WのZエンド(参考 亜美真美Zエンド)普通は自筆、太字はAI、赤字はリトライした箇所


私は315プロダクションに所属するプロデューサーだ。
しかし、「W」というユニットを組む双子アイドルの蒼井悠介・蒼井享介兄弟のプロデュースが上手くいかず、次のライブで失敗したら「W」は解散し、悠介と享介は引退する事になってしまう。しかもライブ前日になって突然2人の調子が悪くなるし……こんなピンチで一体どうすれば良いんだ! 困っている私の元に315プロダクションの社員から手紙が届く。その差出人は同じ315プロダクションに在籍する元伝説のアイドルユニットのプロデューサーだった男だった。
彼の名は大神響。

その手紙には、「 明日のライブに双子の調子が悪いみたいだから双子の代わりにお前たちがデュオライブをして、成功させてくれ」というものだった どうしてよりによってこんな時期に 困惑しパニックになりながら、彼はどうにかして1億以上の資金の融資を引き出した 借金を抱えてでも、無名アイドルをレジェンドアイドルにすることに成功した大神さんの指示とはいえ、2人の替え玉なんて使いたくない。
私は背丈が、悠介と享介と同じくらいであったため、2人がライブに遅刻する際に、来るまでの時間稼ぎで二人のどちらかの振りをして舞台に立つことがしばしばあった。
でも、これが二人の最後のライブになるかもしれない上に、悠介も享介も現状を理解して必死に頑張っている。
私は替え玉なんて使わず「W」の本人にライブに出てもらう事にした。

翌日、私は先にライブ会場である小さなライブハウスに1人で来ていた。2人は体調不良のため会場に着くまでに遅れることは既に伝えているので心配はいらない。
開演前の静まり返った部屋ではスタッフの声が微かに響いているのみ。

私は今日はライブの下見と準備を念入りにしようと決めていた。
だって悠介と享介がライブ直前に来る程の体調不良になるまで追い詰めたのは私がミスしたり、間違った指示を彼らに送ってしまったからなのだから。2人に謝って許してもらうためにも、今日のライブは必ず成功させる必要があるのだ。
そう思いながら私は部屋の中を見渡すと、机の上に一枚の写真が置かれていることに気づいた。
それは、この前行われた事務所合同イベントの際に撮った集合写真だった。
そこには私の隣に座る双子の姿があった。

悠介も享介も他のユニットのアイドルたちと仲が良い。そして彼らと変わらない素質がある。もしも足を引っ張る私みたいなのがプロデューサーじゃなければきっと今頃は……。

「こんにちは。」と何者かが私に声をかける。振り向くと、そこに居たのは同じ315プロダクション所属で、悠介や享介と特に仲のいい男性アイドルである 葛之葉雨彦だった。
彼もまた、今回のライブに出演するメンバーの一人である。
彼は私の隣にある椅子に座って話を続ける。
実は昨日、急に体調が悪くなった双子を心配した彼らが俺に連絡してきたらしい。
そこで俺は彼らの代理として急遽ライブに出ることになったのだが、肝心の双子がまだ
来ない……という内容の話を私にしてくれた。

「お前さんは悪くない。双子も悪くない。ただ巡り合わせが悪かっただけだ。俺が悪い物を追い払っておいたから今日こそは上手くいくはずだ」とかなり背が高い雨彦が私を見下ろしつつも、威圧感のない優しい雰囲気で言う。
「ありがとう、雨彦……悠介と享介の足を引っ張ら無いように頑張らなきゃ」

その後、今日の下見と準備は要領のとても良い雨彦が手伝ってくれたおかげでかなり上手く行った。あとは悠介と享介が来て良いパフォーマンスをするだけだ。
「俺らLegendersは双子の代役で来た。流石に予定外のライブはなかなか難しいから本当は避けたいし、双子やお前さんが上手くいって欲しいから彼らには来てもらわないとな……」
雨彦がそういった途端、「ごめんなさい! 遅れてしまって!」と悠介と享介が私にその存在を示す声がした。
「悠介!享介!2時間後にライブだけど大丈夫?私の問いに2人は笑顔で答える。
悠介と享介はもう既にライブ衣装に着替えており、2人とも顔色が良くなっていた。
私は2人を連れて、急いでライブ会場へと向かった。
ライブ終了後、私は2人を楽屋に呼んで、2人に謝罪をした。

しかし、その雰囲気は重苦しいものであった。ライブは滅茶苦茶の大失敗だったのだ。
「悠介が古傷を庇いながらダンスや歌をやっていたのに気づけずに、今日絶対休めないようなプレッシャーをかけて……取り返しのつかない事をしてしまってごめんなさい!!!」
私は社長、事務員の山村、今日手伝ってくれた雨彦、315プロダクションの他のアイドル達、そして何より悠介と享介のこれまでの努力を台無しにしてしまった。
「監督は悪くないよ……オレの健康管理が……」と悠介が私に謝ろうとした時、突然享介が「悠介のバカ!ノロマ!怪我して足引っ張る愚図!」と悠介を批難する発言をする。
普段はそんなことを言わない彼なのに……と驚いていると悠介は享介に「享介の間抜け!アホ!お前の邪魔のせいでこっちは怪我したんだよ!」と言い返す。
私のミスのせいで悠介と享介が喧嘩を始めてしまった……。私は慌てて2人の仲裁に入る。
でも、2人は一向に収まる気配がなく、とうとう2人が取っ組み合いの喧嘩をしようとしたその時、誰かが2人にゲンコツを食らわせた。
それは、同じくライブに出ていたS.E.Mのメンバーだった。
舞田
類は「ミスターゆうすけ、ミスターきょうすけ、何してるんだ!」と悠介と享介に怒った後、「……俺はなんて事してしまったんだ、ごめんなさい、Sorry、ミスターゆうすけ、ミスターきょうすけ」と言う。
私は普段陽気で滅多に怒らず、元教師で暴力を人一倍嫌悪していたであろう、類のその様子に凄く驚いた。
他のアイドルも驚いており、特にずっと一緒にいたS.E.Mのメンバーの二人は、この世の終わりを目撃したかのように驚いていた。類に叱られた悠介と享介は、私に頭を下げて、私に謝罪した。
私も、自分のミスでこんな事態を招いてしまったこと、そして悠介と享介がここまで追い詰められていたことに気が付けなかった自分を責めた。
そして、私は悠介と享
介が類に「自分たちも悪かった、るいセンセーが怒るほどの喧嘩をしてごめんなさい」と謝っているのを見て一件落着と思っていたが……。

ライブの帰り、私は悠介と享介を車で送っていた。
彼等を後ろの席に座らせていて、空いていた助手席には辞表と、私のミスの償いの為に賠償金を出す為の、僅かな金額である銀行通帳を置いていた。
「私のプロデュースが悪かっただけなのに……私が辞めるか賠償金かはたまた両方すれば悠介と享介を辞めさせないでくれるかな」と運転しながら呟く。
「ねえ、監督……アイドルの最後の思い出としてそこの公園寄っていい?」と悠介がとつぜん言い出す。
私は「アイドルの最後になんてさせないけど、公園には行こっか」と行って海の見える綺麗な公園に悠介と享介と共に向かった。
海が見える公園に着くと、悠介と享介がベンチに座って、夕日が沈むのを眺めている。
私も悠介と享介の隣に座り、2人と話を始めた。
悠介と享介は、私に今までのことを全て打ち明けてくれた。
実は
2人とも私に好意を寄せていたのだという……。

「でも、オレ達が全てぶっ壊して、監督に迷惑かけて、他のアイドル達も困らせて……」
「もう終わりだよ……」
悠介と享介は泣き始めた。……私のせいで、彼らに心の傷を大きく残してしまった。
「あなた達が責任をとる必要なんてない、私が責任を取る。……それがプロデューサーとして、そして大人としての務めだから」
私は自分と同じ位の背丈の2人の頭を撫でたすると、2人は大声で泣いた 私は、そんな2人を抱きしめながら、事務所の社長に電話した 社長は、泣いているのだろう、嗚咽混じりの声で、 私は、社長に謝罪の言葉を言った 社長は、 お前のせいじゃない、と言ってくれた 私はそれでも「……私は辞める覚悟も賠償金を払う覚悟も訴訟される覚悟もあります、ですから悠介と享介を解散させ、この事務所から解雇するのだけは……」という。
しかし、社長は「私だってパッション溢れる彼等の成長をもっともっと見ていたい……しかし契約先の意向で……」と泣きながら言い出す。

私は社長相手にこれ以上言っても無駄だと思い、電話を切る。
「ねえ監督、夕日が沈んでくの綺麗だね」と享介が言う。
その言葉で夕日を見ると、とても美しい橙色であった。
「……ほんと、綺麗だよね、まるで悠介と享介は明るく照らしてくれる太陽だよ、そして私はそれを邪魔する雲」と言う。
「ふーん。じゃあオレたちは沈んでいく夕日だね。」と悠介が言った後に、「そしてもう二度と陽は昇らない」と享介が言う。
息ぴったりだな……本当はこんな事言わせる為にアイドルやらせたんじゃないのに……と私は思ってしまう。
悠介と享介に、私の思いを全部ぶちまけた。
2人に、アイドルをやめて欲しくないこと、悠介と享介と一緒にいたいこと、悠介と享介の笑顔を守りたいことを。
悠介と享介は、最初は驚いていたが、次第に涙を流し始める

泣くタイミングまで同じであった。
「監督、ごめんなさい、今までありがとう」と2人が言った後、
親が来ているからと言って去っていく。 その去り際に言い争いをしているのが見えてしまった。
私は、悠介と享介の両親に挨拶をする。
悠介と享介の両親は、悠介と享介の様子がおかしい事に気が付いていて、私に申し訳なさそうに謝った。
私は2人を追いかける。
悠介と享介は、
「悠介がトロトロしてるからサッカーもアイドルも上手く行かないんだよ!」「享介があーだこーだ余計な事いう方が邪魔になってるんだよ!」と言い争っていた。何とか親御さんのもとに連れていき、親御さんが仲直りさせていたものの、彼らの心の中には蟠りがずっと残るだろう。そしてそれを作ったのは私だ。

彼らは帰っていく。親御さんの前であるからか、仲良くしていたが、この先ずっと2人きりの時は言い争いをするだろう。
私がもっとしっかりしていれば……。
事務所に戻り、社長室に呼び出された。
社長室に入ると、社長が泣いていた。
私のせいで、事務所の大切なアイドルを1組失ってしまった。
社長の涙を見て、私も泣けてくる。
社長は、私に何度も謝ってくれた

だが、私は辞表を出した。2人の少年の大切な物……アイドルとしての生活、そして何よりお互いが長年いる事で得た双子の絆を奪ってしまった償いとしてケジメをつけなくてはならないから。
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