キドキラ) サラダキラーさんにちんちん生える話


ちょっかいをかけてくる敵もいなければ補給できる町もないようなその無人島は秋島で、おそらく今は夏の終わりだろう。と言うのは調査に行かせた船員の話だ。
沖に停泊させていた船で電伝虫越しに報告を受ける。食料の調達だけすると聞いた後、仮眠をとって船長室のドアをノックする音で起こされた頃にはもう日は傾きはじめていた。
「キッド、ちょっといい?」
「ん……、おう」くあ、とあくびをしながらキッドが返す。「入れよキラー」
少し間をおいて扉が開くと、薄手のコートを着たキラーが一人立っていた。
「どうした。お前も皆と上陸してただろ」
「う、うん。そうなんだけど……」
廊下に目をやった後部屋に入る様子はやけに周囲を気にしているようだった。こいつにしちゃ珍しい。
「……キッド、ごめんね。変なこと訊いてもいい?」
「あ?変なこと?」
「キッドってその……一人でする時ってどうやって触ってる?」
一瞬、何を言われたのか分からなかった。触ってるって。何をだ。
いやこの場合ナニの話しかない。何でだよ。と、逆に答えを求めるようにキラーの顔を見れば、表情こそ見えないものの落ち着きがない。
部屋の入り口から動かないキラーは着ているコートの裾を体の前で握りながら「だからその、お、オナニーの……やり方を」と尻すぼみながら付け加える。
意図を解りかねているわけではない。むしろ合っていた。いや、合うなよ。
(合っていることが問題だろうが!)

***


キラーの言うことには、島に自生するキノコを食べたのが原因で生えてしまったらしい。ソレが。よりにもよって。ピンポイントな箇所に。
味見時点で異変に気付いて料理を捨てたため被害は他のクルーには及ばなかったが、治療法は胞子を出すしかないというのが船医の話だそうだ。
要はオナニーだ。が、一人でやってみたものの上手くいかなかった。そして幼馴染であるキッドを頼ったと。それがことの次第だ。

「なるべく見ねェようにするから」そう告げて、ベッドの上に座らせたキラーの背後にまわる。「準備できたら言え」
「う、うん」
コートの前を開けたところで目を逸らす。じぃ、とファスナーの下がる音がしたのち、「いい……、よ」そう、小さな声がした。
「触るぞ」
「うん、……お願い」
目線は横のまま、手だけをキラーの体の前に。キッドが後ろから抱きすくめるような体勢だ。
コートを羽織りシャツは着たまま、下だけすべて脱いでいるらしかった。手探りの指が内腿に触れると、ぴく、とキラーの体が揺れた。
極力余計な所に触れないよう右手を浮かせたまま中心を探る。指先に触れる熱。
「……ッあ!?」
おおげさに、キラーの腿がびくりと跳ねる。ここか。竿をかすめた指をそのまま握り込むよう曲げ、軽く上下させる。
「キラー?平気か」
訊けば、コクコクとうなずく。
触れる限り陰嚢は無いようだ。となると下は──、
「……」
いや、今は。と、陰茎を握る右手に少し力を込める。
握った手を上下に動かしながら親指で裏筋をなぞればキラーの呼吸が次第に上がりだした。手の中の熱はどんどん質量を増し、先走りが零れ出す。
「なあキラー、自分で扱けるか」
そう言いつつこぼれた先走りを親指で掬い、亀頭全体に塗り付けていく。
「んっ……、わかった」
おずおずと左手を持って行くのが後ろから見てとれた。
「さっきの、おれの触り方真似してみろ」
出来るな?その問いにキラーはまたうなずく。苦しそうな、いや、快楽を押し殺す息を漏らしながら。
「声も我慢しなくていい。どうせおれしか聞いてねェんだ」
キッドは先走りで濡れた手をキラーの左手に添え、陰茎を扱く速度を上げる。
ぐちゅぐちゅと粘液がこすれ合う音。二人の手の動きに合わせてキラーの口から漏れる高い声。
「はぁ、あ、あッ、きっど」
キラーがキッドの名を呼ぶ。
「っ……!!?」
熱を帯びた声。反射的にキッドはキラーの竿を握り込んでいた。
「やっ!?あッ!やだ!だめッ」
突然の刺激にキラーがびくりと大きく背を反らせ、キッドの胸に後頭部を押し付けた。
二度、三度肩を震わせたのち大きく息を吐いて、キラーが絶頂に達したことがわかる。
キッドの右手はキラーの精液で汚れていた。倒錯的な目の前の光景に、思わず目眩を覚えたのは仕方ないことだろう。
「キッド……」
息を整えながらキラーが顔だけ振り返り、目が合った。
「ごめん……、手、汚して……」
ああ。と生返事をし、サイドテーブルにあったティッシュをたぐり寄せる。数枚取り出してキラーの左手を拭い、他は本人に任せることにした。これ以上触るのは、まずい。
そう思いつつ目を逸らす。キッドは余計なことを考えないようにしながら、「で?」と、後始末をするキラーに声をかけた。
「治りそうなのかよ、"それ"は」
「う、うん。小さくなってる……気がする」
「そうかよ」
なら後は自分で──、と言おうした矢先。キッドの方に向き直ったキラーが、そっと手を伸ばす。
「ねえ、キッド。これ──」
キッドの前掛けの下。キラーを部屋に戻してから処理する気だったそれに、ズボンの上から触れた。
その光景に、ごくりと喉が上下する。
「キッドさえ良ければ、私のと一緒に……」
駄目?とこちらを伺う青い眼が今にも溶けそうな、あつい、あつい熱を帯びている。
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