キラが選んで下さいましたの!


キララクバイクお写真エピソード完全捏造妄想SS。公式からお出しされた2人のバイクお写真に脳を焼かれて。
種運命終了後、多分プラント移住直後、自由開始前の時空。
そんなにいちゃついてないよ。なんかひたすらキラくんがハラハラしてて、ラクス嬢がうきうきしてる話になっちゃった。
!キャラ崩壊、解釈違い、誤字脱字、要注意!
※公式様によるとバイクはキラ愛車が、ホンダ「ゴールドウイング」、ラクス愛車が同じく「ホーク11」らしいです。
原付でド派手に転倒して以来バイク恐怖症なIQ5の作者は、まったくバイクに詳しくないので作中の関連描写はふわっと
読み飛ばしてくれよな!
そでもよろしければ以下本文です。






「え?ラクス、今なんて?」
「ですから、バイクを購入しようと思いますの。……ですがわたくしそちらの方面にはめっきり疎くて……。やはりこういったことは、普段から愛用されている方のお話を聞くのが1番だと思いまして、キラにご相談しておりますの。」

ラクスからの唐突な相談に僕は少し胸騒ぎを覚えた。



アプリリウス市郊外の高台にある、引っ越してきたばかりの、2人の身の丈には余る広い邸宅で、新しい生活を始めたばかりの僕たち。
ラクスがオーブからプラントに移り住むにあたり、2人別々の場所に住むということが僕は全く考えられなかった。
……彼女がいないと僕は上手く呼吸することさえままならない。

そんな僕たちを取り囲む状況は日々大きく変化していっている。なのでお互いに報告や相談を欠かさないようにしていたのだか……

泉のように澄み切った瞳を輝かせ、ラクスは弾ませた声音で、宣言するように言い切った。

「わたくしもバイクを運転してみたいのです!」

なんとなく、そう言い出しそうな気はしてたけど、やっぱりそうきたかあ……。

「………僕の運転じゃ不満?」

オーブではカガリから借りたバイクにたまに乗っていたが、こちらに来てからは、2人で遠出するために白い大型バイクを一台改めて購入していた。

「あなたの後ろに乗せていただいて、2人でお出かけするのは楽しいですし、毎回とてもわくわくしますわ!それに、いつもキラが気遣って下さいますから、シートの上でも快適に過ごせています。ですので、キラの運転に不満などはありません。」

「…そっか。じゃあ、どうして、そう思ったの?」

「わたくしも風を感じてみたいのです。……それと、キラと同じ目線で、同じ景色を見てみたいとも思いましたの。
……あなたの後ろからでも、風は感じますし景色も見えますが、やはりそれは同じものではありません。
先頭に座り、愛機を駆ることでしか得られない解放感というものがあるのだと思います。わたくしもそれを味わってみたいと思いましたの。」

どうやらラクスは僕が思ってた以上にバイクにどハマりしているらしい。

……正直に言えば複雑な心境だ。彼女の望みは何でも叶えてあげたいと思う一方で、身に危険が及ぶようなことはしないでもらいたいとも思う。
ラクスは聡明で何をやらせても直ぐに呑み込み、卒なくこなす。MSの操縦だって基本的な動作のみだけど、一度も触ったことがないはずなのに、通信越しの僕の説明だけで難なくこなして見せた。
きっとバイクの運転だって同様なのだろう。僕の取り越し苦労に終わる。
しかし、分かっていても割り切れるかはまた別の問題で、彼女の身の安全性については心配がつきない。

でもそれ以上に、僕と同じものが見たいと言ってくれた彼女の心がひどく温かく嬉しかった。
ラクス本人に深い意図はないのかもしれない。オーブでたくさんの時間を共有するようになってから、ラクスは僕が好んで食べているものや行動に興味深々な様子で、いつも雛鳥のように後ろについて周り、じっと観察して、時には不思議そうに真似をしていた。
きっと、地球に初めて住んだので、彼女の目には全てが物珍しく映っていたのだろう。
……それと、これは自惚れかもしれないが、ラクスなりに僕のことを理解しようとしてくれているのだとも思う。
そんな彼女の姿は微笑ましく、愛くるしい。それを知っているのは恐らく僕だけだ。僕はほんのちょっぴりの優越感と、彼女に対する独占欲を抱いている。

そんな訳で、すんなりとした返答は出てこない。

「………。そう、なんだ……。」
「……キラ?」
「うん、ラクスのことだから大丈夫だとは思うんだけど、やっぱりちょっと心配かな……。」

「キラ、わたくしは大丈夫ですわ。
実は小さな頃、お友だちのオカピの上に乗せて頂いて一度も落ちたことがありませんのよ!それにジャスティスにだって乗ることが出来ましたわ。バイクぐらいなら問題ありませんわ。」

…うーん、ラクスの『お友達のオカピ』って、多分この前アスランから聞いた、クライン邸にいたあのペットロボットのことだよね。あれって確かラクスが乗って壊しちゃったのをアスランが修理したとかなんとかって(なんか微妙にドヤ顔しててムカっとした)、話だったような……。 

僕はラクスが何をしでかすのか予想がつかなくて、内心頭をかかえた。ここで彼女に反対して、今度はモビルスーツを操縦するとか言い始めたらどうしよう。自衛のためなら兎も角(それでも嫌だけど)、僕を守るためにとか言い出しかねないラクスなら。それだけは絶対にさせたくない。断固阻止だ。


「うん、ラクス専用のバイク、いいと思うよ。」
「まあ!……では、キラ」「車種選びについて話す前に、僕と一緒のとき以外は乗らないこと、安全第一で無茶な運転はしないこと、ラクスの扱い安い車体にすること、…約束してくれる?」

僕は彼女の返答に被せ気味に応えた。

「もちろんですわ!これでキラと一緒に並んでツーリングできますのね!
何を着ていけばよいのでしょうか?わたくし今からとても楽しみですわ〜!」

「…それと、ラクスのバイクは僕が選ぶから。」

「まあ!キラが選んで下さいますの?それならば間違いはありませんわね!わたくしも早く1人で運転できるようになりたいですわ!」

ラクスは即快諾。
綺麗な空色の瞳はきらきら光っているし、興奮して頬がほんのり色付いている。
……こんなに輝いているラクスの笑顔を曇らせるなんて僕には無理だった。



バイクの納車日当日、購入したディーラーに直接車体を邸宅まで届けてもらった。
ラクスと話し合い、何度か試乗して購入を決めたバイクは、[ホーク11]と言う名のアイスブルーのボディをもつ大型の車体だ。

朝からどこか、そわそわとして落ち着きのないラクスが、来客のため部屋着から着替えると言って、少し遅れて玄関先に顔を出した。
ラクスは淡い藤色のキャミソール(短めの丈で臍が見えている)に、白のホットパンツ、すらっとした脚を覆うようにニーハイソックスを身につけている。

「っ!!!ラクス……!、その格好は???」
僕は初めて見る、普段よりずっと露出度の高いラクスの服装にぎょっとした。

「……変ですか?カガリさんがバイクを運転されていた時に、お召しになっていたお洋服を参考にしてみたのですけど。」

僕は思わず吐きそうになったため息をすんでのところで呑み込んだ。
…はあ…カガリ、君のせいか……。

ラクス曰く、どうやらオーブでこっそりお忍びでバイクを乗り回し、孤児院を訪れていたカガリのラフな服装を真似ているらしい。
……なんていうか、これは、ちょっと…、元気で溌剌とした印象の強いこのスタイルは意外にも、普段は清廉で可憐な装いをしているラクスに似合っている。
……似合ってはいるんだけども、ラクスのこの格好他の人が見るのはかなり嫌かも……。

「…おかしくははないよ。でも僕と一緒にバイクに乗る時は、ラクス、もっとしっかり着込んでたよね。………。」
僕は安全上の理由で、特に運転初心者は軽装で乗るのはお勧めできないことを淡々とラクスに説明した。

「…そうなのですね。では、もう少しきちんとした装備と丈夫なお洋服を用意しなければいけませんのね……。」
 ラクスは出鼻を挫かれたのか、少しだけしゅんとしていたが、僕の言うことをきちんと受け止めてくれているようだった。

「今日はまだ運転出来ないけど、せっかくだから跨ってみたら?」
ほんの少しの罪悪感を抱いた僕は場の雰囲気を変えるため、ラクスにさりげなく提案した。

「はいっ!ぜひ!」

やっぱり真新しい愛車を目の前にしたラクスのテンションはいつもよりかなり高い。わくわくうきうきと言う擬音が全身から伝わってきそうなほどはしゃいでいる。
「……こんな感じでしょうか。どうですか、キラ? '様'になっていますか?」
「…うん、いいかんじだと思うよ。」
一応スタンドが立ててあるから、倒れる可能性は低いんだろうけど、僕は何となくラクスの跨っている車体の後ろ側に手を添えた。

『納車記念に1枚写真をお撮りしますよ。』
「……あっ、すみません、ありがとうございます。」

すっかり存在を忘れていた、男性ディーラーさんが、にこにこしながらカメラを構えてパシャリと写真を撮ってくれた。

「まあ!せっかく届けに来て下さったのに、ろくにご挨拶もせずに申し訳ありませんでした。…今日はこちらまでご足労頂いて、本当にありがとうございました!わたくし以前からこの日が来るのを指折り数えて楽しみにしておりましたの。
この後、お時間がありましたら、ぜひお家の中でお茶でも如何でしょうか?」
ラクスはバイクに跨ったままのんびりと挨拶を交わしている。その光景は少しシュールだった。


あの時、2人で納車記念に撮ってもらった写真は僕の密かなお気に入りとして、PC近くの一画に何枚かの写真と並べて飾っている。
この写真を見るたびにわくわくとした表情で青い車体に跨っていたラクスを思い出す。…あのラクスはちょっと面白かったな。
気がつけば僕はひとり、ひっそりと思い出し笑いを浮かべていた。


   おわり



○○余談○○
後にラクスはバイクの操縦経験を活かし、キラのピンチにプラウドディフェンダーに跨り出撃することになるのだが、この時点でのキラには全くの想定外の出来事である。
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