沈黙、密室、ロッカーにて。


一体俺は、この状況を、どこまで耐えればいいものか。
誰か教えてはくれないかと切に思う。


今現在……多少仕方がないとはいえ、自分は健常とは言い難い体勢で担当バのコパノリッキーと
二人揃ってロッカーに閉じ込められてしまった。

「トレーナー……ごめんね……」
「…………気にするなよ」
気まずそうに謝る彼女にそう返しながら、どうにか出れないかを頭の中で模索する。
これで自分一人だったならどうにでもなったものだが、この狭い中で二人でいる以上暴力で解決とはいかない。
正確には、やろうと思えば出来ないこともないが、リッキーに怪我などはさせたくないので置いておく。

「トレーナー……本当に、大丈夫……?」
「…………平気だよ」
本当は、体勢のせいでだいぶしんどいがそれを気力で無理やり覆い隠す。
階段から足を踏み外した彼女を庇ったのはいいが、まさかこんなことになると誰が思うか。

─────俺から見るに、彼女と風水は深いところで繋がっている。
今はまだその時ではないが、いつかはその硬い結び目を少しは緩めたいとは思う。

ただどうも、深いところで繋がっているからこそなのか
風水と切り離された彼女は普段の自信もどこへやら、途端に頼りないくなってしまう。

そのタイミングのせいだったのか、結び目の急に途切れた彼女は階段から滑って落下。
偶然にも俺が近くに居合わせたからそこにインターセプトしたはいいが
勢いを殺し切れずにそのまま近くのロッカーにダイレクト。
そしてロッカーはどういうわけか閉じてしまった挙句に内側から開けられない状況に。

……いや、どんなピタゴラスイッチだこれ。

「……大丈夫だから、気にしすぎないで」
「うん……」
彼女は小さくそう呟くと、胸板に頭を預けてくる。
出られるまで、しばらくこれか。

できれば痛みが響かないうちに誰か助けてくれないかとただただそう思う……
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