食卓


俺の悩みの種の一つにお袋がしこたま作りやがる手料理がある
親父が中々家に帰ってこない時にストレス解消でドカンとお腹に来るメニューをたっぷり作りやがる
そんな時のお袋はいつも通りの態度を取ろうとしてるがやっぱり何処か余裕が無くて家に居辛い
親父もご立派な肩書の癖にお袋の早く帰って欲しいってお願い一つ実現出来やしないのに腹が立つ
そんな有り様で何が世界平和だ
俺は食事が豪勢な日が嫌で嫌で仕方ない
だから合宿でこの憂鬱で胃もたれしそうな食事から解放されるのも楽しみだった

フレイアに両親との食事の話をすると嬉しそうだったり何処か羨ましそうだったりしていた
「とっても美味しそう!私もそんな豪華なご飯が食べたかったなぁ…」って言われても「毎日食わされたら胃もたれするぞ…お前の方が良いもん食ってるんじゃないか?」と自分でもイマイチピンと来ない返事しか返せなかったがあんなに嫌だったお袋がこさえた食事が褒められて俺は何故か嬉しく感じた

そういえばフレイアは「マトモなご飯なんて当分食べてないなぁ…」と口走っていた
まるで戦争でも経験したかのような事を…
俺が生まれる二、三十年前に大きな戦争があってそこで親父とお袋は出会って結ばれたらしい
もし俺がそんな状況にいきなり放り込まれたら果たして親父たちのように勇敢に戦えるのか?
そう思いを馳せると俺は自分の臆病さと弱さに反吐が出る気持ちになった
毎日飯が食える事や平和に暮らせる事は何気ない事だがきっと俺のような弱い奴には幸せな事なのだろう

ここの食事は確かに栄養価が整った食べやすいメニューだった
だけど何故かお袋の食事が恋しくなった
フレイアに何か言われると俺の心境は何故か変わってしまう
あいつに何処か寂しそうな顔をされると胸が痛む
俺はどうしちまったのか
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