【閲覧注意】 アレクセイ・コノエ×アーサー・トライン


この世界には、厄介なことに男女の性別意外にも…第二の性別が存在した。
上位種アルファ、下位種オメガ、どちらにも属せない普遍のベータ。アルファはコーディネイターと同様の遺伝子的含め、才能でも優秀な個体とされている。実業家をはじめ、議員や研究者が、このアルファが多い。
ベータと言うのは、特に特別な才能も遺伝子もなく、極めて平均的、平凡な性別とされる。
最後にオメガ、これはいわば雌と言う生物敵個体とされ、男女問わず子を宿す子宮が存在する。また、遺伝子的にも不安定が多く、コーディネイターはこれを不安定から直させる技術の延長線だの技術だった。
そうした特性から、人種問題をはじめ、この第二の性別の問題も課題となっていた。

アーサーはオメガ性だ。このオメガ性には、発情期と言う一定の周期で起こる生理現象が存在する。文字通り、雄と番うため、子を宿すための雌の本能だ。それ故に、男女の性別は関係なく、平等に起こる。
アーサーもまた、例外はない。
「ふー、ふー…アレクセイさん、…ぁ、ん…アレクセイさん」
「…」
呼吸を乱し、まるで情婦と言いたげな淫靡な高ぶりを見せつけてくる。その姿のまま、ずりずりと太ももの上に跨り、こするように小刻みに腰を動かす。耳元で吐息交じりの囁き声が、脳をぐちゃぐちゃと掻きまわし、気を持っていかれそうになるほど。
首元を開けているため、アーサーは顔をうずめ舌先でチロチロと首筋や耳を舐めて、…これは誘っているのではないか?くすぐったさと、囁き声による攻撃と追撃で、もう仕事なんぞどうでもいいとばかりだ。
普段情事でしか見られないくらいに情熱的に私を求める姿は…、心が躍る。
少し体勢を整わせるたびに、短い甘い声が耳元で囁かれる。こんな劇薬を飲まされたと錯覚するほど、今すぐにでも、抱きつぶしたい。それほど…理性が擦り切れていた。使い物にならず、獣になるにはそう時間は掛かるまい。
しかし、これは一種の生理現象。彼が落ち着くまでは、この状態にままという事。
手を出してしまえば、この発情は抑えが効かなくなり、日常生活に支障をきたしてしまう。特に、オメガ性のコーディネイターは、遺伝子の暴走が多いと聞く。

「アリョーシャ…抱いて」

馬鹿っ!
そんな声でねだるんじゃない、私だって大分目を当てられないほど滾っているのだぞ。
辛いのは解るが、薬を服用させないと…。ここが艦長室で助かった、副長室だったら下手すれば彼の近しい人物が訪れる可能性があった。特にエイブス主任は、彼の腐れ縁の関係で、それがミレニアムでも続いている。
そういった関係ではないとはいえ、私以外の男にこの姿を見せたくはない。私はベータであるため、彼の辛さは共感できない。せめて、彼が少しでも…あ、こらっ耳を甘噛みするんじゃない。
どこで、そんなことを覚えてくる。
「アーサー、いい子だから落ち着きなさい」
「は…は…ごめんなさ…や、ん…」
ふと、アーサーと目が合った。顔を真っ赤に染め、潤んだ目でこちらを見つめる。わずかに出た舌が、唇を舐めとり…欲情し誘っている。こっちの抵抗なんぞかまうことなく手を出させようと、必死になって媚びている。
わざとだ。
発情期であるのは本当だろう、だが…。すると、アーサーは両手を私の腕を軽く掴み、自分の腰部分から太ももへと導き、撫でさせるように動かす。
ここまでくると明け透けな誘い方である。
しかし、未だオメガ性のことを理解できない私から見れば、何が正解なのかが解らない。まずい、まずい。
もう正直限界に近い、かれこれ三十分以上はこの体勢。生殺しに等しい。
すでにバレているとはいえ、私はどうにか平常に保とうと、落ち着いた声で問いかける。震えていないか?大丈夫か、そんな不安ばかりがよぎる。
「薬は、飲んだか?」
「まだ、です。…薬、今手元には、ないんです」
…詰んでないか?
現状、彼の発情期を止める手段は残っていない。今この場で抱けば…一時は収まるが、クセがついてしまう。
…こんな時に、情事を思い出すな。うなじを思いっきり噛みつけば、酷く体を震わせ歓喜に酔い、悦楽の笑みで絶頂を迎えていたな。終わりまでずっと甘ったるい声で、こっちを誘っては情婦さながら、乱れに乱れていた。
アレは、……本当に下半身に悪い。それはそうと何で、私は自分を自分で追い詰めているんだ。
自分が卑しいにもほどがある。
うんうん、とうなっていれば…しびれを切らしたかのように、アーサーの囁き声が聞こえる。

「…子種、欲しいなぁ」

太ももに添えられた手に、力が入る。ガッチリと掴んだようで、アーサーが蕩けた声を上げ、身をよじった。
「…雌犬が」
思いのほか、引くくらいにどすの利いた声が出た。
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