彼らの生き方


 12次元刑務所の一角、かつてとある囚人が脱獄のための拠点として掘った穴。
そこに、ぬらりぬらりと蠢く生物がいた。

「ぷる」

生物はそう奇妙な音を立て、穴を出る。それは生物的欲求に基づいた行動にも思える。

「ぷる!ぷる!」

穴を出た個体は燦々と輝く太陽を身に浴び、大きく喜ぶような動作をする。我こそは太陽の眷属、闇の眷属、生物なのだといわんばかりに。

「ぷる、ぷるびぎる!」
「ぷる!ぷる!」

気がつけば子供らしき個体、伴侶らしき個体らも表に出て太陽光を浴びる。
不定形の体を伸ばし、太陽に手を伸ばすように。


そんな行動が終われば近くの茂みに行って木の実を食んだり、少し遠いが水場に行って水を飲んだり。気ままとしか言えぬ生き方。

――昼も似たようなことをし、夜になれば寝床に戻って寝てしまう。それが彼らの生き方であり、日常であった。



因みに彼ら一家以外の家族も刑務所の何処かにいて普通に生命の営みをしているのだが、それはまた別のお話。
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