全身を見る

「ふむ……服に隠れてよく見えないがいい体をしているようだ……しばらく私の愛人兼ボディーガードになってくれるならJupiterと会わせてやってもいい」
「愛人?俺が?ボディーガードは分かるが……」
握野は本気で困惑した表情を見せる

「私はバイでね……君のようなタイプが好みなのだよ……もちろん315プロで芸能活動を続けながらで構わない、スキャンダルにならないように保証もするよ……あ、夜の営みの方は強要しないさ、そういうのは法的にまずいからな」
黒井は握野をまるで捕らえた獲物であるかのように見つめる

「ボディーガードの方は了承する、が……愛人になる方はしばらく考えさせてくれ」
握野は動揺が現れた上擦った声で顔を真っ赤にしながら話す

「これが私の連絡先だ……何かあったら私から呼ぶ。仕事や私的な用事と被っている時はもちろんそちらを優先してもらいたい。」

黒井は握野にスマホを出し、電話番号とチャットアプリのアカウントを交換するよう指示した

「あの、黒井社長……」
「もう退室してくれて構わない……楽しみにしているよ、君との再会を……アデュー、握野君」

黒井が部下に指示し、握野を社長室から追い出させる


「Jupiterの無事を確かめる為だから後悔はないが、どうしよう……恋人同士って何すればいいんだ?」
1人になった握野は頭を抱えてそのように言った

ー終わりー
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