マッサージ編 retry 後編


付け根の所のコリがキレイに取れたんですよ(とある主婦の声)
関節部分が軋んでいたのが嘘のようになくなったんですよ(とあるオートマトンの声)
仕事の疲れが取れてまだまだ頑張れるって気分にさせてもらった(とある営業者の声)
スゲェ気持ちよかった。それにちょっとタイプかも…(とある不良生徒の声)

「むむ…、むむむ!」
待合室で待機しながら他の客を見る。噂がいつの間にか広まっていたのか他学園の生徒がちらほら見られる
(黒服さんは何で急にマッサージ屋さんを?)
ユメは頭を悩ませる。何故ならあの時
『えっ?マッサージして欲しいと言われましても私は今まで縁のなかったもので正直上手く出来るとは思えませんが…?』
「…さん」
そんな事言ってた黒服さんが人気になってるなんて
「…ロコさん」
もしかしてマッサージに目覚めちゃったとか?
「シロコさん!」
「…えっ?あっ!はい!」
しまった!念の為偽名で予約したから呼ばれてるのに気づいてなかった

「それでは置いてある中から自分のサイズに合うものを着てください」
そう言われて着替える。よりマッサージをしやすくする為か薄い…
「あの?マッサージする人はいつもあの人ですか?」
「はい。腕がいいのはあの方ですので。ご希望があれば別の方に変更する事は可能です。別の方に変更しますか?」
「あっ、いえ、大丈夫です…」
『その…疲労回復の為とはいえあまり女性の方にみだりに触るのはどうかと…』
そう言ってたあの人が私以外を触ってる…。怒りとか軽蔑はない。ただその事実がなんか凄く嫌で…

「お待たせしました。本日担当の白服——ってユメさん!?何故ここに!?」
『シロコ』という名前で予約されてた方のもとに向かったらそこにはユメさんがいた。しかもなんか怒って、いや、泣きそうで…?
「他の女性の方を触れて良かったですね」
グッ!?急に変質者のように扱われてしまった。何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?
「簡単に痛がってた私じゃ全然駄目ですよね」
ちょっと、何の話を——
「しつこいし、わがままだし」
だから待っ——
「黒服さんは私なんかよりももっといい人が」
「待ってください!!」
ユメさんがびっくりした顔をする。かくいう私もあんな声が出せたのかとびっくりしました
「仕方ありません。正直にお話しします」

「私にちゃんとしたマッサージをしたかったから…ですか?」
私の言葉に黒服さんは頷く
「ええ。マッサージ練習用のマネキンを取り寄せて理論を構築したのはいいですが、やはり実際の声があった方がいいと思いまして。私の理論も好評してくれたこの店に教える代わりに少しの間実際に施術をやらせてもらっていたのです」
「そ、そうだったんだ…。私、勝手に勘違いしちゃってたんですね。でも私のせいで黒服さんに余計な負担を…」
「そんな事ありません。学んで分かりましたがあの時のはあまりよくなかったんです。あなたが正直な反応をしてくれたから私は学べた。勘違いしないままで済んだのです」
その後、お互いに言いたい事を言い切ったのかしばらく沈黙が続く。ハッとしたように黒服はユメの手をとり
「せっかくなので、試されてみませんか?」

(わ、わ〜/// 今考えたら私凄く大胆な事してるよ〜)
うつ伏せになったユメは我に返ると急に恥ずかしさが込み上げてきた。身体が緊張する。そこに黒服の手が触れて
(!?!? な、何これ…す、凄く気持ちいいよ〜)
顔の筋肉が緩む。いや、黒服が触れるたびに全身の筋肉が弛緩していく。緩んだ筋肉から指を突っ込みツボへと届かせる
(だ、ダメ。これダメ。私、私…眠くなっちゃうよ〜!)

スー、スー、寝息が聞こえてきた
やはり相当疲れが溜まっていたのだろう。すぐに寝てしまった彼女をしり目に丹念にマッサージをしていく黒服。すると彼女が何か喋っているようだ。少しだけ耳を傾ける
「えへへ〜、気持ちいいよ〜」
(そうですか。それは良かっ——)
「黒服さん…私…以外に……しないでね…」
「———困りましたね。いえ、約束しますよ」

テンテンテレテン♪ ゆめは体力を全て回復した


後日
「あの…ユメ先輩。マッサージ店から出てきましたけど…どうだったんですか?」
「えっ?えーと…エヘヘ。凄く…気持ちよかったよ?」カオマッカ
「——そうですか」
その日、一つのヘルメット団のアジトが潰れた
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