二組の双子と、 第二話「××から来た」


 今、俺は俺の部屋でドッペルさんと向き合って座っている。ドッペルさんが俺の幽霊であると分かった後、みんなは頭の上にはてなマークを浮かべていたが、それを無視して連れてきた。これはあいつらには聞かせる必要のない話だろう。






「…あんたは未来の俺、で合ってるよな?」
俺の問いにドッペルさんは真剣な目でこちらを見た後コクリと深く頷いた。
 
 俺にはどうも普通の霊感以外に特殊な霊感(?)があるらしい。夢の中で過去に行ける、というものだ。今までもちょくちょく過去に行くという夢を見ていた。もっともその夢が実際に過去に、そして現在に影響を与えていると知ったのは最近だが。よっぽど大きな行動を起こさない限り簡単に過去は影響を受けないようになっているっぽいので仕方がない。ただ、今まで夢の中で過去に行ったうちのどの時でもドッペルさんのように物に触れない、喋れない、なんてことはなかった。確かに夢の中でも実体はあったはずなのだ。それなのにドッペルさんにはない。ということはドッペルさんは死んでいるのではないかーーー。しかし、俺は一度も過去の自分に会いにいったことがないし、会いに来られたのも今回が初めてであったから、もしかしたら過去の人間の前では喋れない、さわれないという条件があるのかもしれない、という説も捨てきれなかった。そんなこんなで、ドッペルさんに質問してみたら見事一個目の説が当たった、というわけだ。
 
未来の俺はどうやら死んでしまっているらしい。

 弟たちに知られたら面倒だから部屋に連れてきたのは正解だった。見た感じ年齢は今とそう変わらないように見える。服装からして死んだのは春か秋、というところだろうか。今は夏だから秋なのだとしたら結構すぐだ。
 死してなお、夢を見る。ありえなくもないが、ドッペルさんの身振り手振りや俺の質問に対する答えから考えるに死んだと思ったらこの時代(?)にいた、という感じだろう。「死ぬ」というのを「眠り」と捉えるのもまあ、かなり無理があるが一応可能だろう。

そうゆうわけで、その日俺らの前に、未来から来た「五六暉仁」の幽霊が現れたのだった。
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