きかれてはいけない


                               
                                   
                             
                                 
                                  
                                
「あ゙っ、ぁうっ、んんっ、はぁっ、ゔぁ…っ、あぁあ…っ」
脹相の口が単語にすらなれない言葉しか吐き出さなくなった。
こうなると、彼はもう意識が無いに等しく、何も覚えてはいないのだ。
だから、許される。
普段は口にしない、口にしてはいけない言葉。
何度も口を衝いて出そうになるのを、押し留めた言葉。
それを声にして発する事を。
「……脹相、好きだ。愛してる。愛して、いるんだ……」
「んっ、あぁ…っ、ひぁあ……っ、あぅっ、あ、い…っ、んぁあっ」
泣きそうになる程切実な想いを、噛み締めるように口にする。
しかし、返ってくるのは意味を成さない言葉だけ。
だが、これでいい。
聞かれてはいけないのだ。
彼の脳が快楽で灼き切れ、前後不覚に陥っている今だから。
だからこそ、この瞬間にしか告げられぬ想いを吐露できるのだ。
その為に彼を手酷く抱くのは、俺の身勝手な我儘でしか無い。
それでも、ずっと胸に押し留めるには余りある感情を吐き出さずにはいられなくなる。
許して欲しい。許さないでくれ。
聞いていて欲しい。聞かないでくれ。
応えて欲しい。応えないでくれ。
そんな相反する想いに脳を心を揺さぶられながら、届かぬ愛の言葉を繰り返す。
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