ダンスレッスンキララクSS


種自由後謎時空 多分隠遁していない
某掲示板、キララクいちゃいちゃ総合スレットより
一生懸命ダンスの練習する准将とウキウキしてる総裁
ラクスと踊りたいがためにダンスを練習してるキラ を描いてみました。

謎のマニアックないちゃつきを繰り広げる2人になっちまったぜ。
※ゆるーいラッキースケベ描写あり
!キャラ崩壊、解釈違い、誤字脱字要注意!


作中のダンス描写は、IQ5のリズム感0運痴の作者がボー○ルームへようこそ片手にめちゃくちゃテケトーに書いております。生温かい視線で読んでね。

それでもよろしければ以下本編です。









ラクス先生の熱血ダンス塾





きっかけは僕のあの不用意な一言だった、らしい。


キラがなんとなく、気紛れにつけたTVから、競技ダンスを特集した番組[金ス○社交ダンス部みたいなやつ]が放映されていた。

『〜3年ぶりの現役復活!満を持して表舞台へ、元世界王者ーーーーーペア。
今最も勢いのある若手のホープ、弾けるフレッシュ!現在世界ランキング4位ーーーーーーーペア。
果たして勝利の栄光をその手に掴むのは、どのカップルだ!?泣いても、笑っても、これが今シーズン最後の大舞台!激戦必須の激しいダンスバトルが今宵、決着の瞬間を迎える。〜』

流れる映像からは、髪型をきっちり整え、燕尾服を纏った男性達と、丈の長い色とりどりのドレスを身に纏った女性達が1組となり、競技ダンスの大会に望んでいる姿が放映されていた。
出場している何組かのカップルに密着取材を行っているようで、普段の練習の様子から、大会当日の様子までドキュメンタリ番組並みに映像が纏められている。
競技に臨んでいる其々のカップルは体格に違いはあれど、どの組の男性も女性も、美しい姿勢で、精錬された動きで、凡そ同じ人間とは思えないほどキレのある踊りを披露していた。流石は、世界大会に出場している競技者達である。

「……(僕もラクスと)あんな風に踊ってみたいな………。」

ソファに寄りかかり、完全にリラックスした状態で、TVを鑑賞していたキラは、無意識の内にぼそりと呟いていた。

広いダンスホールで優雅にドレスの裾を翻してパートナーの男性と、ぴたりと息のあったダンスを披露している女性たちの姿を眺めていると、あまり、キラにとって思い出したくもない記憶ではあるが、外交の一環として、ピンクのチューリップの様なドレスを身に纏い、オルフェ・ラム・タオと滑らかに、咲き誇る大輪の花のように踊っていたラクスの姿がぼんやりと重なった。

(…今更だけど、ラクスってすごいお嬢様なんだよなあ、)
ラクスは普段から、所作という所作が洗練されている。あまり、儀礼的なマナーに詳しくないキラでさえ分かるほどである。公の場で組織を代表する立場での挨拶や、社交的な立ち振舞いなどは言うまでもないが、普段の生活から、言葉遣いや、食事を摂る所作、ちょっとした物をとる動作1つ取っても、本人の気質を表しているのか、ゆったりおっとりと、優雅で気品のある動きをする。

(育ってきた環境が僕とラクスじゃ全く違うから、こればっかりは仕方ないことなんだけど………。なんか、ちょっとだけ、疎外感?を感じるかもしれない…………。)

キラはどこかもやついた気持ちを抱えたまま、ぼんやりと流れる映像に見入っていた。
相変わらず、画面に映る競技者達は、踊る為に鍛え抜かれた肉体美で人間離れした舞踏を披露している。
キラはどこか別世界の出来事として、単純にダンサー達の動きに感心していた。自分では、到底こんな風に女性をリードしながら、巧みにステップを踏んで踊りこなすことなど不可能だろう、と。

この時のキラは微塵も気づいていなかった。ソファの足元のラグに座り込み、ピンクちゃんや、トリィ達と戯れていたラクスが、しっかりと、キラの何気ない呟きを拾っていたことを。





翌日、
ラクスは前日から、タブレット端末を片手に、うきうきと何やら念入りに準備をしている様子だった。
キラが尋ねても、
「当日のお楽しみです!」
と言って詳しい内容は教えてもらえなかった。
ラクス本人がとても楽しそうにしているので、特に深く追求することもせず、キラは昨晩おだやかな気持ちで眠りについたのであった。

午前中の比較的早い時間にラクスは楽しそうに、キラに付き合ってもらいたい場所があると、提案をしてきた。

キラは、(ラクスがなんか楽しそうだから、多分楽しいことなんだろうなあ)と、特に深く考えることはせず、軽い気持ちでラクスの提案を受け入れた。


彼女の案内で連れてこられたのは、とあるダンススタジオ。広いフローリングに、壁の全面に巨大な鏡が取り付けられている。

キラはラクスに備え付けられているロッカールームで、動きやすい格好に着替えるように言われて、彼女が持参してきた運動着一式に着替えた。

キラは着替えを終え、特にする事もなく、手持ち無沙汰な状態で、少しの間広い空間で1人ラクスを待っていた。

キラから遅れること数分、同じように別室で着替えたラクスが姿を見せた。
彼女にしては珍しくスポーティな格好をしている。高めの位置でふわふわとした髪を纏め、短めの丈のTシャツに、同じく伸縮素材で出来ているインナーのパンツと一体型になっているミニスカートを身に付けている。

キラは軽くストレッチをしているラクスを見て少しばかり嫌な予感がした。



◇        



そこからはラクスによる、やんわり、物腰柔らか、だけど中々容赦のないスパルタ社交ダンスレッスンが開幕したのであった。


「先ずは、立ち姿からですわね………。」
ラクスはキラを鏡の前に立たせ、背後に周り、キラの首元に手を添えて、顔の向きを、正面を真っ直ぐ向くように優しい手付きで矯正した。

「イメージとしては頭の上から一本の糸で真っ直ぐに天井からぶら下げられている感覚でしょうか………。お臍の下当たりに力を入れて頂いて………」

ラクスはキラの両肩に触れながら淡々と指導を続けていく。

「肩はもう少し力を抜いて、……はい。そうです、下げて頂いて、……お尻はきゅっと締めて上げる感覚ですわね。……少し失礼しますわね……。」

ラクスはキラの腰に手を添えながら、もう片方の手で臀部と裏腿の上、足の付け根当たりをやんわりと掴み、キラの姿勢を整えている。

「…………………………………。」

ラクス本人に一切そんなつもりはないのだろうが、際どい場所へ、優しいタッチの接触は色々とキラの煩悩を刺激した。
キラは自身の気力が緩やかにじわじわと削りとられていることを実感していた。
ラクスのダンスレッスンはまだ始まったばかりだ。
恐らくこの指導はダンスの始まる導入部分の初歩中の初歩だと思われる。基本的なステップや振り付けにまで至っていない。
普段、長時間のデスクワークも含めて、あまり良い姿勢とは言えない猫背気味なキラにとっては、正しい姿勢で立つ、という行為だけでも存外体力が削られる。
一応、最近になり身体を鍛え始めてはいるが、些か、この後待ち受けているであろう、先のレッスン内容に体力的に着いていけるのか不安を覚え始めたキラであった。

「まあ!キラ。とても美しい姿勢ですわね!いつもよりキラが更に大きく見えますわ……。」

ラクスは一旦身体をキラから離し、移し鏡と全体を見比べながら、おっとりと賛辞の言葉をキラへと贈った。


キラはぎこちなく微笑みながら、初体験の感想を述べた。
「ありがと……。真っ直ぐ綺麗な姿勢をキープするって、中々全身の筋肉使うんだね……。普段全く意識してないから、けっこう、この格好辛いや。」

「日常生活から、心がけて綺麗な姿勢を保つようにすると、自然と身に付きますのよ。そちらの方が身体にも良いみたいですわ。正しい姿勢を意識することで、肩凝りや腰痛も軽減されるらしいですわ。」

ラクスは顎に手を添えながら、真面目に解説をしている。

「……なるほど、確かに長時間椅子に座りっぱなしで作業してるとかなり肩とか腰にくるもんなあ………。………ラクス、すごいね。めちゃくちゃ詳しい、……ラクス先生ってかんじ。」

「………!『ラクス先生』ですか?………うふふふふ。良い響きですわね。……では今からわたくしがキラの師匠ですわ!……キラくん!先生の後に付いてらして下さいな。」

レッスンが始まる前からどこか楽しそうにしていたラクスであったが、キラに褒められ更にモチベーションが上がったのだろう。わくわくとした雰囲気でキラを先導し始めた。





……これは、完全にラクスの張り切りスイッチを押しちゃったのかな…。
ラクスは気合い充分と言った様子で、女性指導者に完全に成りきっている。
何気にこのレッスンは、ラクスに「くん」付けで呼ばれるレアオプションまで完備されている。(指導者としてお姉さんぶるラクスに、ちょっとだけマリューさんを思い浮かべた)
……イイかもしれない。こんな1日も。
なんだろう、僕も男だから正直に言うとこのシチュエーション、ちょっと滾るものがある……。
単純な僕は頭の片隅にあった、体力的不安を早々に放り投げ、ダンスの練習に没頭する事にした。

「はい。ラクス先生よろしくおねがいします。」






「では、ピンクちゃん三拍子でカウントをお願いしますね。」

『ハロハロ、ガンバレ!ガンバレ!オマエモナ-』

たん、たん、たん、たん、たん、たん……。

ハロから流れ出るゆったり目のテンポの機械音がカウントを刻んでいく。


スタンダードダンスの種目の1つとして、初心者が初めに取り組むと言われるワルツの指導が始まった。

何故か男性パートもきっちり踊れるラクス先生は、お手本の様な完璧なボックスステップを美しい所作で披露した。

「……はい。キラ、この様に始めはステップのみを覚えて頂きます。わたくしの動きを真似てみて下さいね。
……少し大変ですが、上られた両腕はそのままの位置で、ポジションをキープですわ。この手の位置をホールドと呼びまして、ダンスの基本姿勢の1つとなります。」

「…えっと、……こうかな。」
僕は、見よう見まねで、ぎこちなくラクスの動きを真似ていく。上半身は動きがない分、足元のステップに集中はしやすいが、何もない空間に手の位置を固定するのはかなり疲れる。さらに姿勢を意識しながら、ステップを踏んでいく……、これは中々………。

「やはり、キラは呑み込みが早くて優秀なお弟子さんですわねえ。…ステップはそうです!完璧ですわね。……ですが、腕の位置が段々下がってきてますわね……。キラくん、背中が少し丸まってますわよ。……はい、肩の力を抜いて、ですが、丹田には力を込めて………」
ラクスは飴と鞭の使い分けが物凄く上手い。僕の姿勢が乱れてくるとすかさず、要領を得た明確な指導で、柔らかなボディタッチを駆使しながら、僕のフォームを矯正していってくれる。良く出来ている動きや姿勢は褒めることも欠かさない。





………1時間後、僕はラクスの提案に軽い気持ちで乗ったことを酷く後悔した。
僕はラクスの指導のもと、一心不乱にボックスステップのみを身体に覚えさせるように踏み込んでいた。
初めは日常では滅多に訪れる事のないシチュエーションと、カップル競技故の距離の近さにときめいたりしていたけど、今の僕にそんな余裕は一切ない。

「はい、1ー2ー3、1ー2ー3、右っ、左っ、開いて90度、……非常によろしいですわね!」

なんと、ラクスはハロに合わせてカウントを取りながら僕と同じ動きを隣で、その都度指導しながら続けていた。
僕と同様に、汗はかいているようだが、呼吸がほとんど乱れていない。
……正直に言えば、僕はもう足腰に限界を感じている。特にお尻と太もも、腕がめちゃくちゃに痛い。上半身は一定のポーズで固定しながら、下半身は空気椅子をした状態で、移動を行なっている感覚と言えば伝わるだろうか。とにかく全身が疲労で悲鳴を上げている。


流石に動きっぱなしは、あまりよろしくないので、水分補給も兼ねて休憩をとることになった。

僕は床にずるずると座り込み、流れる汗をそのまま、息も絶え絶えに、ドリンクを飲みながら、軽い絶望感に苛まれていた。

僕たちはどうしてこんな所まできてしまったんだろう、……。………あれなのか、競技ダンスの番組、見てたからなのか?昨日のあれのせいか!

一応、一般の成人男性より体力はそこそこある方だと思ってたけど、訓練時以外の日常では、こんなに生身の身体を酷使して動き回ることはほとんどない。余暇の過ごし方だって、ラクスと一緒に出来るインドア趣味が殆どなので、かなり疲れた。
慣れない姿勢に、ステップ、たまに襲ってくるラクスの無意識なボディタッチという名のごほう、……指導………。

てか、ラクス、教え方上手だし、いつも通り優しいけど、これ多分、練習内容けっこうえげつなくない?
僕初心者なんですけど。

ぜぇはぁぜぇはぁ

後、当たり前なんだけど距離近い、ラクス、汗かいててもいい匂い、触られるの気持ちい……じゃなくて、これ続けなきゃダメ?下手すると僕、明日ベッドから起き上がれない、本当に。
ラクスには申し訳ないけど、今回限りで練習はお断りしよう。

「ラクス…、ダンス、僕には向いてないみたい……。」

ぜぇぜぇはあはあぜえはぁ

僕は乱れた呼吸をそのままに、別室から着替え終わり、厚手のタオルを携えてこちらに向かってきていたラクスに、ギップアップ宣言をかねた弱音を吐き出した。

ラクスは目に見えてしゅんとしている。
「やはり、わたくしの指導がいまいちなのですね……。無理に付き合わせてしまい申し訳ありませんでした。…お疲れでしょう?そろそろ切り上げましょうね。」
と、謝罪しながら、真っ白なふわふわの柔らかいタオルで丁寧に僕の額から流れ出る汗を拭っている。

僕はラクスの優しい手つきを堪能しながら、しょんぼりした彼女の顔を見て、もうちょっと頑張ろうかなと少しだけ考えた。

「ラクスの教え方が悪い訳じゃないよ……。他にレッスン受けたことないからよく分かんないけど、ラクス先生のご指導はめちゃくちゃいい(僕の興奮度的にも)…と思います……。
あー、僕のモチベーションの問題?(興奮度よりも疲労が上回った)かな。
……やっぱり社交ダンスって難しいね。」

僕は頬を掻きながら、苦笑いを浮かべた。

ラクスは元気を取り戻したのか、僕の両の手を緩く握った。

「まあ!キラくん!そうおっしゃて頂いて、先生感激ですわ。
…キラと一緒に踊れたら、とても嬉しいと思ったのですが……、キラが楽しめないのなら無意味ですわね。ダンスは、信頼できるパートナーと楽しんで踊ることが1番大切ですから。」

と、タオルを畳みながら柔らかく微笑んだ。







「………………………。」

キラはぴくり、と無言の反応を示した。
『信頼できるパートナー』と言うワードから、オルフェと踊っていたラクスを明確に思い出していた。
今更になって、キラは嫉妬心がむくむくと再燃し始めた。
(僕だって、ラクスと踊れたら嬉しい。………それに、ダンスでも、ラクスのパートナーは僕以外なるの絶対嫌だ!)
キラのアメジストを思わせる優しい輝きの紫の瞳からは完全にハイライトが消えていた。彼は鬼気迫るような非常に剣呑とした表情を浮かべている。
…どうやら完全にスイッチが入ったようだ。

「……ラクス、僕やっぱり踊れるようになりたい。…だから、ラクス先生。ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします。」

キラはラクスに正面から向き合って、丁寧に頭をペコリと下げた。

ラクスは透き通った泉のような瞳をきらきらと輝かせ、にっこりと微笑み、キラの両手をとり、上下にぶんぶんと振った。

「あらあら、まあ!キラ!
………分かりました。キラ・ヤマト、不肖ながらこのラクス・クライン、誠心誠意お教え致しますわ。」

ラクスも、丁寧にお辞儀を返し、胸に手を当て優雅に一礼した。






ラクスのやんわり熱血スパルタ指導は続いた。

「今度は実際に、ホールドを組んで、音楽に合わせてステップを踏んでみましょうね。……では、キラくん。手はこちらに、……そうです、先生の腰より少し上、肩甲骨の下と腰の上くらいの間の位置ですわ。反対の手は向かい合っているわたくしの手をしっかりと取って頂いて…………」

キラは震え始めた足腰を意識しない様にラクスの一挙手一投足に集中している。

「では、カウントに合わせてボックスステップを踏んで下さい。……はい、たん、たん、たん、1ー2ー3、1ー2ー3、…………」

やはりラクス先生は女性パートのフォローも的確で上手だ。

ぴたりとキラとホールドを組んでいる。
「……キラ、もう少し身体を近づけても大丈夫ですわ。腰が少し引けてますわね……。目線もこちらに。……わたくしそんなに柔ではありません。もう少し力を込められても構いませんわ。」

ラクスはキラのステップに合わせながら、的確に助言をしている。

「…はい、ラクス…先生…。こうですか……?」
キラは必死に食らい付いている。

「……とても、ダイナミックな動きで良いリードだと思います!
この短時間で素晴らしい成長ぶりですわね!中々やりますわね。ラクス・クライン一番弟子のキラ・ヤマトくん。流石ですわ!」

ラクスは額に汗を浮かべながら満面の笑みで頷いている。

キラは内心少しだけ楽しくなってきていた。
1時間1人でボックスステップをひたすら踏んでいた時[一応横でラクスも一緒にステップを踏んでいたが]と比べると、尚更そのように感じられた。
まだ、基礎中の基礎のステップしか教わっていないが、ラクスと音楽に合わせてゆっくりステップを踏んでいるだけでも、不思議な一体感を感じられて、心地がよい。

しかし、所詮は本日、ダンスを始めたばかりの素人である。
レッスン開始から2時間余り経過。
キラの足腰はとうとう限界を迎えた。

「わっ」
「きゃっ」
キラは床に零れた汗に足を取られ、左に一歩踏み出した瞬間に、ラクスを巻き込み転倒した。

普段のキラならば、ラクスを下敷きにしないよう優れた反射神経を生かし、咄嗟の判断で身体を入れ替えられる筈であった。
しかし、現在のキラの足腰は生まれたての子鹿状態である。つまる所彼にそんな余力は残されていなかったのであった。

キラは派手につまずいてラクスの上に倒れ込んだ。 

「ふがっ」
ぽよん

キラの視界は暗闇で覆われた。しかし、顔全体に当たる感触は柔らかであたたかい。何やら良い香りが鼻腔をくすぐる。キラはラクスの胸に顔面から飛び込んでいったのであった。

しかし、本人は疲れて、それどころではない。キラはラクスの胸に抱かれたまま、しばらく動きを停止した。

ラクスはどうやらうまく受け身をとった様である。さほど、疲労を感じさせない動作で、ハンカチで爽やかに汗を拭っている。
ラクスは慈愛のこもった笑みを浮かべながら、労りの気持ちを込め、優しくキラの汗の含まれた髪をすき、後頭部を軽くぽんぽんと撫でた。

(……めちゃくちゃ疲れたけど、これはこれでいい……。ラクスのおっぱい最高。)
ラクスの温もりに、少しの間癒されたキラは、はっと我に返った。
さすがにいつまでもこの体勢ではいられない。
キラはとりあえず胸から顔上げ、ラクスに謝罪と確認をした。

「……ごめん、ラクス。巻き込んで下敷きにしちゃった………。大丈夫?本当に怪我はしてない?」

「平気ですわ!わたくしこう見えて受け身もけっこう上手くとれますのよ。……キラは大分お疲れのようですわね。今日はここ迄ですわね。そろそろ撤収いたしましょうか。」

ラクスは元気におっとりと応えた。

「…うん。だったらいいんだけど、どっか痛んだりしたら、我慢しないで、すぐ教えてね……。」

キラはラクスの上から退こうとするが、足腰がかくかくと悲鳴をあげ、上手く立ち上がれず、よろけた。

「うわっ!」

キラはラクスの胸に本日2度目の顔面ダイブを決めた。

「……………。」

「……………。」

ラクスは無言で目を丸くしてきょとんとしている。

気がつけば、何方からともなく、くすくすと忍び笑いが漏れていた。キラとラクスは転倒した体勢のまま、汗まみれでしばらくの間おだやかに笑い合っていた。




キラにとっては中々にハードな1日であったが、ラクスと2人でやればなんでも楽しいと言う事実が判明した1日となった。

   おわり





〜epilogue〜

「ラクス先生……。練習しすぎて足腰ががくがくするので、一緒にお風呂入ってもらえませんか……?」
きゅうーん、という効果音がつきそうなほど、キラは上目遣いであざとくラクスにおねだりをした。

ラクスは善意120%で応えた。
「まあ!それはいけませんわ!…お風呂の前にストレッチをしなければなりませんわね。……さあ、こちらですわ。キラくん!激しい運動をした後は整理運動を行い、しっかりとボディケアを致しましょうね。」

ラクスは何処から取り出したのか、広げたヨガマットの上をぽんぽん叩いて、キラに座るよう促した。

「えっ、ラクス……先生?…………?」
キラは取り敢えず、ラクスに言われた通り、マットの上に腰を下ろした。

ラクスの柔軟兼マッサージ攻撃。

ばき、ごき、めき、めきゅめきゅめきゅ

キラは悲鳴をあげた。
「ぎゃあ〜、いだい、いだい、いだい、マジでいだいから、ラクスー。」

「普段使わない筋肉を酷使した証ですわ。この痛みを、超えた先に快楽がありますのよ〜。…お風呂から上がったら軽く、別のストレッチもしましょうね。」
にこにこにこ。ラクスはとても良い笑顔だ。

「…はい…。」
(ラクス先生……やっぱり超スパルタだ……。)



果たして、無事、踊れるようになるのかキラくん!次回……続かないよ、
  
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