総評案4 ver.1.1


現実では出来ないRPGから、もしもの現実を体験できるシミュレーション、そして現実でもできるパズルやスポーツなど2019年はさまざまな次元からクソゲーが出た。スレ住民は「ゲームと言えないものは選外に送るのか」というか疑問を抱きつつ2019年は中国産の真夏の怪物、「サマースウィートハート」に大賞が送られた。
そして2020年…新型コロナウイルスの大混乱で平和の祭典は延期になったがその年の1番のクソゲーを決める祭典はいつも通り始まった…

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まずは1月。思いもよらないところから門番が現れた。

1/28にSwitch、1/29にPS4、4/30にX BOXOneで発売された「Kentucky Route Zero:TV Edition」(以後ケンタ日本語版)である。

このゲーム、元々は2013年から全5章+幕間5篇が順々にSteamで配信されていた究極の雰囲気ゲーである。2020年に無事物語が完結し、大変な高評価を受け「名作」と言われ、GOTYを受賞までされた素晴らしいゲームだ。それをSwitchやPS4、XBOX Oneに移植した作品になっているがそんな「名作」がなぜここに来たのだろうか?
その理由はただ一つ…「破滅的な翻訳」である。
「では」が「でわ」になったり「引き出し」が「引き出さ」になるなど誤字脱字は数えきれない、また、見る意味の「Watch」を「腕時計」にしたり人名の「Cliff」を「崖」にしたりなど、挙げ句の果てには「あなたは森の中の木々に何が起こったのか知っていますか?山火事はそれらをすべてクリアしてクリアします。それらは新しい木々のための部屋を作った」のガバガバな翻訳が全編を通してあちこちに見られるため、ミステリアスな作品の雰囲気や没入感を即ぶちこわしてくる。
7月にパッチが配布され先程の「あなたは(略)」のようなあまりにもひどすぎる機械翻訳は改善されたもののそれ以外の問題点は未だほぼ放置されている。修正が入った箇所よりはまだマシ、程度の低質翻訳なのに未修正の箇所もあり、「明らかに目立つ部分だけ、やっつけで処置したんだな」という印象である。
それでも一応、この修正によって今までよりは「読める」「意味が分かる」部分が増えたのは事実だ。特に2人の重要キャラの設定については、ほぼ読みとれなかった旧バージョンに比べればかなり分かりやすくなった。
だが、この修正で日本語版がクソゲーから脱却できたか、といえば答えは否だろう。
むしろ支離滅裂な機械翻訳が減り、一応は読めるようになったことによって、「明らかに破綻した翻訳のせいでろくに読めない」クソゲーから「読めたって結局わけが分からない」という印象の、別種の業が深いクソゲーになった感があるからだ。
「翻訳が改善されれば喜んで選評を取り下げる」と選評者は言い、ケンタ日本語版は無事話題作入りした。

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次は7月。クソゲーは2度刺す。

1つ目は7/1にPS4で発売された「Dreaming Canvas」(以後ドリキャン)である。

これは5つのマップを巡り、旅人に会いながら絵を描いていくというゲームである。
このゲームがここに来た理由は単純明快、「何も無い」からである。
このゲームは絵を描くゲームなはずだが、なんとキャンバスに絵を描けない
1マップに4個ほど白いキャンバスが置いてありそこに絵を描くのかと思いきや
キャンバスを開くと写真のような絵が描いてあり、ツマミで彩度や輝度などの5つのパラメータをいじるだけ。また、パラメータにはその効果などが書いておらず初見では不便である。
商品説明にはキャンバスを見つけたら、夢の風景を描く準備をしてくださいと書いてあるが元々描いてあるアプリで加工された写真のような絵を色彩調節するだけで、ボタンを押したら真っ白なキャンバスに一瞬で絵が描かれて何の感情もわかない毎年恒例の虚無ゲーとなっている。
旅人に会いながらとあるがNPCの周りに突っ立っているだけでトロフィーがもらえる。トロフィーの内訳はプラチナ0、ゴールド2、シルバー3、ブロンズ3と集めやすさは尋常では無いがそのために440円を払うまでも無いだろう。
さらに旅人に会って貰える言葉は「絵を描くのは方法がわからないときは簡単ですが、行うと非常に困難です」などの見覚えのあるガバガバ翻訳である。
「絵を加工する」「直訳された名言を踏む」以外にこのゲームで出来ることはマップをうろつく事しか出来ない。マップをうろついても出来ることは「椅子くらいの物の上にジャンプして乗る」「ドアがなく何も置いていない家の中に入って出る」くらいでアイテムもなく、ジャンプ以外のなんらかのアクションを起こすことは不可能である。
これらのことからバカゲーとして名高いSteamの「Goat simulator」の良いところとヤギを抜いてキャンバスを置いただけのゲームと言ったスレ住民もおり、ドリキャンは無事話題作に入った。

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2つ目は7/2にSwitchで発売された「ファイナルソード」(以下ファイソ)である。

発売前からしょぼすぎるグラフィック等で見えている地雷と称され、発売後もゼ○ダの伝説からのBGMパクリ疑惑など様々な形で話題となっていたがその中身は叩けば叩くほど埃が出てきて、しかもその全てが発見する度に思わず誰かに話したくなる、非常にシュールかつ味わい深いクソゲーであった。発売されるたびKOTY Wikiがアクセス過多でダウンし、スレも一気に加速した。
さらに先程言ったパクリ疑惑からか配信後4日で配信中止になってしまった。スレ住民は「配信中止の場合、対処はどうするか」「4日しか配信していないのに検証できる人はいるのか」と心配になった。だがそんなことは杞憂だった。何人もの人が検証し、問題点を挙げてくれた。
このゲームがここに来たのかと言うと「実力不足」だからである。
KOTYらしくないがまずは良いところから書かせてもらおう。
『絶対に勝てない』場面は少なく、工夫次第で十分クリア可能な範疇である歩けば歩くだけ必ず強くなれるオープンワールドらしい作りをしていてモンスターと戦って経験値やお金を稼げるのはもちろんのこと、フィールドにもダンジョンの中の宝箱の数がとても多く、中身はそこそこの確率でステータス永続アップ系のアイテムである。
モブのセリフが大体ひとつの村につき、進行に応じて2~3パターンはあると見て間違いなく定期的に変わる。キングダム等の何度も訪れる施設ではさらに多い。また、基本動作が5種類あり、スキルや魔法、オートセーブ実装などシステムだけ見ると意外なほど作り込まれている事が分かり、これらから作者たちの熱意が感じ取られる。
そして問題点だが、モンスターはとても固いせいでレベル上げが大変、や凍結で動けなくなってはめられる、など様々なところのバランスが悪い。そして何度見ただろうか翻訳がひどい。一応パッチで少しは修正されたがスレ住民は「当然んじゃろ…!」や「ここは人間ごときが来る場所ではない」など修正前のファイソ語録をうまく使いこなしていた。中途半端に遊べるが故に先へ進めてしまい、後半になるにつれて理不尽な要素に出会う機会がどんどん増えていく。この「遊べるからこそ、誰もがクソ要素に辿り着いてしまう」という点も本作の特徴であると言えるかもしれない。一見遊べそうな作りは、それこそがクソストレスへの入り口、巧妙な罠であった。反対意見など無く満場一致でファイソは話題作に入った。

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寒さが蔓延る12月。4本目のゲームが見覚えのある姿で出てきた。

12/3発売にSwitchで発売された「テニス オープン 2020」(以下テニス)である。

去年のクソスポーツゲーム大集合に憧れたか一年遅れてここに来た。
このゲームがここに来た理由は…また「つまらない」からである。
キャラは自動移動なので基本的にはスティックでボールを打ち返すだけだが技がなくただただコートの端を狙いながらラリーを繰り返す作業なのですぐ飽きが来る。
また、自動移動の位置取りが悪いのか普通なら返せるボールでもボールの上を振ったりボールが脇の下を通っていったりボールが体をすり抜けたり振った時背中に通っていく事が多々ある。同じようなボールでも返せる時と返せない時があるので条件は不明だが相手サーブを返す時に発生しやすく、プレイヤーが操作するのはボールの強さと打ち返す位置だけなのでそういうボールを打たれたら空振るしかない。
そして全体的にグラフィックが荒い。相手選手のキャラの体は分からない。
試合中プレイヤーと相手選手とコートにある最高速度のメーター以外は動かない。
審判もボールボーイも全く動かない。観客に至ってはダンボールのようなグラフィック。
ボールは後ろの壁をすり抜ける事がかなりあるので(試合には関係ないが)この部分でも手抜きを感じさせられる。

問題点は本当にただただつまらないと選評者は言い、スポーツの虚無ゲーは去年にもあったが今年も無事話題作に入った。

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年が明け1月。未だ収まらぬコロナの脅威の中、そろそろ選評を締め切ろうかと言った時に奴は話題に出て来た。

11/5にSwitchで発売された「爆丸 チャンピオンズ・オブ・ヴェストロイア」(以下麦芽)である。

このゲームがここにきた理由は「こだわりが感じられない」からである。

全体的に話が薄く深みもないが王道の子供向けストーリーで分岐的なものは無く一本道。また、爆丸の世界観を知っている前提でストーリーが進行するため、中盤に到達するまで爆丸とヴェストロイアが何かは説明されない。ラスボス討伐後もスタッフロールは無く、イベントがあっさりで住民のセリフも変わらないためクリアした達成感が感じられない。クソゲーの華であるBGMは種類が少なく、マップ上では車の音や風のせせらぎを楽しむことが多い。
アイテムがキラキラ光る場所に落ちているがあまり大きくはないので見落としやすく、なのに爆丸だったりする。また、セーブやロードがなく、タイトル画面には「はじめから」の文字も無い。そしてオートセーブであるがどこでセーブしているかは明確には分からない、などシステムやアイテム配置が適当感がある。
バトルは3体の爆丸を交換しながら行うが、相性が悪くても強いアビリティを3回くらい当てれば大体倒せるため深く考えなくても何とかなる。
公式PVやパッケージの裏では80種類以上の爆丸が登場するとされているが、基本的には 16体と隠し爆丸の1体である。基本的な爆丸は5つの属性(火水風光闇)があり、それぞれ色が違う為16×5=80としてると思われる。(隠し爆丸は金属性の1種)
しかし原作カラーは初期形態であり、序盤以降は恐らく原作ファンはしっくりこないカラーリングとなる。
また、トレトロス→トレトラスや、マクサドン→マックソドンなど大体の名前がアメリカ風に改変されている。なお逆に合っている8体は国内で玩具が販売されているものであり原作要素が実質16体の爆丸と1人の人物のみであり、名称も異なっているなどキャラゲーとしても再現度は低い。
そしてこのゲームにはまたも翻訳問題がある。
日本語として言っていることがわかりにくい、わからないもの
「秘密こそ、この黄金社会を束ねる糊さ」
「バスター始まる 中心街でバスターを探す。いいんじゃない」(サイドクエストの表記)
そして、タイプミス
「うごく楽しかった!次はいつだ?」
「この爆丸コントローラーがあれば、麦芽は大人より子供の言うことをきくものさ。でも、やっぱり変だ。」
最後にそもそも訳していないものや言語が違うものもある。
「I once found Bakucoins on top of a trashcan,isn’t that weird?」
「〇〇、我可以加入你的隊伍嗎?」(隠し爆丸が主人公に呼びかけて仲間になろうとするシーン)
などどうしてこうなったと疑問になるものもある。
最後にテキストの問題だ。
会話テキストは1文字ずつ右に表示されているが、一定の文字数になると既に表示した文字も下へ改行され、文字の大きさも微妙に変わる。こちらに関してはAボタンで全文表示にできる。「、」で改行する文も多く違和感を感じさせる。
また、チュートリアル等の説明のテキストボックスで幅が固定されて文章が表示されるため、1行で無理やり表示させている結果、switch本体モニターでは1ミリ程度の文字サイズとなってしまう場面がある。
キャラゲーあるところにクソゲーあり。麦芽も無事話題作に入った。

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以上5つのゲームが今年の大賞候補である。
ガバ翻訳で名作をここまで陥れた「ケンタ日本語版」
虚無の真髄を極めた「ドリキャン」
沢山のツッコミどころで沢山の人を笑いの渦に巻き込んだ「ファイソ」
去年のスポーツクソゲーを追いかけた「テニス」
今までのクソゲーをなぞるようにクソ要素を集めた「麦芽」
以上5つのゲームが今年の大賞候補である。
海外への渡航を自粛している中、奇しくも海外産のクソゲー5作品のみであった。
それでは今年の大賞を発表しよう。
2020年クソゲーオブザイヤー大賞は…


「Dreaming Canvas」である。


今まで虚無ゲーが大賞に選ばれたことは少なく、2013年のHIPと2019年のサマスイぐらいだろう。
だがドリキャンはそれをも越える虚無さを持っている。
今年の他のゲームと比べよう。
ケンタ日本語版には「実績」がある。元言語版で翻訳しながらプレイすると少し無理なところもあるが世界観には浸かれるだろう。
ファイソや麦芽には「シナリオ」がある。いつか終わることは保証されている。また、そのために「終わりはどうなるのだろうか」というサマスイ現象が起きるだろう。
テニスには「目標」がある。これもいつかは終わることが保証されている。
それに比べ、ドリキャンにも「目標らしきもの」はあるが彩度などを調節し、旅人の周りに突っ立っているだけな達成感も感じられないものが長く続くためテニスよりも苦痛は強いだろう。


最後に昨今の密を防ぐ世情の中このような紙ゲーを作った会社に一言言って2020年クソゲーオブザイヤーを終わらせたい。


「ゲ ー ム の 中 身 ぐ ら い 密 に し て く だ さ い !」
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