生贄として 2


 大雨が降ってその音が恐怖を引きずりだすように恐れが生まれる。待機命令という名の生活はそんな風にさえ思えてくる生活だった。
 どうしてパパのために必死にもがいて戦わなければならないのだろう。ふとそんなことが不安な生活の中、一瞬ふとよぎるようになった。すぐに忘れてしまうので、彼はそれについて、まともに考えることはない。それよりも今は意見を交わせる親友がすっかり立ち直り、不安を紛らわせることが出来ることが彼にとっては不安を取り除くことである。
 それにパートナーのこともあった。今までの戦いを経て、自分は自分を犠牲にしようとしたことがあった。その一件で告白をしなければよかった、などとこちらは思うことなどなかった。
「あいつの負担になってなければいいんだけど」
 しかし、あちらはどうなのか。無言を決め込もうとする部屋にノックの音が響いた。
 あの一件で、もう一つだけ学んだことがあったことも、分かっている。
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