TS転生厨二ウマ娘でもトレーナーに恋するって本当ですか?


正直トレーナーは誰でも良かった。
ただ、純粋に俺の走りさえ見てくれれば、良かった。
だが、俺の圧倒的な強さはトレーナーにとっては良い出世の駒だった。
だから惹かれたのだろう。
その男の瞳に、
紅く燃える獄炎の瞳に、
その憧れるような視線に。

だから、共に歩んでみたくなったのだろう。
この男と。

ーーー

俺の生まれは少し特殊だった。
俺は元々は普通の学生の最上幸太郎という男だった。
少しだけ他者と違って、特別になりたかっただけの『中二病』を患った男だ。
そんな俺は目が覚めたら。

身体がウマ娘になっていた。
訳が分からないと思うが俺も分からない。
いつの間にか別世界の住人になっていたのだ。

だが、幸いに俺の身体は強かった。
ウマ娘の中でも平均以上の才を秘めていた。
だから俺はあることを誓った。
最強となり、名を残す。
誰の記憶にも残り、後世に語り継がれる。究極のウマ娘になってやる。

そう誓った俺が中央に向かうのは必然だった。
そして今日、選抜レースが行われる。

「おい見ろよ‥‥‥あの子のバ体。」

「なんだよあの子……本当にデビュー前の仕上がりか……?」

「え?本当に一年生なの?大きくない?」

選抜レースのスタート前。
案の定、俺はトレーナーの注目を一身に集めていた。
周囲と比べても圧倒的な長身に、鍛え上げた肉体。
当然、他の奴とは別格だ。
なんせこの天から授かった才を無駄にしないためにここまで努力してきたのだからな。
そんな恐れるような、強者だと認める視線が俺には心地よかった。

そうだ。もっと俺を見ろ。そして恐れてみろ。

そんな全能感に浸っていると、

「ちょっと、アンタ!」

ふと隣のウマ娘から声をかけられる。

「何だ?」

「何だ、じゃないわよ!
ちょっとくらい目立ってるからって、調子に乗るんじゃないわよ!」

それは、小柄なウマ娘だった。
栗毛を短く切りそろえた如何にもお嬢様というウマだった。
高く可愛らしい声で噛みついてくる彼女を見て、俺の口から笑いが漏れた。

「な、何笑ってんのよ!」

「なに、まるでヒヨコのような言動に笑いがこみ上げてな。」

「だっ!誰がヒヨコよ!」

と怒りのボルテージがさらに上がり、顔を真っ赤にして怒る彼女。

「いいわ!アンタのにやけ面!私の足でたたき割ってやるから!」

「ほう。面白い。なら見せてみろ。お前の力を。」

そう啖呵をきる彼女に俺は冷笑を送る。

そして程なくして、レースの号令がなった。
おしゃべりの時間はもう終わりだ。
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