女ではなく男が妊娠する世界で、346のプロデューサー(♂)が妊娠する話(普通→自筆、太字→AI、赤字→リトライ)


俺は前いた世界ではどのような人間だったかは忘れてしまった。俺のこの世界での最初の記憶は街中で立っていた場面だ。
自分の顔を見てこれは自分じゃないと俺は何となく本能的に感じ、自分の持っていた名刺を見ると、346プロダクションという芸能事務所でプロデューサーをしていることが分かった。今までの自分と別人で、俺は見知らぬ男性に憑依したのではないかと推測した。

幸い、職場では仕事を普通にこなすことが出来、アイドル達とも仲良くなった。そんなある日、俺は仕事を終えて夜道を一人で帰っていた。すると後ろから誰かがついてくる気配を感じた。俺は怖くなり早足で歩くも相手も同じ速度で歩いてくるため距離が離れない。恐怖を感じて振り返るとそこには誰もいなかった。俺が油断してまた歩き始めようとすると、口を塞がれて行き止まりに連れ込まれる。そして連れ込んだ相手を見ると、自分よりまあまあ小柄な女性であった。しかし彼女の目つきは明らかに異常であり、何か薬物でも使用しているのかと思うほどであった。彼女は俺に対して「私を受け入れろ」と言いながら服を脱ぎ始める。抵抗するも力が強く振りほどくことが出来ない。どうしようかと考えている間に全裸になった彼女が覆いかぶさってきた。
そこから先は覚えていない。


この事を翌日、俺はアイドル達に語り、「その人、様子がおかしかったけど美人だったしご褒美かな」とのんきに言うとアイドル達が困惑する。まあ、確かに乱暴されてそうだが、被害者の俺が気にしてないし……とこれ以上アイドル達を心配させないためにこの話をやめようとしたタイミングで、「じゃあ私がプロデューサーを送って帰る!私ならまあ運動したこともあるし格闘技とかやってない不審者相手なら返り討ちにできるかも!」と俺がプロデュースしているアイドルの一人の本田未央が言う。
それに続けて、これまたアイドルの一人の夢見りあむが「ぼくもPサマを送って帰るよ、なんかあったら怖いもんね?」と言う。他の子達は反対していたが結局押し切られてしまい、次の日から帰り道は二人と一緒になることが多くなった。
それからしばらく経ったある日の事である。いつものように事務所を出て、家に帰る途中に、あの日と同じように背後からの視線を感じる。

「ぶっちゃけ言って、俺じゃなくて二人が守られるべき立場だぞ?二人とも俺より背が低いし、未央に至ってはまだ高校生だし……」とその視線を気にしないためか、人が他にもいるとアピールするためか、俺は二人にこのように話しかける。
しかし、未央とりあむが一瞬目を逸らした隙に
何者かによって口元を押さえられ、そのまま意識を失った。
目が覚めると見慣れた天井が見える。ここはどこだろうと思い体を起こすとそこは病院の一室であった。
隣には担当アイドルの一人である島村卯月がおり、俺が起きたことに気が付くとすぐにナースコールを押してくれた。
「卯月、あの二人は無事か?何もないか?」そういうと卯月が無言でうなずく。


そんなことがあったので、俺はしばらく仕事を休むことになる。喜ぶべきか、悲しむべきか、アイドル達がとってもしっかりしていて俺抜きでも仕事はうまく回っているようだ。
暇なので、何気なくテレビをつけるといろいろな事務所のアイドル達がトークするバラエティ番組がやっていた。
346プロダクションのアイドル達の出番を待っていると、315プロダクションという所に所属する男性アイドルのコーナーが始まる。
「今週も始まりました~315プロ所属アイドルによるコーナー『お悩み相談』のお時間です!この番組では、みなさんから寄せられた様々な恋愛に関する質問に私たち三人組の男性アイドルが答えていくという内容になっております!」
そういって、三人組のユニットが紹介される。

俺はそのコーナーを適当に、346プロダクションのアイドルのコーナーが始まるまでスマホを見ながら流し見しようとする。
すると聞きなれた声とともに「それでは最初の相談者の方どうぞ~!!」という言葉が流れる。よく見るとそれは346プロダクション所属アイドルユニットシンデレラガールズのメンバーの声だ。
(へえー、あいつらもこういう番組に出るんだ)
普段とは違った一面を見れて面白いかもしれないと思った矢先 ふと違和感を覚える。

なんだかやけにもじもじしていないか?そんなにあの男性アイドル達と共演できてうれしいのか?それとも緊張か?まさかあの子たち男性恐怖症か?……などと俺は346プロダクションのアイドル達の様子が少しおかしいことに疑問を抱いた。
すると突然「きゃああああ!!!」っと大きな叫び声が聞こえる。思わずそちらの方を見るとうわあ……と言った感じになる。なんせ、346プロのアイドル達が顔を真っ赤にして股間を手で抑えているからだ。
「どうしましたか!?」司会者
が彼女たちに近づくと「一旦CM!」と言った後に、CMに移る。いったい何があったのか?これ生放送だし後で電話で聞こうかなとも思ったが、彼女たちの心の状態を考えるとこちら側から聞いてはいけないような内容な気がしたのでそっとしておくことにした。
1分ほどのコマーシャルが流れてから番組は再開され、出演者たちは先程の事がなかったかのように普通にしている。しかしその表情はとても苦々しいものであった。
その後、次々と寄せられてくるメールを読んでいく三人であったが、次第に番組の空気がおかしくなっていく。なぜかと言うとお便りの内容を読み上げながらだんだん顔色が青くなり、「……
本当にこのテーマに答えるんですか?」と言ってしまうようなやばい内容が来ているらしい。
その内容を読み終えた後、346プロダクションのアイドル達が泣き出し、315プロダクションの男性アイドル達もこれはやりすぎだ!とばかりに怒りの表情を見せる。
そしてとうとう司会者がその重い口を開けて語り出す。
「ここで皆さんに対してご報告することがあります。今回私たちはある問題に直面してしまいまして、番組の進行ができなくなってしまいました……。実は今回の収録の中で出た視聴者さんのメッセージの中に、明らかにそういった目的で書かれたと思われるものがあり、放送できなくなってしまったのです
……。」
放送自体を打ち切るくらいだから、不適切なお便りはたくさん来ていたのだろう。これを送った人間とOKという判断をしてアイドル達に読ませようとしたテレビ局の人間への怒りが込み上げる。いつの間にかテレビはその番組の放送を終え、全く関係ない番組の放送をしていた。

俺はそこまで体調がいい状態ではないものの、しばらくして仕事に復帰した。なんだか、前よりアイドル達が俺の事を異性として意識している感じがする……と復帰してから感じるようになった。
一体どうしてだろうかと考えながらも忙しい日々を過ごすことになった。
ただ、復帰した後もしばらくは、またおかしな事件に巻き込まれるのではないかと不安を感じていたが特にそのようなことはなかった。ただ、妙にアイドルからの視線を感じることが多くなったように感じるだけになった。
4ヶ月ほど経った頃、今度は別の理由で休養することになった。今回は完全な病気療養のため
である。なんだか最近、すぐに吐き気がするしお腹周りが出てきた気がする。評判のいい『FRAME&THE 虎牙道監修 ハイペース駆け込みダイエット』というビデオを参考にしてトレーニングしても瘦せない。ガチの難病だったらやばい。
そう思いながら病院に向かう。待ち時間は暇つぶしと健康管理の参考のため、間違えて俺のカバンに入れて持ってきた小学生アイドルの保体の教科書を読むことにする。
(おいこら待てい!!なぜお前があるんだ!!!)一応中身を確認するためにパラ読みをする。内容はとてもわかりやすいものでよかったと思うと同時に、自分の学生時代を思い出す懐かしさに浸る。すると急患用の診察室から呼び出しを受ける。いよいよ来たかと思って恐々と入っていくと、予想に反してすんなりと診察が進んでいき、俺が退室する前に、医師に「あなた、妊娠しているんじゃないですか?妊娠検査薬とか使いました?」と言われる。俺はその言葉にポカーンとする。男の俺が妊娠なんてあるわけない。
「もしかして性行為をした記憶が無いんですか?」と医師に言われ、それもあるから頷くものの、男の俺が妊娠していることの衝撃の方がでかい。確かにこの頃の体調不良は妊娠による症状だとしたら納得がいく。
そして、次回の診察の予約待ちの間に、また保健体育の教科書の中身を今度はじっくり見ていると、『男性と女性の性行為により、男性が妊娠する。』という記述に一瞬仰天するも、あー、なるほどね……この世界では男が子どもを産むもんなのだなと謎の納得をする。
もしかして、かなり前に俺があの女性に襲われてしまった時に妊娠してしまったのか?と思う。これしか心当たりがないのだ。そして、この世界の女性にはみんな”アレ”が生えているのか……あの番組の収録で346プロダクションのアイドルの女の子たちが股間を抑えていたのってもしかして……と思う。まあそれは置いておくことにしよう。でも今度の検診の時にちゃんと話し合う必要はあるなと思いつつ帰路に着く。
だが、家に帰ってしばらくすると、再び吐き気に襲われる。これは本格的にまずいなと思った時、何かがお腹を蹴った感覚がした。次の瞬間、一気に
めまいを起こして俺は倒れた。
目が覚めるとそこは病院ではなく自宅のベッドの上であった。あれ?なんでここにいるんだっけと思っていると枕元に置いてあった携帯電話が鳴る。相手を見ると美城常務だったので慌てて出る。
電話の内容は過労で倒れたことに関してのお叱りの言葉であったが、最後に、君の仕事ぶりには非常に感謝
しているから産休を取って休んでくれと言ってくださった。
とりあえず明日あたり産婦人科に行ってくるかなと考えているうちに疲れが来たのかそのまま眠りにつくことになるのだった……。
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※ここから先は作者のあとがきです(笑)
〜〜〜 3/23追記:書籍化決定いたしました!!!本当にありがとうございます!詳細は近況ノートへ→https


終わり
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