宿脹


狩人期の宿脹
悠脹はまだデキてない
疲労が蓄積しすぎると宿儺に取って代わられてしまうというご都合設定
                                       
                                            
                                          
「…ぅ……」
微かな呻き声で目が覚めた。
疲労が蓄積して倒れてしまった悠仁を目に付いた宿泊施設に運び、寝顔を見守っているうちに寝てしまったようだった。
悠仁の方を見ると、寝ているというのに眉間には皺が刻まれ、苦しそうな顔をしていた。
悠仁が寝ている寝台に腰掛け、頭を撫でてやる。
「ん…」
すわ、起こしてしまったかと危ぶんだが、甘えるように手に擦り付いてきただけだった。
こんな幼い子が、如何してこれほどの業を背負わなければならないのか。
そんなもの、背負う必要など無いのだ、と言った処で聞き入れては貰えない。
ただ、己の無力を噛み締めながら、これ以上この子が苛まれる事が無いようにと祈り傍に居る事しか出来ない。ただ、只管に。
眉間の皺を伸ばすように親指でごく優しく撫でていると、不意にその手を掴まれた。
「すまない、起こしてしまったか」
声をかけれども応えはない。
「……悠仁?」
名を呼んだ瞬間、総毛立つような恐ろしい気配を感じた。
「その名で呼ぶな」
応えたのは、弟とは似ても似つかぬ低い声。
「……宿…儺…?何故……?」
適応は終わっている筈では…?
ゆるりと身体を起こした宿儺にそのまま腕を引かれ、腕の中に囚われる。
「ケヒッ、何故だろうなぁ?」
至極愉しそうに眼と唇を歪ませるその顔には呪印が刻まれ、眼の下にはもう一対の副眼が開かれこちらを見ていた。
掴まれた手を振り解こうとするが、逆に痛みを覚える程強く掴まれる。
「ぐっ…」
「暴れるな。どれ、味見といこうか」
「んぅ!?」
顎を掴まれ唇重ねられる。気色の悪い事を…!
がり、と唇を噛んでやってから、はっとする。
「くくっ、いいのか?大切な弟の身体に傷を付けて」
血の滲む唇を舐め、宿儺は身を揺らして嗤う。
そうだ、あれは悠仁の身体だ。
「ぁ…悠仁、すまな…んんっ」
また乱暴に唇を合わせられる。今度は、何度も、何度も、深く。
「ふっ、んっ、うぅ、ふあっ、んん…っ」
息が苦しくて宿儺の胸を叩く。悠仁の身体に傷を付けないように。
「鼻で息をしろ。…もしや俺以外でも初めてなのか?」
「はぁ…っ、んっ……は、こんな…もの、はぁっ、したこと、ない…」
息を整えながらそう返すと、また嗤う気配がした。
「そうかそうか、ならじっくり可愛がってやらんとな」
「……悠仁に身体を返せ」
「断る。それに、お前に何が出来る?俺を倒すか?出来んだろうな。仮に出来たとして、残るのは何かわかるか?傷付いた小僧の身体だ。あの時みたいにな」
「……っ!!」
思い出したくもない、忌まわしい記憶。
この手で、自ら弟を殺してしまうところだった。
「大切な弟を“また”傷付けたくはないだろう?ならば、お前に出来る事はなんだ?」
「……」
「代わりに言ってやろう。ただ、抗わず、俺に抱かれろ」
「……下衆が」
屈辱に唇を噛み締める。
「何とでも言うがいい。ああ、声は抑えなくていいぞ。昂ったお前の声は、きっと興が乗る」
きつく噛み締めた唇から血が滴る。
それを見止めると、
「丁度いい」
と言って唇毎血をを吸ってきた。
「んんっ、ふ、んぅ、んっ」
「ヒヒッ、甘くて美味いな…毒の味か…?」
「ん、はっ、しらな…い」
自分の血の味なんて態々考える事など無い。他人の血を飲む事も、だ。
「この良さが解らんとは…宝の持ち腐れだな。ついでに言えばお前の唾液も甘いぞ。この分だと他も……」
宿儺はなにやら思案している。が、どうせ俺にとっては碌なことではないだろう。
「おい、脱げ」
「は?」
「脱げ、と言っている」
「な、何を……」
「ああ、それとも脱がして欲しいのか?生憎服を脱がすのは苦手でな。破いてしまうが、それもまた一興、か」
そう言って服を引っ張る手を掴み、制止する。
「やめろ。わかった。ぬ…脱げばいいんだろう」
「ケヒヒッ、それでいい」
寝台から降り、服に手をかける。
宿儺は寝そべって頬杖を突き、ただ黙ってこちらを見ている。
屈辱と羞恥で顔に血が集まっていく。
それを見て、宿儺の顔が喜色に歪む。
荒く震える呼吸と、衣擦れの音だけが聞こえる。
紅く光る四つの瞳に見られながら、襟巻、胴巻、上衣、下衣。震える手で一つ一つ脱ぎ、もうひとつの寝台に置いていく。
最後に下穿きも脱いで、宿儺を睨み付ける。
「ほう…、これはこれは」
「これでっ……満足か…っ」
「莫迦を言え。馳走を目の前にして、それを一口も喰わずして下げる事を許されると思うか?…来い」
「……」
「何度も言わせるな。来い。小僧に身体を返して欲しいのだろう?」
「……チッ。本当に言う通りにすれば悠仁に身体を返すんだろうな?」
「ああ、そうとも。なんなら縛りにしてやってもいいぞ?“俺が『満足したら』すぐにでも小僧に身体を返す”とな」
宿儺がにやりと厭らしい笑みを浮かべる。
悠仁の顔でそんな表情をするなど、実に腹立たしい。
だが、他に選択肢は、恐らく無い。
「……“いいだろう”。乗ってやる」
「ヒヒッ、その意気だ」
宿儺が寝そべる寝台に膝を乗せる。ぎしり、と軋む音がする。
さて、寝台に上がったはいいが、ここからどうすればいいのか。
俺の困惑を悟ったのか、仰向けになった宿儺が手招きをする。
「ここに座れ」
そう示されたのは、宿儺の股座の上だった。
勝手が何一つ分からない身では、躊躇いはすれども異を唱える事等出来ない。
他に道も無いので、宿儺の腰を跨いでその上に着座する。
とは言っても、体重をかけることはしないが。
「……このあと、どう…すればいい」
「ケヒッ、お前がする事等、快楽を享受する事くらいだ。俺が全てやってやろう。ほら、遠慮無く座れ」
そう言って腰を掴んで股座同士を密着させる。
「……っぁ!?」
ごり、と布越しに硬くなった逸物が脚の間、胴の底に押し付けられ、未知の感覚に思わず声が漏れる。
「お?なんだ?コレが良いのか?」
「ゎ…からっんっ……あっ、おかしな、かん…っかく、だ…」
俺の反応に気を良くしたのか、ぐりぐりと何度も擦り付けて刺激してくる。
「ぅあ…っ、やめ…ろ、ん、なっんか、へんだ」
「変、とは?」
「わか…らん…っ、腰?腹?が、ざわざわ、する…、っく…」
「まぁ、知らんだろうな」
わかっているくせに訊いてくるのに、腹が立つ。
「ならば、こちらも弄ってやろう。……そうだ。ククッ、特別だぞ?」
宿儺の手が俺の逸物を握る。その瞬間、
「あぁっ!な、に…!?」
先端がべろりと濡れた熱い何かに擦り上げられた。
そのまま、何度も何度も擦られ、次第にぬちゃぬちゃと濡れた音が聞こえてくる。
「あっ、やだっ、んぁっ、やめ…、なんっ、んんっ」
「やめて欲しい声には聞こえんなぁ」
ああ、嗤っている。裸で男に跨り、前を握られているこの無様を、正しく痴態を見て至極愉快そうに嗤っている。
勝手に反れていく背骨を叱咤して下を見遣れば、形を変えた己の逸物と、宿儺の掌に現れた口が見て取れた。
その口から、長い舌が逸物を這っている。
見るんじゃなかった。
「ひ……っ、な、なん…、あっ、ぅ、くぁっ、ん…はぁっ」
「ははっ善い声だなぁ、もっと聞かせろ」
宿儺の手の、舌の動きが激しさを増す。
同時に、ぢゅぶ、ぐちゅ、ずぢゅと耳を塞ぎたくなるような脳を犯す水音も激しくなる。
背筋が、腰がぞくぞくと粟立ち、無意識に腰が揺れる。
そしてまた宿儺の逸物が底を擦り上げる。
腹の奥に何かが渦巻き、暴れている。
ああ、だめだ、なにか、なにかが、きてしまう。
「あぁっ!いやっ…だ、うぁっ!あっ、やだっ!くる、なにっ、あ、あっ!いやっ、だめ、くる…っ!ひぁぁ……っ!!」
腰が跳ね上がる感覚と、逸物がびくびくと震える感覚、その先端から何かが放出される感覚。
何もかも初めての感覚に、頭の芯が痺れている。
なにが、なにがおきた?
「……ぁ……」
「おっと」
痙攣から解放され、ぐらりと傾いだ身体を支えられる。
満面の笑みで顔を覗き込まれる。
「ヒヒ、好い顔になったな。だが、これで終わりではないぞ?まだまだこれからだ」
「……ひ…っ」
まだ、これ以上があるというのか。
背筋に走ったのは、悪寒が期待か、わからないまま宿儺の口付けを受け入れた。

一糸纏わぬ姿で己に跨り、未知の感覚に肢体を引き攣らせる男を見遣る。
白皙の顏を仄紅く染め、己と同じように鼻梁を横切る呪印はどろりと崩れ、血が滴っている。
其れを舌で掬い、潤んだ視線がこちらを向いたのを確認して口に収め、味わうように転がし、飲み下す。
「うむ、やはり甘いな。ああ、お前の腎水も甘かったぞ?」
「……っ、やめろ……っ」
ぎ、と音がしそうな程するどく睨まれようと、快楽に赤らんだ頬と潤んだ瞳ではただ煽っているようにしか見えない。
「ケヒッ、そう煽るな。もっと善くしてやる」
その言葉でびくりと固くなった肢体を見下ろす。
人ならざる者であると証明するかのような白く滑らかな肌には、和毛の一本も在らず、また下生えも無かった。
隠し立てするものが一切無いその陽物は、肌と同じように白く、性の匂いを全く感じないものであった。
だが一度掻き立ててやれば、大きさ以外は頑是無い赤子のような陽物も花咲くように薄紅に色付く。
花芯とも言うべきそれから放たれたものは、正に蜜であった。
とろりと甘く舌を悦ばせるようなそれを惜しいと思いつつ、指に絡ませ蕾をつつく。
「ひ、や…っ!え、あ…なにを……?」
「言ったろう、もっと善くしてやる、と。力を抜け。入らん」
「…ぃゃ…だ…、そ…そん…な、ところ……なにも、ない…っ」
「お前が知らんだけだ。いいから力を抜いて寄りかかれ。これでは何時まで経っても身体を返せんぞ?」
「…っくぅ……っ」
耳や首まで紅く染め、酷く悔しいといった様子で顔を歪ませて己に身を預け、肩に額を乗せる様子に、えも言われぬ愉悦が肚を満たす。
力が抜け僅かばかり綻んだ蕾につぷりと指を沈ませ、ぬちゅぬちゅと蜜を塗り込めていく。
「ぅ…っ、ぐっ、はぁ、んぅ…、うぅっ、あ、はぁっ」
「ほぉら、弟の為だぞ?頑張れ、頑張れ」
「う……っ、悠…仁…、あっ、おに…ちゃ……が…んっばる、から…っな…」
物を知らぬから仕方が無いとは言え、そう何度も小僧の名を呼ぶのは頂けない。
教えてやらねば。
閨にて他の男の名を呼ぶは無粋であると。それをする事の意味を。
「はぁ……。その名を呼ぶなと言っだろう。閨にて他者の名を呼ぶのは無粋だぞ?」
「あ゙っ!ぐぅ…っ、はぁ、ひ…ぃやっ、ぁ゙…がっ、やめ…ろ…っ、あ゙ぁっ!」
まだ指一本ですらきつい程慣れていない蕾に無理矢理もう一本指を捩じ込み、ぐりゅぐりゅと無遠慮に動かす。
「わかったか?閨で他の男の名を呼ぶは、手酷くされても仕方が無いということだぞ?今お前を抱いているのは誰だ?ほら、言ってみろ」
「ゔ…っ、はぁ、あ゙…っ、す…くな…、宿儺…っだ…」
「そうだ。それでいい。いいか?終わるまで俺以外の者の名を呼ぶことを禁ずる。破れば、どうなるかはわかったな?」
「わかっ…た、わ…かった、から…っ、はやく、ぬ、ぬい…て、くれ…っ」
苦痛の涙をほろほろと零しながら懇願してくる様に、嗜虐心からぞくぞくと背筋が悸く。
「駄目だ。このまま慣らしてやるから我慢しろ。出来ぬとは言うまいな?なぁ、“お兄ちゃん”?」
「は…ぁ゙っ、ゔぅ…、ふ…ぅ、ぐっ、あ゙…ぁ゙あ゙っ」
蕾の内壁を指を曲げて刺激しようにも、それが出来ないほどにギチギチと指を締め付けてくる。これではこちらの指すら痛みを覚える。
「何度も言わせるな、力を抜け。それとも痛いのが好みか?」
「ひっ、いや…だ……」
「なら解っているだろう。さっさとしろ」
「はぁ、う…くっ、あ、はぁっ、んん…っ、はぁ…っ、あっ、あぁっ、ぅあ…っ」
荒く息を吐きながら何とか力を抜いて締め付けが緩んだ隙に深く中に指を滑り込ませ、腹側のしこりをぐりぐりと押しつつ、陽物への慰撫も再開してやると、面白いように反応が変わる。
覚えたばかりの快を必死で拾う様は何ともいじらしいが、その表情はとろりと蕩けて、まるで枕席にて男を誘う遊君のような色香を放っている。
開かれてきた蕾に潜らせる指を増やしていき、ぐちゅぐちゅと態と聞かせるように音を立てて媚肉を擦ってやれば、蕩けた顔が羞恥で更に朱に染まる。
「どうだ?善くなってきただろう?顔を見れば解るぞ?」
「あっ、んっ、だめ…っ、また、くるっ、んんっ、ち…ちがうの、くるぅ…っ」
己で御せぬ快楽から逃げるように目の前の腕にしがみつき、童のようにかぶりを振る様は、その行動の稚さとは相反して扇情的だ。
「くくっ、ほら、もう果てが近いんだろう?イっても良いぞ?」
「あぁ…っ、や…だぁ…、んあっ、いや…だっ、あぁっ、も、だめ…っ、うぁぁぁあ────っ!!」
しがみついた身体が反り返り、がくがくと腰を揺らしながら花芯から蜜を放つ。
再び迎えた法悦に、放心状態になって撓垂れ掛かる肢体は何度もびくりびくりと痙攣しては小さく啼き、首筋に吐息が当たる。
その熱さにじりじりと情慾を炙られ、こちらの陽物も張り詰めて痛みを訴えている。
下衣の前を寛げれば、勝手に跳ね上がり飛び出してくる屹立に苦笑が零れた。
腹にかかった蜜を己の屹立に塗りたくり、蕾に当てて、耳元で囁く。
「さて、まだまだこれからだと言っているだろう?頑張れ、頑張れ」
「ひ…っ…ムリだ……そんなの、入らない……っ」
ちゅく、という可愛らしい音に似つかわしくない質量に蕾を押し広げられて、震える腕を首に回ししがみついてくる。
自重でそれに貫かれるのを防ぐためだろうが、それを許すつもりは当然毛頭無い。
「おい、それでいいと思っているのか?元は小僧の身体だぞ?弟を受け入れなくていいのか?“お兄ちゃん”?」
「ぁ…あぁ……っ、ゅ…、んんっ、く…っ、まだ…まって、くれ」
耳許で“お兄ちゃん”と囁けば、びくりと身を震わせるその様に愉悦を覚える。
だが、こちらとて我慢してやっているのだ。
「早くしろ。折角慣らしたのが無駄になるだろうが」
「あ゙っ!ぅ…ぐぅ……っ!まっ…、あぁっ、あ゙…っ、やめ……、ふ…ぅうっ」
細く引き締まった柳腰を掴み、ぐいと下に押し付けながら突き上げ、まだきつい内壁をごりごりと抉り開いていく。
歯を食い縛って耐えるその顔からは血とも涙とも汗とも唾液とも判別できなくなった体液がぼたぼたと零れ落ち、甘く唇を濡らし舌を悦ばせる。
「まさに甘露……だな。そら、もっと寄越すが良い」
「やっ、ああっ、ひ…っ、ゔぁあっ、が……っ、ぁ、はぁっ、んっ、ひぁっ」
隘路を無理矢理押し開いて進んでは戻り、その度に溢れる滴を舐め啜る。
三大欲求の内の二つを満たされる感覚に益々昂揚する。
嗚呼、いい玩具を見つけたものだ。
恐怖と怒りと苦痛に濡れた瞳の奥に、じわりと滲む期待と悦びと快楽を見留め、興喜に歪む口の端が更に吊り上がった。
お知らせ
実務でも趣味でも役に立つ多機能Webツールサイト【無限ツールズ】で、日常をちょっと便利にしちゃいましょう!
無限ツールズ

 
writening