とある景虎♂くん√ダイジェスト集


「何はともあれ!この長尾景虎にお任せあれ!なんせ戦国最強ですからね、どんな相手でも楽勝です!」
「気合入ってるとこ悪いけど聖杯?とかいらないぞ。どう考えても胡散臭い、詐欺だろこれ」
「万能の願望器という触れ込みですよ、何か願い事とかないんです?」
「……強いていうなら、人の、地元で、こんなことするな、だな」
「あ、はい」


「やけに楽しそうだな」
「そりゃそうですよ。こうして伴もつけずに歩くとか昔はできなかったですからねー。お、何ですかあれ?人が集まってますよ?」
「なにって、ああ、ストリートパフォーマンスだな。ああして人通りの多い所で芸を見せるっていう、ちょ、引っ張るな!」


「晴信のケチ」
「誰がケチだ。ずーっと立ち続けておれが引っ張らなきゃいつまでもあそこにいただろ」
「次から次へ新しいものを出してくれるんですもの。こちらも思い切り楽しむのが礼儀でしょうに」
「だからって1時間も見てるやつがあるか。歩く前から疲れてどうする」
「でも楽しかったでしょう。晴信だって笑ってましたよ」
「……まぁ、それは否定しない。って、ああもうニヤニヤするな!ほら行くぞ!高い所から街を見たいって言い出したのお前だろ!」
「そういえばそうでしたね。では行きましょう!」


「ッ!奇襲か!」
「場所が悪いですね……。移動します、しっかり捕まってください!」
「え、待てランサー、ここ屋じょ、キャアアぁあ━━━━ッ!!?」


「すごい…」
「ふふ、どうですかマスター。我が槍捌き、少しは見直してくれましたか!」
「うん、すごかった。ランサーすごくカッコよかった」
「そ、そうですか。こうも素直に褒められると照れますね…」


「あれ?ランサーどうしてここに?」
「どうしたも何も今後の方針決める約束だったでしょう」
「でもここおれの部屋で……」
「はい、そう言ってましたよ?」
「すまん、何でもない。少し疲れたみたいだ」


(はるのぶー)
「……何だ(小声)」
(いつまで霊体化してればいいんですー?いい加減飽きましたよー)
「学校終わって家着くまではそうしてろ。おまえ目立つんだから(小声)」
(ひーまーでーすー)


「さあ、アサシン討伐、張り切って参りましょう!!」
「勢いが強い」
「も〜日中暇で暇で仕方なかったんです。夜くらいは思いっきり動きたいじゃないですか」
「……ランサー、ちょっとお前の馬出せ」
「はあ、放生月毛をですか?いいですけど」
「ん。……えっと放生月毛。こういうのはアレなんだが、お前の主人が暴れないよう手綱を握ってくれないだろうか。おれからの頼みを聞く義理はないと思うんだが、あいつの暴走を止める自信がないんだ。どうかこの通りだ」
「ヒン」
「!そうか、やってくれるか。ありがとうな」
「……ひっじょ〜に遺憾なんですが敢えて聞きます。どういう意味ですか、それ」
「これまでの言動を胸に手を当てて考えてみろ」
「ヒヒ〜ン…(首振り振り)」
「放生月毛まで!?」


「………」
「ランサー」
「………………」
「ランサー。頼む、拗ねるな。好き放題言って悪かった」
「拗ねてないです。ちょっと怒ってるだけです」
「それを拗ねてると……いや、すまん。昨日の戦闘で槍を振るってくれただろう」
「? はい。そうですが…」
「あの時はお前に見惚れてて気づかなかったんだけどな。今日見たらあそこの地面罅割れててたんだ」
「それは…」
「ビルの壁にも傷がついていたし、一部は抉られてた。それがサーヴァントの力だってことも、手を抜けるような戦いじゃないことも分かる。ただこの街を、必要以上に壊したり巻き込んだりはしたくなかったんだ。あの戦いですら全力でないなら、全部開放された時どうなるか分からない。そう考えたら怖くなって……ごめんな、変なこと言って」
「そういうことでしたか。…できる限り配慮はしますが絶対は無理です。サーヴァント同士の戦いで負けることは、マスター即ちあなたの死をも意味します。あなたを護るのが私の役目である以上、必要とあらば宝具を解放し相手を倒すことが第一です」
「うん。そうだな。本当にごめん」
「わかって貰えれば十分です。それにその気持ち自体は悪いものではありませんよ。
あなたは、本当にこの街が、人が大切なんですね」
「ああ、ここはおれが生まれて育った所だからな。ここからたくさんの物をもらって生きてきたんだ。だから、今度はおれも、それを返していきたいと思ってる」
「そうですか……あなたらしいです」


「皆のもの、勝ち鬨を上げよ!えいえいおー!」
「おー…」
「元気が足りないですよー!せっかくの初勝利!盛り上がらずしてどうします!」
「なんでそんなに元気なんだ……っうわ」
「おっと、大丈夫ですか」
「なんか足がふらつくし、目眩もするんだが」
「戦闘中は魔力の消費が一気に増えますしそれが原因ですかねー。よいしょっと」
「ひゃっ!?おま、降ろせバカ!こんな格好だれかに見られたらどうするんだ!!」
「こうした方が早いですし、こんな時間に外歩く人なんていませんよ。にしても体重軽すぎません?もっと肉をつけてもいいと思いま「うるさい!!!!」アイタッ」



「早くも一騎脱落とは…」
「さすがは信玄公、現世における御姿であっても、あの采配、なんと美しい……」
「こうしてはいられぬ。一刻も早くお招きし此処に降りて頂かなくては」
「……忌々しい化け物め。貴様があの方のお側にいられるのは今だけだ」
「ああ、ああ!どうか待っていてください!ようやく貴方様を見つけたのです!今の貴方を器とし、今度こそ、貴方様を、この現世へと現して差し上げましょうぞ!!」



「おはようございまーす。……どうしたんです晴信。怖い顔して」
「………食堂に行ったら父上がいたんだ」
「あーお父上ですか。迫力ありますよねえ、あの方」
「おかしいんだ。だって父上は駿河に行って、もう戻ってこないように、おれがしじして、それで…」
「っ、マスター!しっかりなさい、こっちを見て!」
「あ、」
「昨日注意を受けたのを忘れましたか。やると決めたことに口は出さないが、手に負いきれないならすぐに引けと。今日もわざわざ書斎を開けてもらったでしょう?」
「うん。そうだな。そうだった」
「……体調が悪いなら休養に充てるのも手です。幼い頃は体が弱かったと聞きましたよ」
「誰から聞いたんだそれ。
うん、午前の間は休むことにする。午後になったら部屋に来てくれ」
「わかりました。ちゃんと休んでくださいね」


「~~〜ッ!さすがセイバー、一筋縄ではいきませんか…!」
「あちらも軽いダメージではないはずだ!……来るぞッ!ランサー、魔力持ってけ!撃たせるな!!」
「ええ、決めてみせましょう!!」

「駆けよ、放生月毛!毘沙門天の加護ぞ在り!毘天八相車懸りの陣!!」


「いや〜、勝ちましたねぇ!あのセイバー、最優というだけあって素晴らしい強者でした!」
「ほんと楽しそうだな…おれはもうクタクタだよ……」
「あー、宝具使いましたし結構ガンガンに吸い上げましたし…帰ったらすぐ休みましょう。明日以降のことは一旦棚上げです」
「またそんなこといって…… あ れ 。」
「マスター?どうかしましたか?」
「 足 が 、動 か な く な っ て 」
「!?魔力ぎれ……違う、いったい何が」
「 ラ ン サ ー 、ど こ ? め 、ま っ く ら で 」
「抱えます、急いで戻りますよ」
「 だ れ 、 お れ 、 よ ん で …… 」


「晴信?起きましたか?体調はどうで……っ!」
「……景虎、どういうことだ。どうして信繁が生きている」
「なにを」
「とぼけるな。あいつは川中島で死んだ。お前の、上杉との戦で死んだはずだ。おれはあそこで、あいつのなきがらを、しんだかおをたしかめて、なのに、あいつが、いきて、わらって、あねうえと、おれをよんでくるんだ、なにがどうなってる」
「はるの」
「おまえも、どうしておまえがここにいるんだ。ここはたけだだ。どうやってはいってきた。ちがう、そもそも、どうして、おれは、いきて、「マスター」っ」
「マスター、あなたの名前は何ですか」
「なま、え…?おれ、おれは、たけだ、はるのぶで」
「はい。私が誰かはわかりますか」
「かげとら……ながおかげとらだろう」
「それは私の真名ですね。
いいですかマスター、私はランサー。あなたが喚び、あなたと契約したサーヴァントです」
「さー、ゔぁんと」
「そうです。サーヴァントは人理に記録され使役される影法師、決して過去に生きていた、英雄そのものではないんです」
「そのもの、じゃ、ない」
「はい。あなたは武田晴信。この家の惣領娘で、私の、ランサーのマスターです。………落ち着きましたか」
「…うん。すまない、ひどいことをいった。」
「ひどい云々ならあなたの顔色の方です。そもそも何も知らずに聖杯戦争に巻き込まれて、降りることもできない、この状況が異常なんです。
本当に今日は寝ていた方が良い。立っているだけでやっとでしょう」
「いや動く。動かせてくれ。何かしていないと頭が変になりそうなんだ」




「お迎えに上がりました、信玄公」




「この魔力…ッ!あなた本当に人間ですか!?」
「間違いなく人間だとも!さあ、そこをどけ化け物!貴様のような物はあの方に相応しくない。私が、私だけが、あの方に侍ることのできる存在なのだ!!」
「……ぁ」
「晴信!?ぐっ、カハッ!」
「さあ参りましょう、大聖杯のもとへ!既に公は降臨され、あとは御身が器と成るのみです!」
「ま、て、まちなさい……!晴信、晴信━━━ッ!!」


「………遅かったな、謙信」
「あな、たは」
「今世の存在を器にサーヴァントを降ろすばかりか聖杯を使いこちらを縛るとはな。狂人の考えることは大概とはいえ、さすがにコレは虫酸が走る」
「マスターを、彼女をどこへやったんです!?」
「まだ此処にいる。今は、だがな。抑えてはいるが長くは保たん」
「━━━ッ!」
「引き剥がすなら急げ。塗り潰される前に我を殺めねば二度と戻ってこれなくなるぞ」




初めの印象は決して良くなかったと思う。
やたら露出の多い格好をした挙げ句、"自分は過去の英雄だ"なんて、頭がおかしいとしか思えなかった。
けれど、いっしょに過ごして、街を歩いて、戦って、不思議と受け入れている自分がいた。
きっと、間違いなく、こいつはいいやつなんだろう。
誰かが頼れば応えてくれる、そんな存在だったんだろう。
……まあ、よくわからないやつなのもたしかだけれど。
でも、こいつのことは信じていいと、素直にそう思えた。
そんなあいつがボロボロになっている。
自分の目の前で、自分を助けようとして傷ついていく。
やめろと言いそうになる口を噤む。
あいつ頑固なとこあるし。したいこと邪魔されると拗ねて後が面倒くさいし。
だから、できることをする。
大丈夫、まだ繋がってる。
戦国最強なんだろう?
なら、ちゃんと、勝ってみせろ!ランサー!!


「!」
「これは霊基の回復?いや、再臨か!」
「ハハ……あっははははは!!この状況で、それでも"勝て"と、"負けるな"と、そう仰いますかマスター!」
「っ、そうか令呪を…!」
「いいでしょう、必ず応えましょう。あなたの願いを、あなたの祈りを、叶えられずしてなにが英雄か!!」
「貴様……ッ!」
「我が名は謙信、上杉謙信!!毘沙門天の化身にして武田晴信のサーヴァント!!不知火の焔をもって神たる将を討つ者なり!!」
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