「上官と部下」

題名：上官と部下　作者：草壁ツノ

＜登場人物＞
上官：不問　とある軍隊の上官。厳しくしすぎるため部下が辞めてしまう事が悩み。
部下：不問　上官の厳しいシゴキに耐えて唯一残っている変わり者の部下。

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＜役表＞
上官：不問
部下：不問
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■利用規約
・アドリブに関して：過度なアドリブはご遠慮下さい。
・営利目的での使用に関して：無許可での利用は禁止しております。希望される場合は事前にご連絡下さい。
・台本の感想、ご意見について：お気軽にお寄せ下さい。Twitter：https://twitter.com/1119ds　草壁ツノまで
・両声類の方の利用について(2021/11/11追加)
　演者の方ご自身の性別を超える役のお芝居はご遠慮しております。

　可能：「不問」と書かれているキャラクターを「キャラクターの性別を変えずに演じる」こと
　不可：「男性」と書かれている役を「女性かつ両声類」の演者が演じること
　　　　「女性」と書かれている役を「男性かつ両声類」の演者が演じること

　ご意見ある所でしょうが、何卒ご理解の程よろしくお願い致します。
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上官：「今から訓練を開始する！」
部下：「はいっ！」
上官：「よし、では返事をしろ！1番！」
部下：「はいっ！」
上官：「2番！」
部下：「......」
上官：「3番！」
部下：「......」
上官：「4番！！」
部下：「あの」
上官：「なんだ！」
部下：「2番、3番、4番さんは居ません」
上官：「何故だ！」
部下：「皆、上官の厳しすぎるシゴキに音を上げて、やめていきました」
上官：「......」
部下：「じょ、上官？」
上官：「うわあん！」
部下：「上官っ！？」
上官：「いつもそうだ！皆私がちょっと厳しくしたらすぐに辞めていく！
　私は皆に期待してるからこそ厳しくしているだけなのに...！」
部下：「ああ、上官泣かないでください......」

上官：「......それにしても、お前は何故辞めないんだ？」
部下：「え？自分ですか？」
上官：「ああそうだ。お前は元々いた2番、3番、4番と比べ
　体力も無ければ根性があるようにも見えなかった。そのお前が、何故？」
部下：「......」
上官：「答えられないのか？」
部下：「上官」
上官：「なんだ？」
部下：「その質問に答えろというのは、上官命令ですか？」
上官：「むっ？ま、まぁそうだな」
部下：「なるほど、でしたら仕方ありません......」
上官：「なんだ、勿体ぶって」
部下：「自分は、上官を慕っています」
上官：「な、なんだいきなり」
部下：「自分がこの軍に入隊したのも、上官が居たからです。
　　　幼い頃に自分を救ってくれた上官に憧れて」
上官：「そ、そうか。どこかで私とお前は会っていたんだな」
部下：「ええ、そうです。だから、どれだけ体力が無くても根性が無くても、
　　　自分は辞めるつもりはありません。少しでも上官に近づけるように」
上官：「1番......お前......そんな風に思ってくれていたのか......」
部下：「あれ、上官。また泣いて......」
上官：「ば、馬鹿者。軍人が泣くものか」

部下：「あの、ところで上官、お願いがあるんですが」
上官：「......ふふ、なんだ？今の私は機嫌が良いからな。多少の事なら聞いてやるぞ」
部下：「ほんとですか。じゃあ、使っていなかった有給があるんで、まとめて使ってもいいですか？」
上官：「ああ、最近休暇を取れていなかったからな。特別に許可しよう」
部下：「ありがとうございます！それと......朝弱いんで、訓練開始時間を1時間遅くして貰えますか？」
上官：「......人それぞれ得手不得手があるからな。仕方ない、特別に許可しよう」
部下：「（おや？これは何言っても聞いて貰えるのでは？）」
上官：「どうした、変な顔をして」
部下：「あの、上官」
上官：「なんだ」
部下：「今度から軍服じゃなくて私服でもいいですか？」
上官：「......許可しよう」
部下：「寮にテレビゲームを持ち込んでもいいですか？」
上官：「......許可しよう」
部下：「今度から上官じゃなくて、ジョー先輩って呼んでもいいですか？」
上官：「許可出来ん！！」
部下：「ええっ」
上官：「まったく何だお前はさっきから！無茶苦茶な要求ばかり言って！全部無しだ！無し！」
部下：「そんなぁ～有給ぐらいはせめて......」
上官：「それとも、何だ？お前は、それぐらいの待遇が無ければ軍に残るつもりは無いという事か？」
部下：「え？いえ、そんな事は全然無いですけど」
上官：「何だそれは......じゃあ何でそんな私を振り回すような事を言ったんだ」
部下：「え、それはですね......たまには上官、困らせてみたいなって」
上官：「まったく理解が出来ん......」

部下：「あ、でもこれだけはホントのお願いがあるんです、上官」
上官：「......聞くだけ聞いてやろう」
部下：「えっとですね。『お前には期待しているぞ、1番』って言ってくれませんか」
上官：「......なんだ、そんな事か」
部下：「え、それじゃあ」
上官：「残念だが、それは上官命令で却下だ」
部下：「そんなぁ」
上官：「ゴホン、それはそうとして、1番」
部下：「はい？」
上官：「期待しているぞ」
部下：「え、何ですか？」
上官：「何でもない」
部下：「え、今何か言いましたよね？何て言ったんですか、上官！」
上官：「うるさい、さ、訓練を始めるぞ」
部下：「え、ちょっと！教えて下さいよ、ねえ！上官～～！」




＜終＞