⚠️妄想の続き⚠️
作成日時: 2024-03-10 21:30:57
公開終了: -
《カタパルト接続、システム、オールグリーン。ストライクベルセルク、発進どうぞ》
「ヒダカ・バーズ、ストライクベルセルク! 行きます!」
ヒダカの掛け声と共に、カタパルトから射出されたストライクベルセルクは勢いのまま無人機の群れへと突撃する。
背中から2本の対艦刀を抜き放ち、近づいてきた無人機MSを一機、また一機と落としていく。
そんな中で、唐突に通信が入った。
『バーズ少尉か!?』
「ハーケン少佐! 周囲の無人機を片付けます、援護を!」
『それはいいが……体は大丈夫なのかい?』
「ベストには程遠いですが……戦闘に支障はありません」
『了解した。さっさと片付けるよ!』
「はい!」
ヒダカのストライクベルセルクが斬り裂き、ヒルダのゲルググが撃ち抜く。
即席の連携だが、上手くはまりあっという間に周囲の敵はいなくなった。
「粗方片付いたか……少佐、後のことは頼んでいいでしょうか」
『ん? ああ、構わないさ。男見せてきな、少尉』
「揶揄わないでください……では、お願いします」
ストライクベルセルクのスラスターを噴かし、ミレニアムの宙域から離脱する。
行き先は一つ。アグネスの乗るギャンだ。
彼女の機体は元々コンパスの物であるため、こちらのレーダーにも識別番号が映っている。
「待ってろ、アグネス……!」
時を同じくして、別の宙域。
アグネスのギャンは、ルナマリアの駆るインパルスと激突していた。
「アグネス! アンタ、いい加減にしなさいよ! あのシュラってやつに利用されてるだけだって気づかないの!?」
「うるさい! アンタはいいわよね、山猿がいて! アタシにはもう、シュラしか……」
アグネスの脳裏に、ヒダカの顔が過ぎる。
シミュレーターで負かした時の不機嫌そうな顔。
勝った時の嬉しそうな顔。
ただ自分の隣で意味もなく笑っていた横顔……
そのどれもはもう、手の届かない場所まで行ってしまった。
「私にはもうシュラしかいないのよ!!」
激昂しながらビームアックスを叩きつけるように振り下ろす。
それをシールドで防ぐが、流石にインパルスも勢いに負けて後退するしかない。
「……それ本気で言ってるの?」
「何がよ!」
「もっと周りをよく見るべきなんじゃないの、ってことよ」
「は……?」
その時、コックピットのアラートが鳴った。
高速で接近する熱源、MS。
迫ってきた方向へ向き直り、カメラでその姿を捉える。
「ストライク……?」
自然と言葉が溢れた。
ザフトに所属する者なら知らぬ者はいない。
第一次大戦で最強と謳われたストライク。
その強さは、ザフトに限らず世界中の兵器に影響を与えたと言っても過言ではない。
ストライクは2人を無視して、彼女らの周りに飛び交う無人機へと突っ込んでいき、両手に携えた対艦刀で瞬く間に叩き落としていく。
そうして周囲から粗方無人機の姿が消えたところで、ストライクはアグネスのギャンに向けて切先を構えた。
『ギーベンラート中尉』
「……その、声……」
通信から聞こえた声は聞き覚えのあるものだった。
今、アグネス自身が最も聞きたい声だった。
「ヒダカ……?」
『ええ。こちら、ヒダカ・バーズです。久しぶりですね、中尉』
「嘘よ……アンタ、核ミサイルに巻き込まれたって……」
『でも、こうして生きてる』
ヒダカは少し困った顔で、それでも優しく微笑ほほえんでいた。
その笑顔を見てアグネスはひどく安心する。
ふとストライクベルセルクが構えていた剣を下ろした。
『中尉、もうやめにしませんか? ミレニアムに戻ってきてください』
「……」
『貴方の行動は問題ですが、それによる人的被害は少ない。今ならまだ戻って来られるはずです。それとも本気でファウンデーションなんかに与するおつもりですか!」
「……ッ! アンタはァ!!」
しかし、アグネスはギャンで急接近し、ビームアックスを振り下ろす。
ベルセルクはそれを避け、即座に飛んできた追い討ちのビームガトリングも機体を急旋回させて躱す。
「チィッ!」
ベルセルクは姿勢を戻して、推力を全開にしギャンに肉薄する。
ギャンはビームアックスを見舞おうとするが、それに対して対艦刀を2本合わせて受け止め、周囲に激しい火花が散った。
「ホーク中尉! 彼女は私にまかせて、アスカ大尉の元へ!」
「わ、分かりました。少尉も無理をしないでくださいね」
インパルスが飛び立つのを見届けると、ギャンはシールドカッターを起動。
横殴りで繰り出されたシールドバッシュを距離をとって避ける。
「やめてください中尉! これ以上の攻撃は、たとえ貴女でも……」
「うるさい! 私は……私はアンタのこともう諦めようとしたの! 忘れようとしたの! なのに……これ以上、私の中に居座らないで!!」
「しまっ……!」
ギャンのヒートロッドがベルセルクの対艦刀を捕えた次の瞬間、刀は粉々に砕け散った。
そして、それによる一瞬の隙を突き、ビームガトリングが発射される。
シールドを持たないベルセルクはその掃射をモロに受けてしまう。
「ぐぅううう……!!」
幸い有効射程から外れていたのか、一撃での撃墜は免れた。
しかし機体には色濃いダメージが残る。
「クソッ……」
空いた片手にビームサーベルを持ち直し、ギャンへ向けて構える。
「だったらやってやるよ……今ここで、お前を止めてやる!」
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