[お泊り調教編・パート1 入室]


 今日、先生から連絡がありました。
「Aさんの暇が出来たから、彼のところに行って来なさい」
 ただし今回はマッサージじゃないよと念押しされて、今回のプレイの内容を伝えられました。
 今回はおじさまがお店を休みにするから、おじさまの自室にお泊りしてくること。そこでおじさまに『調教』を受けるようにと。『調教』の内容はお楽しみにと教えてはくれませんでした……。
 調教というと、二人目の方とした時のことを思い出しますが、あれは正直辛かったです。……まあ、その後に先生に同じようにされたのは気持ち良かったんですが。
 ただ今回はおじさまがしてくれるわけですから、その点は安心かもしれません。二人目の方は怖かったですし……。

 そんなわけで、おじさまに指定された時間――金曜の夜20時、その10分ほど前におじさまの住むマンションにつきました。
 おじさまの部屋のインターホンを押すとおじさまがすぐに出て来てくれます。
 今日から三日間、週末の間はおじさまの調教を受けることになります……。
「久しぶりだね。ウミカちゃん、今日からのことは先生から聞いているね?」
 はいと答えるとおじさまは――
「それじゃこれに着替えて」
 と青色の首輪を渡して来ました。それ以外にはないです。それなのに着替えてと言われた意味は……わかりました。
「早く着替えないと人が来てしまうよ。ほら、早く」
 おじさまの口調はまだ優しげではありましたが、いつものマッサージでの後半の有無を言わさぬ強さの籠った声でした。
 調教はもう始まってるのだと理解しました。
 夜とは言えばまだ遅いとは言えない時間。むしろ、これから帰宅する人もいるかもしれない時間。
 急がないと誰かに見られてしまうかもしれません。それは恥ずかしいし、先生やおじさまにも迷惑をかけてしまうかもと思うと、焦る気持ちにもなり、急いで服を脱ぎ始めます。
 露出調教は以前、受けましたがこうして普段着を外で脱ぐということはした事がありません。その為、より自分が異常なことをしていると自覚させられます。
 一枚脱ぐごとに、夜風が素肌を撫でる感覚が広がり、自分の身を守るものを自らの手で剝いでいるのだと実感します。
「脱いだ服はちゃんと畳んで、横に置きなさい」
 早く済ませて中に入れて欲しいのに、おじさまは時間を奪う命令をしてきます。
 けれども逆らうわけには行かず、言われた通りに脱いで一枚ずつ畳んでいきます。
 上着、袴と脱いで、靴を脱ぎ、次にサイハイソックスと徐々に裸になります。……今日の下着、実は褒めて欲しくて可愛いの選んでたけど、それもおじさまに見下ろされながら、ブラジャー、ショーツの順に脱いで、綺麗に畳んだ服と一緒に横に置きます。
 裸になるとおじさまに渡された首輪を自らはめて、着替えが終わります。
「なんだもう濡れてるじゃない。やっぱり、ウミカちゃんマゾだね」
 薄ら笑いと共に指摘されて、自分でも気づきます。たしかに私は今の状況に、これからの三日間への期待で濡れていました。
 それどころかおじさまに見下ろされて、尻尾も振ってしまっています。
「それじゃ、まずは挨拶からだ。跪いて、これに書かれた通り言いなさい」
 挨拶の書かれた紙を渡され、私はそれを読んで実行します。
 ……股の間を通る夜風が、愛液が垂れて太腿を濡らし始めたのを知らせて来ます。これを読んで、私はより発情しているみたいです。
 冷たいコンクリートの上に正座し、三つ指を突いて挨拶をします。
「今日から三日間、立派な……性奴隷になって、先生に褒めて貰えるように調教をお願いします……」
 頭を下げたまま、おじさまの返事を待っているとおじさまはまずは私の靴を玄関に入れてから、私の服を抱えて、首輪にリードを取り付けます。
「良し、入りなさい。どう入るかはわかるね」
 どう入るか――おじさまにリードを引かれ、私は四つん這いのまま犬のように歩いて玄関に入ります。
 後ろで扉が閉まり、ガチャリと大きな音と共に鍵が二つかけられ、ドアチェーンがかけられた音もします。その音が、私はこれから三日間、たとえ泣き叫んでもおじさまの調教からは逃げられないのだと告げているようで、ゾクリと身体を震わせます。
 けれどもそれが恐怖によるものではないことは、太腿を垂れて伝う愛液が教えてくれます。

 おじさまは室内外の犬の散歩帰りにそうするように、私の地面についたと手と足を優しく拭いてくれて、奥の部屋へ導くようにリードを引いてくれます。
 寝室に入ると、いつもマッサージの時に焚かれているアロマの良い香りが鼻腔を擽り、その匂いとやっと部屋に入れたことの安堵が緊張を和らげてくれます。
 おじさまは一脚だけあるソファに座ると、私に目の前に座るように指し示すのでその通りに行儀良く、犬のお座りと同じように座ります。
「まずは良く出来たね。ウミカちゃん、偉いよ。……いいよ、楽にして座って」
 いつも褒めてくれる優しい声と共に、頭を撫でてくれて、楽にするお許しをくれます。私は足を崩して、女の子座りになっておじさまに微笑み返します。今日、初めての笑み。おじさまに褒められて、自然と漏れた笑みでした。
「今日から三日間、僕はウミカちゃんを調教するわけだけど、そのために一つ約束事をしておこうか」
「約束……ですか?」
「そう、それはね。ウミカちゃんがどうしても無理、耐えられない、危ないと感じた時に止められるようにするセーフワードを決めること」
 セーフワード。SMプレイの時などにプレイを中断するためのワードを決めておくものだそうです。「無理」とか「ダメ」とかは思わず言葉に出るものだから、そういうものではないもの。エッチの最中には発しない言葉にするそうです。言葉が出せない時のためにジェスチャーも決めておくと良いそうです。
 ……けれど、これを決めるということはつまり、それだけ今日から受ける調教は激しいのだと言うことです。
 ――私はそのことに若干の怯えと、それ以上の期待に胸が高鳴るのを感じました。
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