くすぐる


※どうしてもキラが爆笑してるところを見たいラクス。SEED自由 映画後時空2次創作、公式様とは一切関係ありません。場所はプラントなのかはたまた隠遁先か、ふわっと会話文しか殆ど描いてません。誰かこのネタでもっと美味しく調理してくれ。free素材。
!キャラ崩壊解釈違い注意!
   以下本文です。



桜が散り始めて新緑に移り変わろうとするある晴れた日 休日の昼下がり

自宅でのんびりお昼ご飯を食べた後、僕ら2人はお茶を飲みながらソファーに隣り合って座りゆったりと過ごしている。特にすることもなく庭で戯れているペットロボット達を見ながらぼーとしている。隣りのラクスは分厚いレシピ本を読んでいるみたい。弾む会話がなくても彼女が側にいてくれるだけで心地がいい。陽射しも暖かいし、このまま軽く睡るのもいいかもしれないと微睡みかけていた時、何やら隣から熱心な視線を感じた。

ちょんちょん。
「えい、えいですわ!」
彼女の細い指が僕の真横から脇腹をくすぐる。
「っ!!ひょっ……」
完全に油断していたので変な声が出る。突然のかわいらしい攻撃の始まりに頭が追いつかない。
しかしラクスの手は止まらない。優しく的確に敏感な部分を攻めてくる。片脇とは言えかなりくすぐったい。こそばゆい。
「……っ!……っ!ちょっと、ラクスっ???」
彼女に向き合うため体の位置を変えようとすると、
「キラ、失礼しますっ!」
ふわり、可憐な水色のワンピースの裾をゆらし、ラクスは正面を向いて座っていた僕の上に乗り上げ両脇を攻め始める。
「こちょ…こちょこちょ、こちょ…」
「!!!〜〜〜っ!〜〜〜っ!」
ラクスが膝に乗り上げてきたことに驚くのも束の間、脇をくすぐられ、悶絶。
このままじゃやばい色々、かっこ悪いもっと変な声でそう。これ以上くすぐられ続ければ腹筋が死ぬ。僕のHP、おおよそ50/100。残り半分。息も絶え絶え。 ダメだ止めよう。

がばっと両手の動きを封じるため抱きついて動きを止める。       

「ストーップ!!!」

ラクスはきょとんと不思議そうなを顔して、僕を見つめていたが、取り敢えずくすぐるのは止めてくれた。
息が乱れてちょっとはぁはぁしながら、抗議の意味を込めてラクスの両の頬っぺたを軽くつまむ。

「ラァークゥースーぅぅ???もう、やめてよね。いきなりは驚くでしょ。………くすぐったいよお。」

ラクスは大きな澄んだ瞳をキラキラさせながら、
「あら、あら?効果はありましたのね?奇襲成功ですわ!」
と嬉しそうにはしゃいでいる。

「……でも、想定していたよりも反応が薄いように感じますわねえ。」
ぽそりと小さな声で呟いて、ゆるく抱きしめている僕の首筋にすりっと頬をよせてくる。

「???」
うう、かわいい、ラクス楽しそう、あれでもちょっとだけ不満そう?かなりそこ引っかかるけども。
じゃなくて………、奇襲???て事はこれで終わりじゃ無いのかな?

ラクスはときたま本当に予想外の勇ましい行動をとる。これだから目が離せない。
でもこれ以上やられると僕の腹筋がもたない。あとちょっとむらむらしてきた。太もも柔らかい、良い匂いする。この体勢は色々まずい。気を逸らそう。
スゥーと息を深く吸い込む。

ラクスが僕の膝の上で身じろぎしてこっそりと降りようとしている。

「キラ?ごめんなさい、少し悪戯しすぎましたわ。喉渇いたでしょう?お茶をいれなおしてきますわね?」

がしっ、

僕は膝から退けようとしていたラクスをしっかりと捕まえた。

「…??キラ?」
「……………………。ラクス、仕掛けたからには覚悟できてるよね??」

「あらあらあら〜?交代ですの?お手柔らかにお願いしますね。」

さっきまで逃げようとしてたのになんだかちょっと余裕そう。…なんか、ちょっと悔しいので、全力でくすぐってやる!

こちょこちょこちょこちょ、的確にラクスの脇腹をくすぐり返す。さっきの彼女より時間をかけて執拗に。

ラクスは僕よりもずっと敏感なようで。

「ひゃあ、うふふふふ……ちょっと……キ、ラあ、もう、いきなり、ふふ、ふ、くすぐったり、しません、っからっ、ふ。もっ、もう、許してくださいっ。きゃっ、あっ、はぁはぁはぁ………。」

あ、完全にこれ逆効果だ。僕のラクスがえろかわいい。多分本人は一切そんなつもりないのに。息が乱れて真っ赤に染まる綺麗な顔。控えめな笑い声に混ざるかすかな喘ぎ声が夜の情事を思い起こさせてヤバい。流石に真昼間から盛って嫌われたく無い。もうやめとこ。

気を逸らすために、荒い呼吸を整えている彼女の乱れた柔らかな髪をそっと撫でつけ直して、先ほど見た、ラクスの楽しそうではあるがどこか不満気な表情を思い返す。今もラクスは少し頬を膨らましている。

「もうっ、確かに突然くすぐったわたくしが悪かったとは言え、倍返しされるとは思いませんでしたわ……。キラのお陰でお腹がつりそうですわ。」

優しくラクスの頬をつつきながら僕はさっきの引っかかりを遠回しに彼女に尋ねた。
「ごめんって、だって笑ってるラクスの声すごくきれいなんだ。もっと聴いてたくて。…………でも、どうして突然悪戯したの?」

ラクスはときたま突拍子のない行動をおこす。だけどそれにはいつもきちんとした理由があって。

彼女は染めた頬をそのまま、僕の上着の裾を握りしめて、目線を下げて小さな声で少し悲しそうに話した。

「…………。同じですわ。キラの、笑ったお声が聴きたかったんですの。わたくしが、あなたを笑顔にさせること、今まであまりできていなかったでしょう?」

「…………っっ!!」
僕は彼女の言葉に衝撃を受けた。

…ちがう、違うんだよ。ラクス。同じだけど同じじゃない、ラクスは純粋に僕のことを想う気持ちだけで、可愛らしい悪戯をしかけてくれたというのに。
……彼女の声を聴いていたいのは本当だけど。
今の僕は邪な下心と…。過去の鬱々と悩んでいた僕に対する自己嫌悪でいっぱいで。
僕だって1人で空回りして、自分の気持ちに手一杯で、待っててくれる君のことを蔑ろにして、笑わせるどころか笑顔を奪っていた……。過去を、あの日々のことを、謝りたいけど、そんなこと、きっとラクスは望んでいない。何よりこれじゃあ2人で堂々巡りだ。
きちんと伝えないと、いや伝えたい。

俯いていた彼女と視線を合わせる。

「話してくれてありがとう、そんなふうに想ってくれていたんだね。……君がずっと、僕のこと考えてくれてたことが、……すごく、すごく嬉しい。」

こういう時、自分の口下手さが嫌になる。ラクスに伝わるように彼女のほっそりとした華奢な両の手を祈るようにきゅっと握る。

「……多分、僕明るくないし、でも自分の感情隠すのも上手くできないから、暗い顔して君にも、周りのみんなにも、たくさん心配かけてたと思う。
……こうやって話すまで、正直自分がどんな顔してるかなんて、まったく考えたことなかった。
……………でも一つだけ、これだけは、はっきり分かる。
僕は君が、ラクスが側でこうやって僕のこと見ててくれないと心から笑えない、君が嬉しいと僕もうれしい。君が悲しいと僕もかなしい。…君がわらってくれないと、ラクスがいてくれないとダメなんだ。」

「キラ………」

ラクスの泉のような澄んだ瞳に僕だけが写っている。
僕たちはお互いをそっと抱きしめ合った。どのくらいの時間そうしていただろう。離れがたくてしばらくの間黙ったままくっついていた。庭からトリィとブルー、ハロたちのはしゃぐ声が聞こえる。

ラクスは小さな声で独り言のようにぽつりと呟いた。

「………わたくし、こんなに幸せでいいのでしょうか。」

「いいに決まってるでしょ。さっきも言ったよね。君が幸せなら僕も、'そう'なんだよ。」

「…っ!!」
返答があるとは思わなかったのだろう。ラクスから小さく息を呑み込んだ音が聞こえた。
彼女は切なそうにそっと微笑んで、長いまつ毛を伏せた。

あ、キスしたい。今流れ的にそういう空気だよね。うん、しよう。
僕は彼女の両肩に手をそっと添えて顔を近づける。睫毛までかわいいな、髪と同じ色だ、やさしい桜の色。……柔らかいぷるんとした唇までもうすぐ……。

「っっ!!ひょうっ!〜〜っ!」

ラクスの両の手が僕の脇を容赦なくくすぐる。
やられた。完全に不意打ちだ。しかも我慢できずに変な声も出た!これはめちゃくちゃ恥ずかしい。……あれ、ラクスさん……?いまそういう雰囲気だったよね?僕の勘違い???二重に恥ずかしい。あーもう、絶対顔赤くなってるしほんとにもう、あー、いたたまれない。
彼女の攻撃をかわそうと僕は身を捩った。

「ちょっと、ラクス、やめっ、わぁ〜!」

本格的に僕の上に乗りあげてきた彼女にソファーに軽く押し倒された。

「ふふふふふっ。でも、わたくし、キラが笑ったお声を聴いてみたいんですの。それにおっしゃいましたでしょう?わたくしが笑えばあなたも笑うと……。」

僕をくすぐりながら彼女がころころと笑う。

「〜っ!それ、は、そう、なん、だけどっ、これは、ちょっと、違くぅ、ない?」
息を切らせながらなんとかラクスに答える。

まったく、この砂糖菓子を溶かしたようなふわふわお姫様は、意外と負けず嫌いでちょっぴりやんちゃ。
くすぐったいことはもちろんそうなんだけど、なんだか違う笑いが込み上げてくる。
「っふ、ふは、あはははは、ははっ、はははっ……」

「!!っ!
……キラがっ!笑いましたわっ!わたくしやりとげましっ」
ちゅっ

何やら、今日一等煌めいた瞳と晴れやかな表情で勝利宣言をしてるみたいだけど最後まで言わせない。この人はどこまで愛おしいんだろう。


部屋の中は空調が効いているはずなのに、もうすぐ夏がきそうなくらい暖かい。窓から差し込む優しい木漏れ日の中で君が笑っている。なんでもないおだやかな1日だった。
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