夏油が五条にコンビ結成を持ちかけるドッキリ


夏「(楽屋の扉ガチャ)あれ、悟」
五「よーお疲れ傑(お菓子物色中)」
夏「お疲れ。……丁度良かった(正面に座りつつ)」
五「?」
夏「あのね悟、相談があって」
五「ん〜?(お菓子咀嚼中)」
夏「既にコンビ芸人として活躍してる君に頼むことじゃないのは分かってるんだ、けど(迫真の言葉詰まり)」
五「……(無言で居住まいを正す)」
夏「……私とコンビを組んでくれないか」
五「…………えっ」
夏「戸惑うのも無理はないと思う。本当に、すまない」
五「いやいやいやいやいや、え?まじ?」
夏「まじ」
五「いや〜〜〜嘘だろまじか……いやいや……(口角一瞬上がって下がる)……うん、そうだな……いや、傑お前髙羽さんと上手くいってたじゃん。昨日だって楽しそうにタコパしてたしさ。一体何があったんだよ?」
夏「タコパのことって話したっけ?」
五「今はいいだろそんなこと。で?」
夏「……うん……実は、来月でピンチャンを解散することに、なって」
夏「私が悪いんだ。髙羽さんはほら、元々結構尖ったネタをやるピン芸人だったろ?でもコンビを組んでからは私に合わせてマイルドなネタにして貰ってたんだ。髙羽さんはずっと私の不得意に合わせてくれてる」
五「うん」
夏「でもさ、やっぱり髙羽さんはああいう、際どいネタをやってる時が一番輝くから、私が芸風を寄せたくって。でも、私には向いてなかったみたいで。髙羽さんはずっと私に合わせてくれてるのに……って考えてたら、髙羽さんの顔が段々見られなくなってきて」
五「……」
夏「っ最近、ピンの仕事も増えてきたんだ。だから前より色々相談する時間もなくなって」
五(……あの時の俺達より全然一緒にいると思うけど、)
夏「え、なに?」
五「続けて」
夏「あ、ああ。えっと、でね、一人きりで色々考えてたら、どんどん悪い方向に思考が傾いていくんだ。私の何が悪いんだろう、どうして髙羽さんと同じようにできないんだろうって」
夏「プロの芸人なのに、全然駄目でさ。このままじゃ、心の底から笑えなくなってしまう気がするんだ」
五「……傑には向かなかったってだけで、別に傑が悪いわけじゃねえだろ」
夏「そう、かな」
五「傑は無理するべきじゃねえよ。お前、頑張りすぎるとこあるけどさ、見てて危なっかしいわ。そもそも髙羽さんの意見は聞いたのかよ?お前が勝手に突っ走ってるだけじゃねえの?あの人、お前の意見を蔑ろにするような人じゃねえだろ」
夏「髙羽さんは優しいから、最初は否定してくれたよ。でも、ちゃんと本音が聞きたいって言ったら、やっぱり、さ」
五「……それ、傑だけに問題あるわけじゃねえじゃん。お互い噛み合わなくなっただけだろ。勝手に責任感じたりとか、それで潰れたりとか、馬鹿な真似すんの、やめろよ」
夏「……悟は優しいね。相方でもない私の話をいつもちゃんと聞いてくれるし、プライベートでも友人として仲良くしてくれるし」
五「親友な親友」
夏「っはは、そうだね。親友。……私たちさ、気が合うよね」
五「そりゃな。俺達は生まれる前からニコイチなんだよ」
夏「うん。だから……次に組むなら、君が良いんだ。君と二人でなら、最強の漫才ができるって思ったんだ」
五「!!!!!(驚愕の表情)」
夏「羂索さんには申し訳ないけど……ね、悟。私とコンビ、組んで貰えませんか?」
五「っ〜〜〜、喜んで!!!(号泣)」
夏「ありがとう(迫真の泣きそうな笑み)」
五「羂索のヤツは気にしないでいいから。俺が全部やっとくからさ、傑は後で髙羽さんに挨拶してこいよ。そしたら一旦俺ん家でさ、コンビ名とかネタ考えよ」
夏「ああ、一緒に考えよう」
五「一緒にな!!うわ〜〜〜……まじか。まじか……!(天を仰ぐ)」
夏「……そんなに嬉しい?」
五「ったりまえだろ!?最初っから言ってんじゃんお前の親友で相方になるべきは俺だって!まあ髙羽さんならしょうがないって今までは我慢してたけどさ」
夏「そ、そうか。ごめん」
五「ごめん?いいよいいよ!今日で全部報われたわ」
夏「そうじゃなくて、これ、嘘なんだ」
五「は?」
夏「解散しないし、コンビも組まない」
五「は?」
スタッフ「てってれー!(ドッキリ大成功の札)」
五「ああああああああああああ(椅子ごとひっくり返る)」
夏「本当にすまない……あんなに喜ぶとは思わなくって……」
五「おま、お前えさああああああ(椅子ごと床を転がりだす)」
夏「というか即決されるとも思わなくって……」
五「お前おま、ほんっと、人の心を弄ぶよないつも!あああちっくしょ……(手で顔を覆う)」
五「でも良かったよ、傑がマジで精神的に追い詰められてなくて……(震え声)」
夏「……本当に悟は優しいね。ごめんね、許してくれるかい?」
五「ああもう!許すよ勿論当たり前だろ親友なんだから!……傑は許すけど企画したヤツは覚えてろよ」

〜スタジオ〜
MC1「というかなんでコイツ最初っから我が物顔で夏油の楽屋おんねん」
MC2「呼び出すまでもなく夏油さんより早く楽屋入りしてたみたいです」
MC1「こっわ」
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