俺を先生にして、どうしようって言うんだ…


「このワシが!?人形ごときに!? 滅べ!滅んでしまえぇぇェッ!!」
その断末魔を皮切りに、ドクターバイル、そしてそれと一体化していたラグナロクが崩壊を始める。
地球への落下を続けていたラグナロクは、断熱圧縮で燃え尽き、そうさせた張本人が想像するほどの被害は出さないだろう。
ゼロはそんなラグナロクの上で過去を回想する。

自分を目覚めさせた少女

戦うたびに親しくなった三人のレプリロイド

レプリロイドを迫害し、最後にはバイルの手先と化した偽りの英雄

自らの体を失いながらも、最後まで世界のために戦った親友…

ふと、体が浮くのを感じたと同時に何も見えなくなった。 高熱と爆発でセンサーが死んだのだろう。
自らの体の異常を理解しながらもゼロは何もしようとしなかった。最初から戻る気は無いし、そのチャンスはとうに過ぎたからだ。

ネオアルカディアの崩壊、オメガの破壊、そしてバイルの死亡。
過去の遺産が消えた人々は、また新しい一歩を踏み出していくだろう。
そして、そこには古い時代の自分たちの居場所は無い。

だが、それは少し

「寂しい…な」


(連邦生徒会長パートはカット 許して() ここからゼロの台詞は””で囲みます )

「…い。」
鋭い声が聞こえ、
「…先生、起きてください。」
「ゼロ先生!」
ふと、目を開ける。

「…。」

”……”

目の前に 人が居た。 少し驚いた。

「少々待っていてくださいと言いましたのに、お疲れだったみたいですね。
なかなか起きないほど熟睡されるとは。」

「まだ寝ぼけているようですね。 ちゃんと目を覚まして、集中してください。」
混乱しているのを寝ぼけているととられたようだ。

「もう一度、あらためて今の状況をお伝えします。」
「私は七神リン、学園都市「キヴォトス」の連邦生徒会所属の幹部です。」
キヴォトス?学園都市? 聞いたことのワードの前にゼロの困惑はさらに深まる。

少なくともネオアルカディアではないどこかの都市で、何故か先生と呼ばれている自分。
答えの出ない思考を打ち切り、リンの話を聞きながらエレベーターに乗ると、外の都市が見えてきた。
青い色を主な色にしたその風景は、ネオアルカディアで見た景色よりも綺麗に見える。
「「キヴォトス」へようこそ。先生。」
「キヴォトスは数千の学園が集まってできている巨大な学園都市です。これから先生が働くところでもあります。」
「きっと先生がいらっしゃったところとは色々な事が違っていて、最初は慣れるのに苦労するかもしれませんが…
でも先生なら、それほど心配しなくてもいいでしょう。」
………

ベルが鳴った、目的の階に到着したのだろう それと同時に少女たちががリンに話しかけてきた。

「ちょっと待って!代行!見つけた、待ってたわよ!早く連邦生徒会長を呼んできて!」
「…うん?隣の大人の方は?」
「主席行政官。お待ちしておりました。」
リンと少女たちが何かを話している。 発電所がダウンした、生徒が襲われた、武器の不法流通が2000%増加した…など 相当に治安が悪くなっているようだ。 

「連邦生徒会長は今、席におりません。正直に言いますと、行方不明になりました。」
リンがそう言った途端、少女たちにどよめきが広がる。

どうやら、この治安の悪化はサンクトゥムタワーの管理者の失踪による行政制御権の喪失により起こっているらしい。
そして、その権限を復活させる方法が見つかったらしい。

「この先生こそが、フィクサーになってくれるはずです。」

”…俺が、か?”

いったんの疑問が解消されたからか、疑問の矛先が俺に変わった。

「はい。こちらのゼロ先生は、これからキヴォトスの先生として働く方であり、連邦生徒会長が特別に指名した人物です。」

紫色の髪をした少女が疑問を口にしている、混乱しているようだ。   さっきまでの俺のように…

とりあえず自己紹介はしておこう
”俺はゼロだ。”

少女の一人… 早瀬ユウカがあたふたして挨拶を返した直後に、リンが話を再開した。

曰く、 連邦生徒会長が立ち上げた連邦捜査部「シャーレ」の顧問となるべく俺が呼ばれた。
曰く、 シャーレは超法規的機関で、独自に行動でき、制約無しに戦闘行動すら行えるらしい。

  独自行動をとりすぎたがためにイレギュラー認定された軍隊があったような気がするが…

とにかく、今からシャーレの部室に行く予定らしい…が。

「矯正局を脱出した停学中の生徒が騒ぎを起こしたの。そこは今戦場になってるよ。」
…と、ホログラム越しに赤髪の少女が言った。
さらに付け加えると、巡航戦車などという代物まで出ているらしい。

「(プルプル)…。」
一方的に通話を切られたリンが静かに怒る。 本人がそこにいたら殴りかかりそうな剣幕だ。
”落ち着けリン。”

”要は悪ガキを懲らしめればいい。 という事だろう。”

…といって外に出ようとしたら

「ちょっと待ってください先生!」
「先生一人では危険です!」

後ろから制止の声が掛かった。


ふと少女たちが携行している銃が目に留まる。

”そうか… なら話は早いな”

視線の意図を理解したのか、段々とぎょっとしたような表情になっていく少女たち。

”ユウカは俺と前に出てくれ、ハスミ スズミは援護を チナツはオペレーターを頼む。”

{D.U.外郭地区・シャーレの部室付近}

現地に到着した途端に銃弾と爆弾を浴びせられる。

銃弾を食らってもピンピンしている推定人間に多少驚きながらも ゼロは口を開く

”編成はさっき言ったとおりだ。 ミッションを開始するぞ。”

「やっぱり危ないです先生! 私たちが大丈夫でも先生が…。」

”心配するな。 俺を…信じろ。”

そう言い、白い柄の光剣、「ゼットセイバー」を抜き、突撃する。

「ああっ!? もうこうなればヤケよ!」

ガトリングガンを構えた不良たちが前方に現れる。

”ヒッフッ ッハ!”
ゼットセイバーで銃身を溶断。

”ハアッ!”
すぐさま予備のセイバーを変形させ、トリプルロッドを光剣を展開させずに振り回し不良たちを気絶させる。

それと同時に視界の隅にエラーメッセージが出現する。 セイバーの故障 どうやらラグナロクでの連戦が原因のようだ。

故障を察したユウカがカバーに入り、その間にバスターを取り出し銃撃戦に復帰する。



「よし!建物の入り口まで到着!」
そうユウカが言ったと同時に轟音が響く…

「気を付けてください、巡航戦車です…!」
チナツの注意の呼びかけと同時に戦車が現れた。

「クルセイダー1型………!私の学園の制式戦車と同じ型です。」
「不法に流通されたものに違いないわ!PMCに流れたのを不良たちが買い入れたのかも!」
”そうか… なら次はスクラップ屋に買い取らせるか。”

大きく跳躍し、残っていたセイバーをチャージする。

緑色のオーラを纏いはじめ、落ち始めると同時にオーラがオレンジ色に変わる。

そして着地する瞬間に貯めた力の全てを解放した。
”ウォリャァッ!”
パキーン という子気味のいい音をたて戦車を両断する。 中の不良は大丈夫だろう 多分…

「「シャーレ」部室の奪還完了。 私も、もうすぐ到着予定です。 建物の地下で会いましょう。」
リンに連絡を終えてシャーレ内に侵入すると、怪しい生徒と出くわしてしまった。

「あら、あららら………。」
「あ、ああ………。」
狐面の生徒が妙な声を上げているのを見ていると、今度はその生徒の後頭部に弾丸が直撃するのを見た。



「何をしている?ワカモ。 避けないほど夢中なんだ そうとう面白…」

暗闇のなかから紫色の鎧が出てくるが、こちらの姿を見た瞬間に口が止まる


”お前は…VAVA!?”

「そういうお前こそ…ゼロか 少し見た目が違うが まあいい。」

「このままおっぱじめたい所だが… そうはいかないらしい」

”待て!!”

「あばよ!」

痛みすら感じてなさそうにあらあら言っている生徒を脇に抱えて、VAVAは大きく跳躍してシャーレ部室内から退散した…






追うことを諦め、リンと合流することを選択する。
「お待たせしました。 …?何かありましたか?」

”いや、なんでもない。”

「…そうですか。ここに、連邦生徒会長の残したものが保管されています。」
リンが何かを取り出した。 これは… タブレット端末?
「…幸い、傷一つなく無事ですね。」
「………受け取ってください。」

シッテムの箱を受け取る。 見た目のレトロさに反して殆どのことが分かっていないらしい。

シッテムの箱を起動する。

パスワード

我々は望む、七つの嘆きを。

我々は覚えている、ジェリコの古則を。

「シッテムの箱」へようこそ、ゼロ先生。
DNA認証および認証書生成のため、メインオペレートシステムA.R.O.N.Aに変換します。

教室の中で、一人の女の子が机の上にうつ伏せで居眠りしている。

少女に近づき触ってみた ゼロナックル!

……… 少女が寝ぼけながら起きた。

「せ、先生!?」
「この空間に入ってきたっていうことは、ま、ま、まさかゼロ先生……?!」

”そうだ。”

「うわああ そ そうですね も もうこんな時間!?」
「うわ わああ?落ち着いて、落ち着いて………。」
少女があたふたしている

「そ、そうだ! まず自己紹介から!」
「私はアロナ!このシッテムの箱に常駐しているシステム管理者であり、メインOS,そしてこれから先生をアシストする秘書です!」
自己紹介が終わる。 が、話はまだ続く。

「やっと会うことができました!ここで先生をずーっと待っていました!」

”俺には寝ているように見えたが…”

「あ、あうう………も、もちろんたまに居眠りしたこともあるけど………。」

”まあいい よろしく頼む。”
「はい!よろしくお願いします!」

一連の話が終わり、次の段階へ進む。

「ではまず!形式的にはありますが、DNA認証を行います♪」
「さあ、この私の手のひらに、先生の手を合わせてください。」
言われるままに手のひらを合わせる。 手同士がつく瞬間にゼロナックルが光っていた気がするが…

「どれどれ……」
(このDNAコードのスパゲッティは!? 書いた人の顔が見てみたいです…)

「はい!できました!」
どこか適当にやっているように見えたが… 

アロナに現状を説明した 連邦生徒会長の失踪 それによるタワーの制御権の喪失…

「なるほど 大体わかりました!」
「サンクトゥムタワーの問題は私が何とか解決できそうです。」

”なら頼む アロナ。”
「はい!分かりました。それでは、サンクトゥムタワーのアクセス権を修復します!」

タワーの内外に光がともり始める、権限は完全に回復したのだろう。

視界がシャーレの部室を写し始める。 リンの案内を聞きながら 今までに起こったことの情報を整理し始める。
先生 連邦生徒会長 学園都市 そしてなぜかこの世界にいるVAVA…

分からないこと尽くめだが、ただ一つ言えることは。

”信じる者のために、戦うだけだ!”
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