カール大帝の叫び


シャルル「俺の人生は幻想と現実が入り混じった夢物語。世界に必要なのは、アンタの偉業さ。
でも、人に必要なのは両方さ」
「辛く厳しい現実であっても、夢見る心を忘れない
カール大帝(シャルルマーニュ)は、そういう英雄だ。だからヌオーは、生涯仕えたんだろう?」

カール大帝「いいや……いいや、いいや、いいや!」
「それこそが間違いだと言うのだ、シャルル!
余がどうしても許せぬのは、現実の矛盾を肯定し、許したヌオーを、世界や人は否定したことだ!
現実を見ろ、シャルル!
異なる神、異なる主義、平和の定義でさえ、誰もが異なり、誰もが主張し、誰もが戦いたがる!
間違っているのだから正さねばと!
その題目を盾にすれば、あらゆる事が赦される!
利権の前では、神や救世主の唱えた事さえ曲げられる!
その方が都合が良い、と!
流転する情勢や経済に歪められる事など、あってはならんと言うのに!
それを誰もが受け入れる!
教会でさえ、教皇でさえ、そしてこの余でさえもだ!

人の叡智は、永劫たり得ぬ。
俗物どもによって、体制(システム)の理想は腐っていく。
それを解決することができるのは、ヌオーだ。
だがヌオーは、そうはしなかった!
あの悼ましい惨状を、己を悪魔と貶めた教会と教皇を、己を求めた欲深い愚か者どもを、それでも赦した!
それさえも、人だと受け入れたのだ!

なのに、世界は、人は!
ヌオーを軽んじ、利用した!

十戒を授けられしモーセの側にあって、原罪を背負い磔刑を受けいれた救世主を、見届けたヌオーを!
誰よりも神の愛を知り、誰よりも慈悲深く、誰よりも崇高で気高いものを!

それを否定する世界も、国も、歴史も、宗教も、神も、民族も、体制も、主義も!

そんなものは、あってはならんのだ!!

他者を否定し、正そうとする事こそ、余が定義する人の原罪だ!悪性だ!人が死ぬまで治療できぬ病巣だ!
貴様も私も、古今数多の英雄がそれに蝕まれている!

それが何をもたらすか、分かっているだろうシャルル!!
神やヌオーに遠く及ばぬ分際で、我等人は霊長を僭称し、世界に戦争と飢餓と貧困をばら撒く!!
それが可能性と発展の種と言うならば、間違っている!
有限を約束された成長ならば、浪費と変わらぬ!!

それさえも赦すというのならば、余はヌオーすらも正そう!
余こそが絶対の救済者(セイヴァー)となり、普遍の体制(システム)となるのだ!
天声同化(オラクル)の力で、世界と人とヌオーと共に在る事で、全てが正され、人の悪性は根絶されるのだ!
それこそが、私にとっての救いになるのだ!!

誰もが夢見た幻想も現実と共にある!
貴様も私も救われるのだぞ!!
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