目隠し+拘束 エピローグ


身も蓋もなく言ってしまうと、とてもよかった。

「…すまない、やり過ぎた」
「いいよ、気持ちよかったし。日車もあんだけ乗り気だったってことは良かったってことだろ?」
「……それは、そうだが…」
「じゃあいいじゃん」

行為が終わり冷静になったことで虎杖にしでかした所業の罪悪感が芽生え始めた日車に対し、虎杖は先程の乱れようは何処へ行ったのか、すっかり普段の様子を取り戻していた。

「うわ、ネクタイぐちゃぐちゃになってる。こいつもこんなことに使われるとは思ってなかっただろうな……」

虎杖はネクタイにくっきりと残った折り目や皺を手でなぞっている。その後、何か言いたいことがあるのかあちらこちらへ視線を泳がせながら落ち着かない様子を見せていたが、しばらくして覚悟を決めたように口を開いた。

「今日は緩めだったけど…今度はもっとがっつり縛ってもいいよ。……俺が、本気で抵抗できないくらい…」

縄とか手錠とか…?と彼の普段纏う雰囲気からは想像もつかない単語の数々を聞きながら、日車は自身と彼がだんだんと健全な関係を踏み外しつつあることを悟り始めていた。元より恋人でもないのにセックスをしている関係に健全さなんてあってたまるか?それはそう。

だが頭に浮かんだ葛藤や懸念はすぐに本気で抵抗できないとなると彼はどんな姿を見せてくれるのだろうか、どんな風に乱れてくれるのだろうか、と言った不純な興味に塗りつぶされていく。
虎杖からの再びの提案を断る選択肢は今の日車には無かった。選択肢を持っていながら敢えて選ばなかった、と言う方が正しいだろうか。

「……あとさ。意地悪なの、またやってほしい…」

新たな扉を開いてしまったのはいったいどちらなのか、それとも。

~完~
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